いつものように過ごすセフレとの時間、今日もそのまま同じような時間を消費すると思っていた。
しかし…

// 深呼吸、呼吸を整える感じ

…お前さ、出し過ぎ。
1ヶ月ぶりとはいえ、前回から一体どれだけ溜めてたんだか。
それに一回の時間もかなり長いし…
場持ち、良過ぎないか？
確かにこうして直接会ってする機会ってそこまで多くないし、
私だって小洒落たテクなんて持ち合わせてないけどさぁ…
ひょっとして私ばっかり気持ちよくされて、
お前ってばあんまり気持ちよくなってなかったりする？

// 否定

そう？それならばセフレ冥利に尽きるってもんだけど。
私の実力不足じゃないなら…

本命は未だに（心を）開いてくれない、だから発散できずにここで張り切ってる、とか？
…今度は苦虫を噛み潰したような顔になった。
ふーん、思うところがあるんだ。
いいよ、何か言えることがあったら私に相談してみ？
と言っても、本当に聞くだけで、それっきりだけどね。
当たり前だろ、そのためのこんな腐った関係なんだから。
めんどくさい事は一切お断り。
話聞いてあげるだけ有難いと思ってもらわないと。

………なるほどねぇ。
結婚してからじゃなきゃそう言うことするのは嫌だ、か。
たまにいるよねー、どこの教えだよってくらいに貞操観念キツキツなやつ。
そして私みたいなビッチを一目見ると不潔だなんだとこっちの言い分なんて知りもしないのに知ったかぶって、軽蔑して。
奴らってほんと、何考えて生きてるんだか。
こうしてやりたい放題やってる私が言うのもアレだけどさ
親や社会のルールに囚われて、染められて。
型にはめられた人になるのも決して否定されるようなモンじゃないけどさ、だからと言って目の前にある快楽をみすみす逃してるってところ見てると、ある種の憐憫すら湧いてくる、そうは思わないか？
だって世の中、お前の目の前にさえこんな逸楽がゴロゴロしてんだぞ、もっと頭を柔らかくして、自分の思うがままに行動してみろ…って言ってやりたい。
あ、この話は内緒な。
と言っても、そんな凝り固まった考えを持ってるお偉いさんが私みたいな奴の言うことを鵜呑みにするとは到底思えないけど。
それに、もし万が一、この話を信じ込んでお前と身体を重ねたがるようなことがあれば私はお役御免、関係もこれで終わりになる。
いくら公認のセフレとは言え、流石に自分以外に愛情を注がれるって事実を黙認するっていうのは嫌になるだろ？
私は別に？お前が本当は最愛の人と私とで二つの関係を持とうが私を捨てようが構わないっちゃあ構わないけど…
その、なんだ？
なんというか…ちょっとだけ…悔しいじゃん？
いやまぁお前にとってはそれが悲願なのかもしれないけど。
取り残される私の気持ちも少しは考えて欲しい…なんて
んああもう！私らしくもない！もうこの話はおしまい！
とにかく！
私たちはお互いに事情があって性欲を満たすためだけにまぐわい合う、ただそれだけの関係。
他に恋人が居ようと知ったことじゃない。
ただただ一時の快楽に溺れて、どっちかの都合が悪くなったらすぐにポイ捨て、お互いに深くは詮索しあわない…
それくらいの方が需要と供給が噛み合うし、何よりお互いのためにもなる…

と、思ってたんだがな…

// 長めの間

ん？あぁ、そんな大それた話じゃないさ。
ただちょっとばかり…
生理が来ねえな、って思っただけだ。
ぷっ…アハハハハ、なんだその神妙な顔つきは？
恐ろしいくらいに滑稽な顔しやがって。
…あぁ、恐ろしいよ。
まるでその事実に気づいた時の私の顔そのものだ。
そんなお前、そして私自身に追い討ちをかけるようで悪いが…
これ、お前ならなんだかわかるよな？
何、ただの細長いプラスチックの容器だ。
お前にとって何より馴染み深いもの。
そしてこの線は…お前が絶対に見たくないはずの結果だ。
ここまで言わせてわからないとは言わせないぞ？
ご名答。どうやらお前が散々私に打ち付けた脈が私の中で本当に脈打ち始めたらしい。
医者にも見てもらった。6週目だってさ。
一応言っとくけど、私はここ半年お前以外との愛の火遊びは一切してないからな。
この中に宿ってるのは間違いなくお前の子、そして私の子だ。
さ、ここまで一方的に事実を述べてきたけど、どうするよ？
堕ろせ……ねぇ。
まぁ確かに？望まない若気の至りの結果としてこうなったのならそれが1番穏便で建設的な手段だ。
一度育んでしまった命を軽率に捨てる判断ができるその白状さも何ともお前らしい。でもな…
私は堕ろすつもりは一切ない、産むぞ？絶対にな。
何でって…お前さあ、まだ気づかないのか？
なら一旦思い出してみな、6週間前の事を。
普段ならお前が一方的にがっつくところから始まる。
それが私とお前のやり方だった。
だが覚えてるか？あの時だけは珍しく私から求めた。
あの日、実は危険日だったんだ。
バレたらシてくれないことなんて分かりきってたし、当時は隠してたけどさ。
…ようやく理解が追いついたか？
そ、確かにお前にとっては望んで無かった結果かもしれないが、これは間違いなく私が望んだ結果だ。

彼女を持つお前を、私のものにするための、な

最早言うまでもないことかもしれないが、私はお前に結婚という形で責任を取ってもらう。
それが私の目的であり、悲願。
今の彼女と責任を持って育てるというのならばこの子を渡さないこともないが…
果たしてあの純血乙女がそんな事を認めるかな？
もちろん、ただの手段として生み出されるこの子は不憫かもしれない。
だがそれも今の話。産まれたのちに私とお前とで愛情を注ぎ育てるのならば子供にとって今起こってるこんな話は知る由もないからな。
お前が父親になる限りはこの子は幸せになれる。
お前が結婚を承諾すれば…だがな。
それでも彼女の事を見捨てるわけにはいかない…か。
なぁ、さっきも言ったよな。
他に恋人が居ようと知った事じゃない、ってな。
それはもちろん、こういう時にも当てはまる。
他に思い人が居ようと、こうなってしまった以上責任を負わなきゃいけないってのが、この関係の悪いところだ。
さ、責任、とってもらうぞ。

・台本（ゆるボイ！）
ダウナーなセフレはあなたとデキ婚を企むヤンデレでした
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
えとのわーる(Stella)