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【声劇台本】殺人現場でおやすみ【一人用】
  • シリアス
  • 探偵
  • 声劇
公開日2026年05月15日 20:44 更新日2026年05月15日 20:44
文字数
1967文字(約 6分34秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
探偵
視聴者役柄
犯人
場所
大雪で孤立した山荘
あらすじ
タイトル「殺人現場でおやすみ(さつじんげんばでおやすみ)」

大雪で孤立無援の山荘の中、連続殺人が発生。
最後に残ったのは「殺人犯」と「探偵」の二人だけ。
もはや「推理ショー」を始めるだけ野暮な状況に、「探偵」は諦めまじりに「殺人犯」に向けて語り始める。

一人用の声劇台本(男女兼用)です。
内容の改変・アレンジOK! ご自由にお使いください!
商用・非商用利用に問わず連絡不要です。
本編
  ――大雪で孤立無援となった山荘の談話室。暖炉の火にあたりながらソファでくつろぐ探偵。
  ――そこに凶器を持った犯人がやってきたタイミングで、探偵がおもむろに話し始める。


・・・『赤毛連盟あかげれんめい 』って知ってるかい?

翻訳によっては『赤髪連盟あかがみれんめい 』や『赤毛組合あかげくみあい 』、『赤毛あかげ クラブ』って題されることもあるけどね

かの有名な名探偵「シャーロック・ホームズ」が登場する短編のひとつだよ

その話の中で、見事な赤毛をしたウィルスンという男が、「赤毛連盟あかげれんめい 」で副業をするんだけど・・・

その副業というのがね・・・

「百科事典」の書き取りなんだ

ひたすらに「百科事典」のページをそっくりそのまま書き写す

それだけの簡単なお仕事さ

私が『赤毛連盟あかげれんめい 』を読んだのは・・・

小学5年生くらいの頃だったかな?

子供心に思ったよ

「なんて割のいい仕事なんだろう!」ってね

思えば、私は学生時代・・・

「漢字の書き取り」や「英単語の書き取り」をするのが好きだった

単純作業が、肌に合うんだろうね

だから「赤毛連盟あかげれんめい 」の仕事には心惹かれたよ

「百科事典」の書き取りで収入が得られる!

なんて最高の仕事なんだ!

・・・ってね

まあ、もっとも・・・

私はウィルスンのように「赤毛連盟あかげれんめい 」に入ることはなく・・・

ホームズと同じ「探偵」になってしまったわけだけど

人生ってのは、ままならないよね

・・・キミはどうだい?

自分が「殺人犯」になってしまうだなんて・・・

子どもの頃は、想像もしなかったんじゃないかい?

そう・・・

この山荘で起きた連続殺人事件・・・

犯人はキミだ

・・・

とは言ったものの・・・

生き残ってるのは私とキミの二人だけだからね

外は大雪・・・

外部からの犯行はありえない

そして、私は私自身が「犯人ではない」ことを知っているし・・・

キミも、キミ自身が「犯人である」ことを知っている

今さら「推理ショー」を始めるのも野暮ってもんだ

私のことも殺しに来たんだろう?

キミが部屋中を探し回っている音は聞こえていたからね

どこに隠れたものか・・・それとも凍死覚悟で外に逃げたものか・・・

一応、考えてはみたけれど・・・

諦めたよ

寒いのは苦手なんだ

どうせ死ぬなら、暖炉のある部屋にしようと思ってね

こうして、談話室のソファでくつろぎながら待っていたんだよ

キミのことをね

・・・

最期に教えてほしい

キミはなぜ、殺人を犯したいんだい?

・・・おっと、失礼

道徳や倫理の話がしたいわけじゃないんだ

単純に興味があるのさ

キミが「どんなトリックで被害者たちを殺したのか」は推理できたけれど・・・

そこに至るまでの「動機」を、私はまるで知らないんだ

まあ、私は偶然居合わせただけの「探偵」だからね

キミらの人間関係なんて知るよしもなかったわけさ

よければ聴かせてくれないか?

キミの話を

・・・安心しなよ

見ての通り、私は丸腰さ

今更、なにもできやしないよ

・・・

・・・もしかして、警戒してるのかい?

なら、その凶器を突きつけて命令すればいい

たとえば・・・

「服を一枚ずつ脱いで証明しろ」、とかね

私の命は・・・いや、私のすべては・・・

今、キミが握っているんだ

キミのどんな命令にだって私は従順になるよ

どうする?

夜は長いんだ

時間ならたっぷりとある

私の息の根を止めてしまう前に・・・

私に教えてくれないか?

キミのことを


  ――夜が明け、日が昇る。外の大雪が止み、暖炉の火も消える。
  ――時刻は昼過ぎ。探偵はソファであくびをしながら目を覚ます。


・・・ん・・・?

ふぁ・・・

もう、朝・・・いや昼、かな・・・?

ソファの寝心地も、存外悪くないものだね

数日ぶりに、ぐっすりと眠れたよ


  ――探偵はソファから立ち上がり、窓に近づいてカーテンを開ける。


ほら、見てごらん?

吹雪も止んだみたいだ

・・・

まあ、答えられないか

キミはもう死んでる

死体になったんだよ

私が殺したからね

仕方ないさ

「連続殺人」という大立ち回りをしてクタクタに疲れていただろうからね

それに、ストレスに感じていた「人生の邪魔者たち」を全員始末できて・・・

ずっと胸の内でわだかまっていた感情を、洗いざらい吐き出すことができて・・・

私に、泣きじゃくる赤子をあやすように慰めてもらって・・・

張りつめていたものがプッツリ切れちゃったんだろう?

昨晩はさぞ、心地よく眠れたんじゃないのかい?

「殺されたことにも気づかない」くらいに

いくら私でも・・・

寝息を立てているキミを殺すくらいなら出来るさ

・・・

ひょっとして「探偵が人を殺すわけない」とでも思っていたのかい?

それは偏見だね

「実は探偵役が殺人犯でした」ってオチの推理小説もあるんだよ?

19世紀の頃には、すでにね

私がキミを殺したのは・・・

ただの正当防衛さ

殺人犯と一緒に安眠できるほど、私の肝は座ってない

だから殺した

他に理由はないよ

ごめんね

話の続きは、また今度・・・

人殺し同士、地獄でしよう

だから、それまで・・・

ゆっくりおやすみ

よい悪夢ゆめ
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
【声劇台本】殺人現場でおやすみ【一人用】
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
ねこじゃらし製鉄所
ライター情報
ねこじゃらしせいてつじょ
短めのシチュエーションボイス台本を書いています。
よろしくお願いします。
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