- シリアス
- 切ない
- 純愛
- 友情
- 耳かき
- ヴィラン
- ヒーロー
- 寝落ち
- 添い寝
公開日2024年09月30日 10:47
更新日2024年09月30日 22:33
文字数
4166文字(約 13分54秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
悪の組織の幹部
視聴者役柄
演者と敵対するヒーロー
場所
二人きりになれる場所、廃墟やホテル等。
あらすじ
世界を守るヒーロー(視聴者)と、悪の組織の幹部(演者)が密会する話。
悪と呼ばれる組織であっても、彼女らには彼女らなりの夢や理想と言うものがあって。
ヒーローはそれを理解しながらも対立し続け……理解しているからこそ、戦いの後には人目を避けて語り合う仲になっていた。
ヴィランはヒーローに「寝返らないか」と誘い続ける。叶わないと知りながら。
悪と呼ばれる組織であっても、彼女らには彼女らなりの夢や理想と言うものがあって。
ヒーローはそれを理解しながらも対立し続け……理解しているからこそ、戦いの後には人目を避けて語り合う仲になっていた。
ヴィランはヒーローに「寝返らないか」と誘い続ける。叶わないと知りながら。
本編
(視聴者との戦闘後。疲れた様子で)
……ああ。お疲れさま。いや、疲れてるのはコッチも、だけどさ……
随分手ひどくやってくれたじゃん?
いや、アンタはヒーロー様な訳で? 私は悪の組織の幹部……ヤジウマ連中の前だったし、本気で殺し合う他、ないんだけどさぁ……
お互い様、ね。分かってる。分かってるよ……私達の関係、バレるわけにはいかないんだもんね……
(聞き手との現状を思い、気持ちが落ち込んだまましばらく沈黙。その後、居心地の悪さを感じたように、カラ元気で話題を変える)
い、いや、でもさぁ! お互い、戦う時は顔を隠してるわけじゃん? そのおかげで、正体がバレにくくていいよね!
私の戦闘服もかっこいいっしょ? アンタは、その……まんま特撮かよって感じで、アレだけど……まあ? 見慣れてきて、かっこいいかもって思えて来たし?
ギャラリーも沸いてたしさぁ! いやほんと、その辺りに関しては、不幸中の幸い、って言うか。
……はぁ。そうだね。不幸だ。どれだけ取り繕っても、それは、ゆるぎない事実。ごまかしようが無い……
――――耳かきをする場合ここから――――
……はじめよっか。
今日も、してあげる。うん。耳かき……
落ち着くんだよ。普段殺し合ってる、私の手で殺しちゃうかもしれない相手に、さ。
何かを、してあげられてるの。ほら、膝……頭、乗せて……
(以下、耳かきをしながら会話)
――――ここまで――――
――――耳かきをしない場合ここから――――
ねぇ。もっと、近くに来てよ。違う、前じゃない。隣。
今は、あんたの……アンタの正面に、居たくない……
そう。このまま……肩、貸して……
(以下、聞き手の肩に頭を乗せたまま会話)
――――ここまで――――
なんで、さ。アンタ、ヒーローなんてやってるの。
私とも、ほら……仲良く、なったわけじゃん?
私の組織の目的だとか、理想だとか。分かるところもあるって、言ってくれたじゃん?
なら、さ。いっそ、こっちに寝返って……ふふ。
筋書きはこう。私は何度もアンタと……世界の平和を守るヒーロー、敵対者であるアンタと戦い、戦いながらも説得を繰り返した。その内に、アンタも世界の現状に疑問を抱いて、うちの組織に寝返ろうと決めた。
私達の理念は分かっているでしょう?
初めて私と戦う時、根堀葉堀聞いてきたもんね。
馬鹿真面目に、真剣な顔して……そう。周りに人がいなかったからって、マスクまで取ってさ。顔を隠したままじゃ失礼だ、とか言っちゃって。
うん。私達は、今の世界が抱えてる、色々な問題を解決したい。
私達は私たちなりに、誰もが幸せに生きれる世界を願ってるんだ。実現不可能だとか、そんな事を言われようが……決して、決して、諦めない。
今は困難であろうと、いつかきっと。そのいつかを迎えるために、死に物狂いで走り続ける。自分たちを高め続けて、出来る事からやっていく……
それだけ聞くとさ、ヒーローみたいじゃない? ヒーローのつもりなんだよ、私達も、さ。
だからアンタがこっちに来たら……多分、とても居心地がいい。みんな本気で、切磋琢磨して。どんな目標を掲げようと、甘い甘い夢物語を語ろうと、笑われたり、馬鹿にされたりしない。アンタの願う世界を実現するために、誰もが真剣に議論して、そして案を上げていく。協力する……
そう、そうしようよ。アンタも知ってるでしょ? 私、結構偉いんだよ。
やろうと思えば、全軍だって動かせるの。いや、それだって発案して、会議に掛けて、って、そういう手順は必要だけど……それでも、どんな案でも通せるって自信がある。
結構貢献してるんだよ。信頼も置かれてる。コネもあるし、何人かの幹部に対しては弱みだって握ってる。代表だって一目置いてくれていて。アンタが求めるものは何だって手に入れて見せる。だから、だから、さ。
アンタが、望んで、くれさえすれば……
(少しの沈黙)
――――耳かきをしている場合ここから――――
(聞き手の答えを聞かずに)
コッチ側、終わり。息かけるから、動かないで。
答えなくていいから。アンタの答えは、もう分かってる。
直接……アンタの声で、聞きたく無い。
(聞き手の耳に息を掛ける。)
はい。終わり。反対向いて。
うん、そう。じゃあ、こっち側、始めるから。
(耳かき開始、しばらくの間沈黙)
――――ここまで――――
――――耳かきをしない場合ここから――――
(聞き手が申し出を拒否する)
……そう、だよね。ふ、ふふ……
やっぱり、直接、断られると……少しだけ、ショックだな。
――――ここまで――――
いや。謝らなくていいよ。会う度誘ってるんだから、アンタの答えも分かってた。
と、言うより……初めてアンタと戦った時から、か。
正直、なんだこいつはって思ったよ。これから戦闘かって思ったのに、話を聞きたいって言い出して。それでうんうん頷いて、疑問があったら質問とかよこしてきてさ。
どうせ戦うことになるんだろうって、ならもう、不意打ちで排除しちゃうかって、何度も思った。
でもさ、こっちとしても……あんな風にまじめに話を聞かれると、突っぱねるわけにもいかないじゃない?
いや、そりゃそうよ。私達はね、私たちなりの理想の為に戦ってるのよ。悪だって決めつけてるのは、大衆の方。私達は一度たりとも、自分達が悪だなんて、思った事無いんだから。
だから、真剣に話を聞く人間を邪険には出来ない。話をして、説得して、協力を得なければならない。少しずつでも味方を増やして、一般の人たちの意識自体、こちら側に引き付けて……そうして、世界を動かしていくの。
ほら、またぁ。うんうんって。まさか、適当にうなずいてる訳じゃないだろうね? ふふ……
いや、分かってる。あなたはいつも真剣で、真面目で。きちんと私の話を聞いてる。
でもさ。だから、さ……その時も、思ったんだ。コイツなら、私たちの味方になってくれるんじゃないか、って。期待した。今もしてる。
してるのに、さ。アンタはいつも、寝返ることだけはしないんだ。
殺した方が世のためになる人間たち。壊した方が世のためになる仕組みや制度。
それを支える企業や施設、お金の動き……私達がそれをどうにかしようとすると、必ずアンタは、阻止しようとする。
話し合いでどうにかならないか、って。説得する私が痺れを切らして、アンタを排除するために銃を向けるまで、アンタはずっと、そんな事を言い続けるの。
どうしてそこまで、話し合いに拘るの?
それでどうにもならなかったから、今の世の中になってるのに。
もう、暴力で訴えるしかない。どうしようもなく状況は張り詰めきっていて、一度決壊してしまわなければ、新しい世界には移行できない。なのに……
いや、待って。答えなくていい。アンタが何を言うかも、私はもう分かってる。
キミを悪役にしたくない。でしょ?
ふ、ふふ……あの時それを聞いた時、口説いてんのかよって思った。初対面で、こっちは顔を隠したままで、銃口まで向けてんのにさ。泣きそうな顔して、そんなことを言うんだもん。
私達の目的は、達成しなければならないって。されるべきだって。理念も、理想も、果たされるべきだって。その為には、決して手を汚してはいけない……そんなことを、言うんだもん。
ああ。真面目に聞いてくれてたんだなって、その時に分かったよ。そしてアンタが、とんでもない甘ちゃんだってことも。
(耳かきをしている場合、ここで耳かき音終了)
そんな、アンタがさ。いやに、眩しく感じたんだ。あーあ、コイツがこっち側だったらな、って。一緒に頑張れたなら、どれだけ良かっただろうに、ってさ。
誰も彼もが、私達を悪だと言う。捕まったなら、何されるか分からない。
知ってる? こっちに所属してる人員が、一般人に捕まって。身バレってやつ? 結果、リンチよ。その家族まで。戦闘にすら参加してない、作戦にすら参加してない事務員がよ?
そんな状況なのにさ、私達を止めようとするヒーローが、アンタだけが、まじめに私たちの話を聞いてくれるんだもん。泣きそうな顔で、声まで震わせて、理解を示してくれるんだもん。なのに、絶対に相いれないんだって、突き付けてくる。
泣きたいのは、こっちだっての。
殆ど完成したパズルの、最後のピースを目の前でへし折られた気分。
完成すればさ、凄くきれいな絵が出来るんだよ。完成しかかってるだけあって、それがよく分かる。
けれどそれは、永遠に完成してくれないんだ。
けれどそれは、あまりに綺麗であるだけに、嫌いになることすら出来ない。アンタと会う度に、へし折った筈の最後のピースを、へし折られる前の形で差し出してくれやしないだろうかって、そんな期待を抱いてしまう。
ねえ。頼むよ、ヒーロー。
あの時の言葉は嘘だったって、私達の側につくって、そう言ってよ。今更、なんて、絶対に言わない。やっと、ついにこの日が来たんだって、心から喜び、歓迎する。
だから……次。次、会う時は……
(沈黙)
――――耳かきをしている場合ここから――――
……こっち側も、終わり。いや、大分前に、終わってたけど……息、掛けるよ。
うん。耳垢、散るといけないから……動かないで。
(聞き手の耳に息を掛ける。掛け終わった後もそのまま沈黙)
……まだ。まだ、動いちゃ駄目。
いや……耳かきは、終わったけど。
このまま。横顔、見せててよ。
対面……正面からばかり、アンタの顔は見てきたから。
今は、さ。横顔、見ていたいんだ。
なんならこのまま、眠っちゃってもいいよ。うん。私も、少し眠たいから……アンタの顔を見ながら、寝る……
いつか、いつか、ね。人目を避けたり、隠れたりせず。堂々とアンタの横に立って、一緒に、同じ方向を見て……
……組織の目的とか、理想とか。それが実現した世界よりも。アンタと一緒に並び立つ、そんな、世界を見てみたい……
叶わない、って言うのなら。せめて、今だけ。今だけは……
このまま、アンタの横顔を。安らかに眠る姿を見ながら、眠らせて……うん。
おやすみ、なさい……
――――ここまで――――
――――耳かきをしない場合ここから――――
……ね。このまま、少し、眠ってもいい?
アンタの肩、借りたまま……うん。少し、だけだから。アンタも、寝ちゃっていいからさ。
なんだかね、凄く安心するんだ。アンタは私と殺し合う仲。だけどきっと、何かがあっても……きっと、守ってくれるだろうって、信じてしまう。
ずっと、さ。ずっと、こういう風に、隣にいてくれれば良いんだ。私の味方で、居続けてくれれば。
組織の掲げた理想だとか、理念だとか。そう言うのが実現した世界よりも、先ず、あなたと一緒に、隣り合っていられる世界が見てみたい。そんなことすら、考えてしまう。
分かってる。それは、叶わないんだって。
だから、せめて、せめて、今だけ……
アンタの隣で。寄り添ったまま、眠らせて……うん……
おやすみ、なさい……
――――ここまで――――
……ああ。お疲れさま。いや、疲れてるのはコッチも、だけどさ……
随分手ひどくやってくれたじゃん?
いや、アンタはヒーロー様な訳で? 私は悪の組織の幹部……ヤジウマ連中の前だったし、本気で殺し合う他、ないんだけどさぁ……
お互い様、ね。分かってる。分かってるよ……私達の関係、バレるわけにはいかないんだもんね……
(聞き手との現状を思い、気持ちが落ち込んだまましばらく沈黙。その後、居心地の悪さを感じたように、カラ元気で話題を変える)
い、いや、でもさぁ! お互い、戦う時は顔を隠してるわけじゃん? そのおかげで、正体がバレにくくていいよね!
私の戦闘服もかっこいいっしょ? アンタは、その……まんま特撮かよって感じで、アレだけど……まあ? 見慣れてきて、かっこいいかもって思えて来たし?
ギャラリーも沸いてたしさぁ! いやほんと、その辺りに関しては、不幸中の幸い、って言うか。
……はぁ。そうだね。不幸だ。どれだけ取り繕っても、それは、ゆるぎない事実。ごまかしようが無い……
――――耳かきをする場合ここから――――
……はじめよっか。
今日も、してあげる。うん。耳かき……
落ち着くんだよ。普段殺し合ってる、私の手で殺しちゃうかもしれない相手に、さ。
何かを、してあげられてるの。ほら、膝……頭、乗せて……
(以下、耳かきをしながら会話)
――――ここまで――――
――――耳かきをしない場合ここから――――
ねぇ。もっと、近くに来てよ。違う、前じゃない。隣。
今は、あんたの……アンタの正面に、居たくない……
そう。このまま……肩、貸して……
(以下、聞き手の肩に頭を乗せたまま会話)
――――ここまで――――
なんで、さ。アンタ、ヒーローなんてやってるの。
私とも、ほら……仲良く、なったわけじゃん?
私の組織の目的だとか、理想だとか。分かるところもあるって、言ってくれたじゃん?
なら、さ。いっそ、こっちに寝返って……ふふ。
筋書きはこう。私は何度もアンタと……世界の平和を守るヒーロー、敵対者であるアンタと戦い、戦いながらも説得を繰り返した。その内に、アンタも世界の現状に疑問を抱いて、うちの組織に寝返ろうと決めた。
私達の理念は分かっているでしょう?
初めて私と戦う時、根堀葉堀聞いてきたもんね。
馬鹿真面目に、真剣な顔して……そう。周りに人がいなかったからって、マスクまで取ってさ。顔を隠したままじゃ失礼だ、とか言っちゃって。
うん。私達は、今の世界が抱えてる、色々な問題を解決したい。
私達は私たちなりに、誰もが幸せに生きれる世界を願ってるんだ。実現不可能だとか、そんな事を言われようが……決して、決して、諦めない。
今は困難であろうと、いつかきっと。そのいつかを迎えるために、死に物狂いで走り続ける。自分たちを高め続けて、出来る事からやっていく……
それだけ聞くとさ、ヒーローみたいじゃない? ヒーローのつもりなんだよ、私達も、さ。
だからアンタがこっちに来たら……多分、とても居心地がいい。みんな本気で、切磋琢磨して。どんな目標を掲げようと、甘い甘い夢物語を語ろうと、笑われたり、馬鹿にされたりしない。アンタの願う世界を実現するために、誰もが真剣に議論して、そして案を上げていく。協力する……
そう、そうしようよ。アンタも知ってるでしょ? 私、結構偉いんだよ。
やろうと思えば、全軍だって動かせるの。いや、それだって発案して、会議に掛けて、って、そういう手順は必要だけど……それでも、どんな案でも通せるって自信がある。
結構貢献してるんだよ。信頼も置かれてる。コネもあるし、何人かの幹部に対しては弱みだって握ってる。代表だって一目置いてくれていて。アンタが求めるものは何だって手に入れて見せる。だから、だから、さ。
アンタが、望んで、くれさえすれば……
(少しの沈黙)
――――耳かきをしている場合ここから――――
(聞き手の答えを聞かずに)
コッチ側、終わり。息かけるから、動かないで。
答えなくていいから。アンタの答えは、もう分かってる。
直接……アンタの声で、聞きたく無い。
(聞き手の耳に息を掛ける。)
はい。終わり。反対向いて。
うん、そう。じゃあ、こっち側、始めるから。
(耳かき開始、しばらくの間沈黙)
――――ここまで――――
――――耳かきをしない場合ここから――――
(聞き手が申し出を拒否する)
……そう、だよね。ふ、ふふ……
やっぱり、直接、断られると……少しだけ、ショックだな。
――――ここまで――――
いや。謝らなくていいよ。会う度誘ってるんだから、アンタの答えも分かってた。
と、言うより……初めてアンタと戦った時から、か。
正直、なんだこいつはって思ったよ。これから戦闘かって思ったのに、話を聞きたいって言い出して。それでうんうん頷いて、疑問があったら質問とかよこしてきてさ。
どうせ戦うことになるんだろうって、ならもう、不意打ちで排除しちゃうかって、何度も思った。
でもさ、こっちとしても……あんな風にまじめに話を聞かれると、突っぱねるわけにもいかないじゃない?
いや、そりゃそうよ。私達はね、私たちなりの理想の為に戦ってるのよ。悪だって決めつけてるのは、大衆の方。私達は一度たりとも、自分達が悪だなんて、思った事無いんだから。
だから、真剣に話を聞く人間を邪険には出来ない。話をして、説得して、協力を得なければならない。少しずつでも味方を増やして、一般の人たちの意識自体、こちら側に引き付けて……そうして、世界を動かしていくの。
ほら、またぁ。うんうんって。まさか、適当にうなずいてる訳じゃないだろうね? ふふ……
いや、分かってる。あなたはいつも真剣で、真面目で。きちんと私の話を聞いてる。
でもさ。だから、さ……その時も、思ったんだ。コイツなら、私たちの味方になってくれるんじゃないか、って。期待した。今もしてる。
してるのに、さ。アンタはいつも、寝返ることだけはしないんだ。
殺した方が世のためになる人間たち。壊した方が世のためになる仕組みや制度。
それを支える企業や施設、お金の動き……私達がそれをどうにかしようとすると、必ずアンタは、阻止しようとする。
話し合いでどうにかならないか、って。説得する私が痺れを切らして、アンタを排除するために銃を向けるまで、アンタはずっと、そんな事を言い続けるの。
どうしてそこまで、話し合いに拘るの?
それでどうにもならなかったから、今の世の中になってるのに。
もう、暴力で訴えるしかない。どうしようもなく状況は張り詰めきっていて、一度決壊してしまわなければ、新しい世界には移行できない。なのに……
いや、待って。答えなくていい。アンタが何を言うかも、私はもう分かってる。
キミを悪役にしたくない。でしょ?
ふ、ふふ……あの時それを聞いた時、口説いてんのかよって思った。初対面で、こっちは顔を隠したままで、銃口まで向けてんのにさ。泣きそうな顔して、そんなことを言うんだもん。
私達の目的は、達成しなければならないって。されるべきだって。理念も、理想も、果たされるべきだって。その為には、決して手を汚してはいけない……そんなことを、言うんだもん。
ああ。真面目に聞いてくれてたんだなって、その時に分かったよ。そしてアンタが、とんでもない甘ちゃんだってことも。
(耳かきをしている場合、ここで耳かき音終了)
そんな、アンタがさ。いやに、眩しく感じたんだ。あーあ、コイツがこっち側だったらな、って。一緒に頑張れたなら、どれだけ良かっただろうに、ってさ。
誰も彼もが、私達を悪だと言う。捕まったなら、何されるか分からない。
知ってる? こっちに所属してる人員が、一般人に捕まって。身バレってやつ? 結果、リンチよ。その家族まで。戦闘にすら参加してない、作戦にすら参加してない事務員がよ?
そんな状況なのにさ、私達を止めようとするヒーローが、アンタだけが、まじめに私たちの話を聞いてくれるんだもん。泣きそうな顔で、声まで震わせて、理解を示してくれるんだもん。なのに、絶対に相いれないんだって、突き付けてくる。
泣きたいのは、こっちだっての。
殆ど完成したパズルの、最後のピースを目の前でへし折られた気分。
完成すればさ、凄くきれいな絵が出来るんだよ。完成しかかってるだけあって、それがよく分かる。
けれどそれは、永遠に完成してくれないんだ。
けれどそれは、あまりに綺麗であるだけに、嫌いになることすら出来ない。アンタと会う度に、へし折った筈の最後のピースを、へし折られる前の形で差し出してくれやしないだろうかって、そんな期待を抱いてしまう。
ねえ。頼むよ、ヒーロー。
あの時の言葉は嘘だったって、私達の側につくって、そう言ってよ。今更、なんて、絶対に言わない。やっと、ついにこの日が来たんだって、心から喜び、歓迎する。
だから……次。次、会う時は……
(沈黙)
――――耳かきをしている場合ここから――――
……こっち側も、終わり。いや、大分前に、終わってたけど……息、掛けるよ。
うん。耳垢、散るといけないから……動かないで。
(聞き手の耳に息を掛ける。掛け終わった後もそのまま沈黙)
……まだ。まだ、動いちゃ駄目。
いや……耳かきは、終わったけど。
このまま。横顔、見せててよ。
対面……正面からばかり、アンタの顔は見てきたから。
今は、さ。横顔、見ていたいんだ。
なんならこのまま、眠っちゃってもいいよ。うん。私も、少し眠たいから……アンタの顔を見ながら、寝る……
いつか、いつか、ね。人目を避けたり、隠れたりせず。堂々とアンタの横に立って、一緒に、同じ方向を見て……
……組織の目的とか、理想とか。それが実現した世界よりも。アンタと一緒に並び立つ、そんな、世界を見てみたい……
叶わない、って言うのなら。せめて、今だけ。今だけは……
このまま、アンタの横顔を。安らかに眠る姿を見ながら、眠らせて……うん。
おやすみ、なさい……
――――ここまで――――
――――耳かきをしない場合ここから――――
……ね。このまま、少し、眠ってもいい?
アンタの肩、借りたまま……うん。少し、だけだから。アンタも、寝ちゃっていいからさ。
なんだかね、凄く安心するんだ。アンタは私と殺し合う仲。だけどきっと、何かがあっても……きっと、守ってくれるだろうって、信じてしまう。
ずっと、さ。ずっと、こういう風に、隣にいてくれれば良いんだ。私の味方で、居続けてくれれば。
組織の掲げた理想だとか、理念だとか。そう言うのが実現した世界よりも、先ず、あなたと一緒に、隣り合っていられる世界が見てみたい。そんなことすら、考えてしまう。
分かってる。それは、叶わないんだって。
だから、せめて、せめて、今だけ……
アンタの隣で。寄り添ったまま、眠らせて……うん……
おやすみ、なさい……
――――ここまで――――
クレジット
ライター情報
ワナビ未満のバケモン。
人生限界人間向けの台詞台本を書きます。僕が限界だから。助けてくれ、あなたの声で。
読み上げた動画とか出たら教えてくれたら喜びます。
人生限界人間向けの台詞台本を書きます。僕が限界だから。助けてくれ、あなたの声で。
読み上げた動画とか出たら教えてくれたら喜びます。
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