クリスマスの夜、親が忙しくて一人さみしく泣いていたあなた。
そんなとき見知らぬ女性サンタがやってきたら…

選択式台本について

この台本は選択式台本になっています。ト書きを読んだうえで、演者自身がどちらを演じるか選択してください。

// SE 窓を開ける音
// ささやきで

メリークリスマース！
1年間良い子にしていた君に、サンタからプレゼントをお届けに参りましたー！

って……起きてたの！？
それに…ひょっとして、泣いてる？
もしかして…私が泣かせちゃった？
あっ…ごめんね。確かに変な格好の見知らぬ人が窓から突然部屋に入ってきたらびっくりするよね。
プレゼントだけ置いたらすぐに帰るから、だから泣かないで。
え…違うの？私のせいじゃないって？それじゃあ何で…
お母さんがいない…？
もしよかったらその話、詳しく聞かせてくれないかな。

うん…うん…なるほどね。

お母さんが忙しくて全然甘えられないから寂しいんだ。
そっか…
…
んー、よしわかった！
それじゃあ今日は私がママになってあげる、っていうのはどう？
確かに私は本当のママじゃないけど…
それでも、心に開いている穴を少しは埋められると思うの。
どう？よかったら私に任せてくれないかな？
ふふっ、ありがと。信用してくれて嬉しい。
早速だけど…私にしてほしい事、何かあるかな？
なんだっていいよ。
甘やかしでも寝かしつけでも、なんなら怒ってほしいとかでもいいよ。
って、いきなり言われても何も思いつかないよね。
んー、何かしてあげられる事は…

// SE お腹が鳴る音

今の音はもしかして…お腹が空いてるの？
晩御飯は？食べてないの？
準備はできてても食べられないって…？
どうして？何があったか見せてくれる。
あ…なるほど。
七面鳥の丸焼きだけ出されても刃物が使えなくて切り分けられないのね。
ちょっとキッチンを借りてもいいかな？
豪華なものは無理だけど…私が何か作ってあげる。
えーっと、冷蔵庫に何かないかな…

…お、これだけあれば、何とかなりそう。

ちょっと待っててね。頑張ってご飯作るから。

// SE 加熱音

んー？何でサンタさんが1人の家に留まっているのか…って？
それはね…暗い部屋の中、1人で泣いている姿を見ていたら…
何だかほっとけなくなっちゃった。
ほら、私たちサンタは子供たちに夢と幸せを与える事が仕事でしょ？
泣いている子をほっといて他の子の家に行くことなんて出来ないもの。

さあ、できたよ。どうぞ。召し上がれ。
炊き立てご飯に味噌汁、そして卵焼き。
確かにクリスマスには似ても似つかないけど…
お母さんがいないって言ってたから、手料理の味を食べさせたくて作ったんだけど…どうかな？

え！？何でまた泣き出すの！？
もしかしてまずかった！？
違う…？昔お母さんが作ってくれた懐かしい味がした…って？
そんなに長い間お母さんの手料理を食べられてなかったのね…可哀想に。
私もあんまり沢山は作ってないけど…
喜んで食べてもらえると嬉しいわ。

はい。お粗末様でした。
残さず全部食べてくれるなんて…とっても嬉しい。
お腹も心も満たされたところで…はい、これ。
何って…決まってるでしょ。
クリスマスプレゼント。
私はサンタさんだよ？
今日はちょっとイレギュラーな事してたけど、本来の仕事はこれ。
確かに私は今日限りの存在だけど…
来年は私なんていらないくらいにお母さんと一緒にいられるといいね、
って気持ちを込めたプレゼントにしたつもり。
さぁ、受け取って。

それじゃあ、名残惜しいけど…
今日はもうこれでお別れ。
いい子にしていたらまた必ず会いに来てあげるから。
1年間、いい子にしてるんだよ？

// ここからの展開は選択式

①サンタの正体はママでしたルート
ん？どうしたの？
帰って欲しくない…か。
ごめんね。私にもどうしても外せない仕事があるの。
お願いを聞き入れてあげられなくて私も心苦しい。
と言っても、私は今日限りのママだし、いつまでもいるわけには…
あ、そうだ！
私がお母さんにもっと子供と向き合う時間を作るようにお願いしてくるってのはどう？
確かに今日の夜を一緒に過ごす事はできなくても、
これからのお母さんとの時間はきっと増やせるはずだよ。
うん、やくそく。
絶対に守ってあげるから、楽しみにしてて。
それじゃあ、ばいばい。

// 外に出る

ふぅ…我が子のあんな表情を見たのはいつぶりだったかな。
あんな約束したからにはもっとお仕事頑張って早く帰れるようにならなくちゃ。
約束は絶対に守るから。
もうちょっとだけ待っててね。




②サンタによる寝かしつけルート
ん？どうしたの？
まだ帰って欲しくないって？
困ったなぁ…私はサンタさんだから、まだまだ回るべき子供の家があるのに…

うっ…そんな泣きそうな目で見られたら断りづらい…
もう、仕方ないなぁ。
それじゃあ眠りにつくまでの間は一緒にいてあげる。
だけど今すぐにベッドに入ること！
それと、眠ったら私帰っちゃうからね。
それでもいいならまだ一緒にいてあげる。
はい、ベッドに入って。
そしたら私が布団かけてあげるから。
そしてそのまま…むぎゅー！
どうどう？あったかい？
上からぎゅーって掛け布団を潰してあげると中の冷たい空気が抜けてあったかくして寝れるの。
なでなで…よしよーし、
眠りに落ちるまでは私がついていてあげるからね。

どうかな、私、ちゃんとママになれてるかな？
私は所詮かりそめのママでしかないけど、
クリスマスイブを過ごす子供たちを笑顔にしたいって想いなら、
きっとお母さんにだって負けないよ？
さぁ、目を閉じて。
夜明けはすぐにやってくるから。
目を覚ましたら、お母さんのプレゼント、うけとってね。
それじゃあ、おやすみ。

・台本（ゆるボイ！）
【選択式】クリスマスにママをプレゼントする女性サンタ
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
えとのわーる(Stella)