母親とケンカをした貴方は家を飛び出し、実家を離れて暮らす姉の家にやってきました。
いつだって貴方の味方の頼りになる自慢の姉です。
姉は今日も優しく迎え入れてくれました。
しかし…普段は鍵のしまっている部屋に入ってしまったことで貴方は姉の秘密を知ってしまい…。

こんな時間に急に来るなんて…お姉ちゃんびっくりしちゃった

弟くん…なにかあったの？
またママとケンカでもした？

なぁに？就活…うまくいってないの？
ほら、お姉ちゃんにはなんでも相談してねっていつも言ってるでしょ？
大丈夫、お姉ちゃんはいつだって弟くんの味方だよ

うん…そっか…
就活もうまくいかない、パパとママはずっとケンカばっかりで家にいても落ち着かなくって…今回は就活のことでママにうるさく言われたのね？

ほんと…お姉ちゃんが出てくる前と全く変わらないのねあの人たち

就職だって…弟くんの好きな会社でいいの
ママに口うるさく言われてママの言う通りの会社に行こうとしてるんでしょ？
いいんだよそんな事しなくて

もう…疲れちゃった…？
おいで…？ぎゅーってしよ

（ささやき・頭を撫でる）
ごめんね…お姉ちゃんだけ出て行っちゃって
つらかったねごめんね
お姉ちゃんね、ずっと弟くんを迎えにいけるように頑張ってきたんだよ？
お姉ちゃんね、起業して…ようやく軌道にのってきたの
だから…もう我慢しなくていいよ

ね、お家出てここで一緒に暮らそ？
絶対必要なものだけ取りに戻って、あとは全部お姉ちゃんが新しく買い揃えてあげる

え？あの家に必要なものなんてない…？
そっか…じゃあ…全部新しくしよっか

大丈夫だよ
ぜーんぶお姉ちゃんにまかせてっ！

長い間連絡とってないけど…パパとママに文句なんて言わせない
弟くんの幸せはお姉ちゃんが守ってみせるんだからっ！

ほら泣き虫くんは顔洗っておいで？
下着とか歯ブラシとかあとでコンビニに一緒に買いにいこっ！


（場面切り替え）

戻ってこないなぁって思ったら…
あーあ…そっか…扉ちょっと開いてた？
だって弟くん急に来るんだもん慌てちゃった
いつも鍵かかってる部屋があいてたらそりゃ気になっちゃうよね～…
しかも机の上にドーンとおっきな日記帳！
そりゃ気になっちゃうよねぇ？

ね、読んだんでしょ？
読んだからそんな顔してるんだよね？

（紙をめくる音）
（片耳囁き）
『５月７日　あいかわらず実家はノイズが多くてほんと嫌になっちゃう
可愛い弟くんの声だけが聞きたいのにヒステリックに叫ぶ女の声が入って邪魔
こんな地獄で苦しむ弟くんを早く助けなきゃ
弟くんは今日も部屋で苦しそうに丸まって眠ってる
かわいそうに…お姉ちゃんがもうすぐ助けてあげるからね』

『５月８日　信じられない。あのヒステリックな女が弟くんの頬を叩いた
絶対に許さない許さない許さない許さない許さない
弟くんを早く助けなきゃ地獄から早く連れ出してあげな…』

ふふっ
これ書いてる途中で来ちゃうんだもん
びっくりしちゃった

ん？なんでって…なにが？
ああ…ほらあんなところに弟くんを残すの心配じゃない？
だからね、カメラいっぱいつけてから出てきたの
あの時はまだお姉ちゃん弟くんを連れて出てこれなかったから…
だからずーっとカメラごしに見守ってたよ

この本棚にあるのはぜーんぶ弟くん観察日記
弟くんが無事に暮らしてるかお姉ちゃんは心配で心配で心配でしかたなかったんだもん。仕方ないよね？

ふふっどうしたの？
混乱してるの？弟くんかわいそう…

大丈夫だよ、もうお外になんて行かなくてもいいの
服とか必要なものもお姉ちゃんが買ってくるね
大学も就職も気にしないで
お姉ちゃんが全部うまく処理してあげるからね

大丈夫よ
もうなんにも苦しまなくていいからね
そう…全部新しくしようね

地獄で暮らすのはもうおしまいっ！今日からは天国で暮らすの！
お姉ちゃんと一緒なら幸せだって弟くんがわかってくれるまで
ここでお姉ちゃんと二人きりで過ごそうね

だぁいすきだよ
今日からはカメラごしじゃない観察日記
つけなきゃね

・台本（ゆるボイ！）
信頼していた姉がヤンデレだった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
梅野りら