自殺の名所で自殺をしようとしていると、突然女の子が話しかけてきて説得されます。バッドエンドではありません。

あの…そこのあなた。
そこから飛び降りるのはあまりおすすめしませんよ。

あ、いえ自殺を止めようとしているんじゃなくて…
その…私もそこから飛び降りて死んだので…

そこ…結構高く感じるかもしれませんが、意外と即死はできなくて、
とっても痛いんですよ。

落ちていく感覚も怖くて…その時間が何倍にも長く感じて…
やっぱりやめておけばよかった、なんて後悔しながら地面に叩きつけられるんです。

頭から落ちられればすぐに死ねたんでしょうけど、そんな度胸なかったので…
脚の骨が全部砕けてとんでもなく痛いし、
あばら骨も折れて、肺とか心臓とかに刺さって…
声も出せず、血に溺れながら息もできずに、激痛の中窒息死していくんです。

なので、自殺の名所だなんて呼ばれていますけど、ここで死ぬのはおすすめできません。
それに…目の前で人が落ちていくのを見るのも、嫌なので。
死ぬなら他の場所でお願いできませんか？

ただ、くれぐれも他の人に迷惑が掛からないように気を付けてください。
基本的に高所からの飛び降りはやめたほうが良いです。
さっき言ったみたいに後悔しますし、下に人がいる可能性もゼロじゃないので…

あと街中だと死体の片づけが大変です。
飛び降りはもちろんいろいろ飛び散りますし、
首吊りは死んだあと、いろんな液体が滴って汚くて臭いらしいです。
時間がたつと腐敗も進んでさらに片づける人が大変になりますし、
その部屋が事故物件扱いになって価値が下がると大家さんにも迷惑になります。

一番良くないのが電車に飛び込むやり方ですね。
死体の飛び散り方もえげつないですけど、
それより電車のダイヤが乱れることに対する損害賠償がヤバいです。
あなたの親だったり兄弟だったりパートナーだったり、
いろんな人の人生を狂わせます。

なので、人がいない樹海だったり、断崖絶壁だったりが自殺の名所になるわけですけど
迷惑にならない分、キツイ死に方になると思います。

窒息死が一番苦しいというのは有名な話ですが、
それより苦しいのが中途半端に生き残ってしまった場合…
私みたいな状況ですね。
特に海や川なんかでは、死ぬのに手間取って低体温症になったり
サメとかに襲われたりすることもあるみたいですね。


まあ結局のところ、死ぬより生きる方が簡単なんですよ。
死ねば楽になる、なんて真っ赤なウソです。
死ぬだけでも苦しいのに、わたしなんて死後までこんなところに縛られてるんですよ？

なのでこれは自殺の先輩からのアドバイスです。
もうちょっと生きてみてください。
それでどうしてもまた死にたくなったら、私の所に来てください。
話くらいなら聞いてあげますから。

…そうですか。ええ。そのほうが良いと思います。
では気を付けておかえりください。
くれぐれも事故で死ぬ、なんてことのないように。
では、さようなら。


ふぅ～、つかれた～。
幽霊のフリして自殺志願者を引き留める仕事なんて馬鹿馬鹿しいと思ってたけど、
意外とうまくいくもんですね。
基本暇だし、時給もいいし、人も助けられるし、一石三鳥だ。

さて、次のシフト交代まであと一時間、がんばりますか～。

・台本（ゆるボイ！）
自殺しようとしたら幽霊に呼び止められて…
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ろべ