（ドアが開く音）
あっ、お兄さんだ。
はじめまして。
あの、、、お兄さんの彼女の妹のナオです、、、。
お姉ちゃんから、お兄さんのこと、色々聞いてます。
お姉ちゃんですか？
仕事が長引くって連絡、ありませんでしたか？
あっ、お兄さんの携帯に連絡来てませんでしたか？
来てますね。
お兄さん、あんまりＬＩＮＥとか見ないんですね。
お姉ちゃんが来るまで、リビングでゆっくり話しませんか？
お茶出してくるんで。
ちょっと待っててください。
はい、どうぞ。
麦茶でよかったですよね。
え？
これお土産ですか？
おいしそー。
これ、名古屋のお菓子ですよね。
出張だったんですね。
だから、そんな荷物いっぱいなんですね。
お兄さん、人違いだったら申し訳ないんですけど、もしかして、、、。
プロレスリングマックスのＳＵＺＡＫＵ選手ですか、、、、？
あぁ！
お茶吹き出しちゃった！
タオル持ってきますね！
すっごいむせちゃってますね笑
何で知ってるの？ってことですよね。
私、友達にプロレスが大好きな子がいて、一緒に見に行ったことがあるんです。
その試合が、ＳＵＺＡＫＵ選手が初めてベルトを獲った試合で、感動してファンになっちゃいました。
そこから、ずっと応援してて、、、。
で、お兄さんがお姉ちゃんと去年の夏、海に行ったじゃないですか。
そのときお姉ちゃん、自慢するために何枚も写真送ったんですよ。
何枚も何枚も写真を見ている内に、、、この体、見たことあるな！ってなって、、、。
ブロマイドと比べてみたら、ほくろの位置も一緒だし、、、。
もしかして、と思って声かけてみたらほんとにＳＵＺＡＫＵ選手だったんですね！
昨日は名古屋大会だったんですもんね。
だから、名古屋土産持ってきて、、、。
お姉ちゃんは、お兄さんがプロレスラーって知ってないですよね。
どうして、言わないんですか？
え？
プロレスラーだって知ったら関係が終わっちゃうかもしれない？
そんなことないですよ！
じゃあ、、、私の部屋来てください！
どうぞ。入ってください！
（ドアが開く音）
　
これ、、、。ＳＵＺＡＫＵ選手のポスターとか、、、カレンダーとか、、、。
あんまり大会には遊びに行けてないので、、、。
サインは少ないですけど、、、。
私、学校に行くのがいやな時があったんです。
でもＳＵＺＡＫＵ選手が「諦めなければ、やまない雨はない！」
ってリングで叫んだ時、私も、諦めないで、もう一回挑戦しようかな。
って思えたんです。
お姉ちゃんはプロレスのこと、あんまりよく思わないかもしれないですけど、、、
私は、プロレスの力、信じてますから！
きゃっ、、、。
いきなり抱きついたりして、、、どうしたんですか？
うれしいんですか？
あの、、、もっと強く抱きしめてもらってもいいですか、、、？
うぅん、、。
やっぱりパワーあるなぁ、、、。
お兄さん、私、お兄さんのこと大好きです、、、。
お姉ちゃんと違って、、、私にしか知らないお兄さんの秘密、、、。
絶対誰にも言いません、、、。
心の中にしまっておきます、、、。
私、、、お兄さんのおかげで人生、すごく明るくなりましたよ。
お兄さん、これ、、、私のＬＩＮＥ。
お姉ちゃんのはあんまり見ないかもしれないけど、私のは見てね。
お姉ちゃん、もうすぐ帰って来ちゃう！
え？
これ、、、。ＳＵＺＡＫＵ選手のマスク、、、。
私にくれるんですか？
応援してくれたお礼、、、。
じゃあ、私からもお礼してあげます。
目を閉じてくれませんか、、、？
（リップ音）
じゃあ、リビング行きましょうか？
お兄さん、、、大好きですよ。
（ささやくように）
　
　


　

・台本（ゆるボイ！）
「彼女の妹と僕だけの秘密」
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ファームちゃん