さて、あなたは幼少の約束を覚えていますか？約束を破ってはいけませんよ？それも、力の強い妖怪の前では……神隠しに遭っちゃいますよ？

(玄関ドアを叩く音)

こんばんは♪

久しぶり～！

さ、一緒に帰ろ？

……ん？　どうしたの？

そんな、狐に化かされたような顔して。

……あぁっ、冗談！

冗談だからドア、閉めないでぇえ！

ふぅ……もう、いきなり閉めるなんて、

話だけ聞いてやる？　って……

ねぇ、どうしちゃったの？

もしかして、覚えて……ない？

狐の嫁入りならぬ、婿入り……だよ？

昔にさ、私たち、約束したよね？

「私たちが大人になったら、結婚して、ずっと、ずぅーっとここで暮らそうね」って。

でさ、君も私も大人だから、迎えに来たんだよ。

もぅ、ここまですっごく遠かったんだからね？

さ、こんなところにいないで、一緒に帰ろう？

私も、ずっと待ってたんだよ。

きっと、きみはわたしとの将来のために、わざわざこんなところまできて、

色々頑張ってくれてたんだよね？

でも、昔言わなかったっけ？

私のおうちは広くて、お金持ちで、

ほら、おしりも……見て？

尻尾も昔と違って９本あるから、力もあるんだよ？

だから、まぁ……きみの努力はすっごくうれしいよ？

私のためだって思うと、今でも、胸がポカポカする。

だから……ほら……

（囁き）こんな他のメスの匂いがするとこ、早く出ようね？

ううん、言わなくてもわかってる。

きっと、その……私が初めての女性だと、

緊張しちゃうし、色々失敗するのが嫌だったんだよね？

だから、その女はただの練習台、だよ、ね……？

ね、ね？　そうだよね？

そうだよって、言ってよ……そんな女は捨てて、わたしを抱きしめてよ……

ねねね？

ほら、私のしっぽ、もふもふだよ？

ほ、ほら！　外には、私についてきた狐がいっぱい！

私と一緒にいてくれれば、なんにも不自由ないんだよ？

おいしい食べ物もいっぱいあるし、欲しいものだってある！

だから……振り向いてよ……。

うぅっ……ぐすっ……

ここまで言っても、「帰ってくれ」、なんだね……。

ねぇ……最後に、もう一回だけ……

お願い……私のところに…………

（否定される）

ん……んふふふふふふふふふふふふふ……

あー……もう、いいやぁ……

はい、とりあえず、お口はチャックしましょうね～。

で、体も動かしちゃだめだから。

どう？　体も動かないし、口も効けないでしょ？

んふふ、もう、すっごく驚いた顔してる……ステキだね。

もうさ、君自身から来てくれなくても、正直いいんだよね。

だってさ？

私、九尾だよ？

妖怪の中の妖怪……なのに。

こんなにお願いして、

会えなかった分、ゆっくりこれから過ごせると思ったのに。

ねえ……わかってる？

こんなに……こんなに長い間待ってたのに、

きみは、他の女と遊んでたんだよね……。

まだ少しだったから許してあげるけど……

正直、契りを交わしてたら、さすがに彼女さんの一族郎党を滅ぼすまでやってたよね……

でも、いいもん。

会えなかった分……分からせるから。

分かってもらえるまで……ずっと教え続けてあげる。

あぁ、やっと夢にまで見た新婚生活……♡

そんな怖がっちゃって……身が持たないよ？

私の力で、誰も助けに来ない……みんな、君のことを忘れるから。

でも、わたしだけはきみのことをよぉく知ってる……

私が世界で誰よりも君のことを知ってることになるんだぁ……

うれしい♪

さ、代々引き継がれてきた提灯行列で、私たちの暮らす場所に行こうね♡

ほら、私の、暖かいもふもふ尻尾に包まれて、一生、一緒にいようね。

・台本（ゆるボイ！）
ヤンデレ九尾「約束…果たしに来たよ」
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
空上新奇