// 扉が開く音

おかえり〜。
今日もお仕事お疲れ様。

随分と帰ってくるの早かったね。
もしかして、私に早く会いたくて頑張ってきたとか？

あ、今の問いかけに返事はいらないよ？
私が勝手に君の愛情を妄想して喜んでるだけだもん。
まぁ、本当に私の事を思って早く帰ってきてくれたらこれほど嬉しいことはないけど。

ん…？ｽﾝｽﾝ…ｽﾝｽﾝ…
この匂いはまさか…ｽﾝｽﾝ…

わぁ！やっぱり、たこ焼きだぁー！
なんで持ってるの？
ひょっとして買ってきてくれたの？

なるほど〜。提携業務先から貰ってきたんだ。

じーーっ

ああ、いや、出来ればあつあつのまま食べたいなって思っただけ。
でもまだ晩御飯の時間には早いよね
仕方ないけど私も大人だから我慢すr…

// SEお腹がなる

あう…たこ焼きの美味しそうな匂いのせいでお腹空いちゃいました…
出来ればあつあつのうちに食べちゃいたい…です。

えっ！？いいの？やったー！
ねぇねぇ！早く食べようよ。
私お水と串の準備してくるね！

// 場面転換
// SE（任意）コップをテーブルに置く音

それじゃ、いただきます。
……もちろん、最初の1個目はどう食べるか、君なら分かるよね？

うんうん、1個目は素材本来のの味わいを楽しむためにソースも青のりも鰹節も使わずに食べるのが鉄板だよね…
やっぱり君も通だねぇ…ってちがーう！

散々味付けと加熱がされてるたこ焼きに素材の味も何もないやいっ！
それにダシを大量に入れた小麦と卵で出来た生地の主張が強いせいで素材の味なんてわかんないしっ！
そもそも最初からソースも鰹節もかかってるでしょ！

違うでしょー？
恋人同士のゆうげ、そのひと口目と言えば…
あーん、する以外ないでしょ？

ほーら、あーんしてあげるから、
口開けて。

はい、あーーー…やっぱあげないっ！
あむっ！

// たこ焼きが想像以上に熱くて悶える

…熱っ！
はふはふ…ふーっ！ふーっ！
待って待って、これすっごく熱い！

熱い熱い！口の中やけどしちゃうよ！
あつい、あっ！…水！お水ちょうだい！
んっ！ありがと…

// 水を飲む　セリフでもSEでも

ごくごくごく…はあっ…
熱かったぁー、口の中やけどしちゃうところだった

ちょっと君に意地悪したいだけだったのに…
まさかこんな酷い目に遭うなんて思わなかったよ

むー、何その顔
まるで私が熱さで苦しんでるところ見て楽しんでるみたいじゃない
はぁ？実際面白かった？ふーん…

彼女が苦しんでるところ見て笑うなんて…
そんな事言うなら…こうだっ！
君もこのあつあつ爆弾を食らえっ！

// 彼氏の口にたこ焼きをつっこむ

あははははっ！
ね？熱いでしょ？苦しいでしょ？
私が苦しんでる所を見て笑ったから仕返しだよっ！

でも…ちょっとやりすぎちゃったかな？
はいお水、どうぞ。
ごめんね？ちょっと調子に乗りすぎちゃった。

これでわかったでしょ。
今度はちゃんと背中割ってふーふーしてから食べないとね。

こうしてー、切り込み入れて、熱を逃がして…
ふーっ、ふーっ、これでよし！
はい、あーん。大丈夫、今度は熱くないよ。

どうどう？今度は味の良さ、わかったかな？
美味しい？本当？
それなら、私にも早く食べさせて。

あーんっ！はふはふっ…
まだ熱いけど…もう大丈夫！
もぐもぐ…んんーっ！おいしい！

有名店のたこ焼きだからかな？
タコが大きくて嚙み応えもすごいよぉ！
それに、生地の出汁がきいてて、もちもちして…食べてて幸せ！

ねえ、ちょっとこっち見て?
あーーー

あの…もっと食べたい彼女が口を開けて次のあーんを待ってるんですけど。
君からの甘く優しい施しは…まだですか？

ちょっと待ってろ…って?
はいっ！さっきからずっと待ってます！
それで、一体何をするの？

って、まさかそれは…マヨネーズ！？
だっ、ダメだよ！そんな禁断の調味料なんて使ったら…
罪だよ！？犯罪級にいけないことしてるんだよ！？

君は晩御飯マヨネーズマシマシ罪を犯してもなんとも思わないの！？
でぶでぶ刑に処されちゃうよ?
いいの！？君に罪の意識はないの！？

うっ、とっても美味しいよ、なんて…そんな悪魔のささやきを聞いたら断れなくなっちゃうじゃん！
ああもう！こうなったら私も堕ちるところまで堕ちてやるから！
ここから先は一蓮托生、何が起きても君のせいにするんだからね。

// ちょっと自棄になった感じで

あむっ！あっ…食べちゃった…本当は食べちゃいけないのに…
はい…すごく美味しい…です。
こんな味を知ってしまったら…もう元のタコ焼きには戻れないです…

あむっ！
ああ…たくさん食べるなんて…もっといけないことなのに
でも、それでも…おいしくて手と口が勝手に動いて止まらないよー！

// 場面転換、最後の一個

あ…夢中になって食べてたら最後の一個になっちゃったね。
いいよ、これは君にあげる。
私はたくさん食べたし、もう満足しちゃった。

はい、口開けて。
大丈夫、もう十分冷めてるから。
そのまま食べても、もう熱くないよ。

はい、あーーー…やっぱりあーげないっ！
あむっ！もぐもぐ…
あぁー、美味しかった。ごちそうさまでした！

どうどう？最後の最後になって最初と同じことされた気分は。
流石にこれは読めなかったでしょ。
でも残念、最後の一個はもう私のおなかの中だよ。

やっぱり食べたかったかな？
えへへ、いたずらしちゃってごめんね？
このお詫びはいつか必ずするから。

え？どんなお詫びをするかって？
んー、あ！
それじゃあ…今度一緒にタコパするっていうのはどう？

…もちろん、ふたりっきりで、ね。

・台本（ゆるボイ！）
熱々なたこ焼きをもっと熱々な関係の彼女と食べる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
えとのわーる(Stella)