かつて痴漢に遭った貴女は、電車に乗るのがトラウマになっていた。そんな貴女を毎朝学校に送って行っているのが、いつも気怠げな後輩の男の子で…？

(彼女が家から出てくる)


ふあぁ〜…あ、おはざっす、先輩。今日も今日とて、迎えに来ましたけど。


いや、いいっす。先輩を迎えに行かなくても、どーせ朝弱いのに変わり無いんで。んじゃ、早速行きましょーかー…


(駅まで彼女と並んで歩き出す)


んー？あぁ、最近は弁当っすよ。愛しの彼女が作ってくれるんすよ。羨ましいでしょ？


ははっ…冗談っすよ。俺に彼女なんているわけないじゃないっすか。こんなだらしない男、誰も好きにならねーっすよ。ふぁぁ…


(再度あくび)


…ん？先輩、それ、フォローしてくれてるんすよね…？さりげなく…というか、普通に悪口入ってたような…


あぁ、そう…じゃあ、そーいうことにしときます。先輩の言うことには逆らわねーっすよ〜、俺は…


……そろそろ駅、近いっすね。大丈夫っすか？


ふーん…強がり。足、震えてますけど？


(小声で) まぁ、しゃーないか…痴漢、遭っちまったもんな…


先輩、ほら…俺の腕、掴まってください。頼りないかもしんねーっすけど、何もないよりマシでしょ？


(腕にしがみつかれる)


…ん、じゃあ行きましょうか。今から俺は、先輩の朝限定彼氏ってことで。


(電車に乗り込む)


先輩…ちょい腕離してもらっていいっすか？次は俺が抱き込むんで。


平気っす。朝限定彼氏なんで。ほら、壁の方寄って…


(彼女を壁際に立たせた後、肩から軽く腕を回す)


こんなもんでいいか…先輩、キツくなったら、いつでも言ってください。電車、すぐ降りるんで。


…無理しないでくださいよー？無理されると、逆にこっちが迷惑なんで。


いや、送迎自体は迷惑じゃないっす。むしろ女の子を守るナイト気分味わえますし、超役得っす。迷惑なのは、先輩がしんどいのにしんどいって言わないことっす。


はい…あからさまに無理してるの見ると、こっちも精神的にキツくなるんで。ここは俺の気を楽にすると思って、溜め込んでるモノ、全部吐き出しちゃってください。


…了解っす。んじゃ、次の駅で降りましょうか。俺も電車通学はだるいと思ってたとこなんで。


(電車を降りる)


ちょっとそこのベンチで休んでから、行きますか…もちろん、徒歩で。


そりゃそうっすよ…なんでまたあのクソ混み電車に乗らなきゃいけないんすか？もう多少時間かかってもいいから、歩いて行きましょう。それがいいと思います、はい。


ん…そーいうことなんで、気分楽になったら、テキトーに散歩感覚で歩きましょう。学校への遅刻連絡は、俺からしとくんで…


…平気っす。先生方も今の先輩の状態は把握してる…というか、把握させましたし。あと、俺が送迎役やってるって状況も理解してるんで。


(学校に電話をかける)


あ、髙橋先生？おはよーございます。ちょっと例の如く遅れるんで、俺の担任にもその旨伝えといてください。


はーい…まぁ、そんな心配しなくても大丈夫っすよ。責任持って送り届けるんで、えぇ。


あ、それは酷い言いがかりっすね。俺、合法的に遅刻できるなんて、ちょっとくらいしか思ってないっすよ？


あー、はいはい…じゃあこの辺で失礼しまーす。お疲れっした〜。


(電話を切る)


連絡完了っと…そろそろ行けそうっすか？まぁ、まだ時間はあるんで、急がなくて大丈夫っすけど…


了解っす。んじゃ、のんびり学校まで歩いて行きますかね…手、いります？


(手を繋ぐ)


ん…そーいうことなら、仕方ないっすね。彼女を無事学校まで送り届けるのも彼氏の役目ですし。


はい。今日も彼氏として、頑張らせてもらうっすよ。朝限定っすけど、ね？

・台本（ゆるボイ！）
【護衛】ダウナー系後輩男子はわたし専用の朝限定彼氏
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎