あのーお兄ちゃん！

ごめんなさい！怒らないで下さい！

えっ！別に怒ってないですか！？

それで…えーっとね！

おうちがわからなくなっちゃったの！！

お兄ちゃんは私のおうちわかる？

どんな家？うーんとねー！

赤い屋根のおっきなおうち！

あとはねー！おっきい壁があるよ！

わかる？お兄ちゃん！？

見つけてくれるの！？ありがとうお兄ちゃん！

……

それ！私のおうち！

お兄ちゃんすごいっ！

お兄ちゃんは名探偵なの！？

違う？

えっ！？私のおうちって有名なの？

そうなんだ！知らなかった！

急にしゃがんでどうしたの？

おんぶしておうちまで連れて行ってくれるの？

ありがとうお兄ちゃん！

でもいいの？

ありがとう！

…

どうして私があそこにいたのか？

うーんとね！

私！お外に出た事がなくて
お母様から外は出ちゃダメってずっと言われてたんだけどね！

お部屋の窓から外を見てる時に
私と同じ位の人間が楽しそうにしてるのを見てどうしても外に出て見たくなって！

お母様のいない間にお外にでてみて歩いていたら
場所が分からなくなっておうちに帰れなくなっちゃったの！

それから大人の人間に勇気を持って声を掛けてたんだけどね！

みんな『ごめんね！』って言ってどっかに行っちゃったの！！

それでお兄ちゃんと会ったの！

そーなの！大変だったけど
でも初めて外に出て凄く楽しかった！

優しいお兄ちゃんにも出会えたし！

お兄ちゃんって凄くいい匂いがする！

汗臭くないよ！とってもとーってもいい匂い！

あと美味しそうな匂い（小声）

なんでもないよ！お兄ちゃん！

あっ！私のおうちだ！

ありがとうお兄ちゃん！

それでね！お兄ちゃんにお願いしたい事があるんだけど！いい？

私、お母様との約束破っちゃって怒られちゃうかもしれないから
お兄ちゃんも一緒についてきて欲しいの！

ダメ！？

いいのっ！ありがとうお兄ちゃん…大好き！

（家に入る）

ただいま！お母様！

ちゃんといい匂いの人間を連れてきたよ！

ごめんねお兄ちゃん！

全部嘘なの！
迷子なのも外に出た事が無いのもお母様に怒られるのも！

『なんで？』って
それはね！お兄ちゃんみたいに美味しそうな人間の血が欲しいから！

私はね吸血姫なの！

たまにこうやって人間をおうちに連れてきてね！
お母様と一緒に晩餐会をやるの！

それで！今回はお兄ちゃんが選ばれたんだよ！

おめでとう！お兄ちゃん！

そして！さようなら！

最後まで楽しませてね！お兄ちゃん！

・台本（ゆるボイ！）
迷子の小さな吸血姫
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
クラフリ