あなたは街のみんなに仲間外れにされてしまった可哀そうな人間、だけど、町はずれの森の吸血鬼少女と楽しく遊ぶことができていました。
しかしある日、もっと都会の方へ行こうとすると……
「仕方ない……あなたのこと、吸血鬼にするしかないよね……」

//森の奥の吸血鬼屋敷に入る

あ、お兄さん

こんばんは♪　今日も遊びにきてくれたんだね

……ふふ、そうだろうね

お兄さんも結局、人間の輪から外れちゃったはぐれものだもんね

だから、吸血鬼の私のことも怖くないのかな？

普通だったら化け物だーっ、とか、血を吸われるーって騒ぐんだよ？

まったくひどいよねっ

私だってみんなをいじめないように、動物さんからちょこっと血を分けてもらうだけなのに

……え？　ああー……

まぁ、力はすごいけどさ、他人を傷つけるためのものじゃないよ？

これはね、呪いなの

力が欲しいってお願いしたら、永遠に生きる吸血鬼になっちゃっただけなんだ

……こんなのまで、求めていなかったよ

だから、お兄さんもあんまり簡単にお願いしちゃだめだよ？

化け物になっちゃうから

……あは、なんかさみしいお話しちゃったね

今日はなにして遊ぶ？

……あは、また面白そうなおもちゃ持ってきたんだ

いいよー、一緒に遊ぼっ

お日様がのぼるまで、楽しみましょ

んふふ♪

//数日後

……あ、来た来た

遅いじゃん～、なにしてたの？

……え？

この街を離れる？

どうして？　私は離れたくないよ？

……新しい環境に行きたい？

……別にここでもいいよね？　私と遊ぶの、楽しいでしょう？

いつまでもそうしてるわけにはいかない？

それじゃあ、私はまた一人になるの？

一人にならなくちゃいけないの？

……そうなんだ、あなたも私なんかどうでもいいんだ

ずっとずっと一人でいろって言いたいんだ

……あなたがいてくれるなら、私は孤独から解放されるのに

……一緒にはいけないよ

だってそっちは光の方でしょう？

人間たちがたくさんいる、私の居場所がないところ

……ねぇ、本気？

そう、本気なんだ……

えへ、えへ、えへへへへへへっ

なら、それなら、どうしようもないなら……

こうするしかないよね……？

//押し倒されてしまう

ふふっ！　ちょぉっと静かにしててねぇぇっ！

すぐ、すぐ終わるからね、お兄さん！

//吸血
じゅっ、じゅるうるるぅっ、じゅるるぅうぅっ♡

あは……やった、やったっ♡　やっちゃったぁ♡

あはははは！　ねえお兄さん！　今から私と同じ吸血鬼だよっ！

あは、あんなにしたくなかったのに、今すっごく仲間になってくれて嬉しいのっ！

//涙を流しながら笑い始める

くふふふ……こうするしかなかったから、しょうがないよねっ

大好きなお兄さんを化け物にしちゃったっ♡　吸血鬼に、生き血をすする化け物に♡

でもっ、でもこれでお兄さんと一緒にいられる♡　くふふあははは◇

あは……しょうがないよね……えへっ、えへへ

どうせ、すぐ死んじゃうんだもん……お兄さんと一緒にいるなら……仕方ない……

でも、もうお兄さんも人間とお友だちになれないね……えへ、えへへへ

お兄さんも人間たちに、化け物だ、血を吸われるーって怖がられて……ふふふ

あは、やっちゃった……あは

……これでいいんだ、これで……んふふ

ごめんね、ごめんねっ♡

でも……いつかわかってくれるよね？

大丈夫……私みたいに、独りぼっちにはならないから

ずーっと、一緒だから

んふふふ……♡

・台本（ゆるボイ！）
吸血鬼少女と一緒に遊んでいたら惚れられてしまい、「本当はしたくないけど、眷属にしちゃうね」と無理やり血を吸われてしまう
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
空上新奇