実家を離れ一人暮らしをしているあなた。やっと取ることができた貴重な休日の午後に、年の離れたメスガキな妹が突然やってきた。
疲れてるこちらを貶し煽りながらも、何か用があるようで…。

お邪魔しま〜すっ。
あ〜、お兄ちゃん、もうお昼すぎだよぉ？　ぷぷ、相変わらず休みの日も寝てばっかなのぉ？♡　いぎたなぁい♡

んー？　毎日深夜までの残業で、やっと今日1日だけお休み取れたから寝溜めする？
んふふ、ざぁこざぁこ♡　そんな程度で疲れちゃうなんて、よわよわすぎ♡

いいから早く帰れ？　やだ、こわぁい！　怖くて泣いちゃうかも〜♡
いくら妹だからって、わたしみたいなちっちゃな子に、そんな風に言っていいの？
この防犯ブザー鳴らして、わたしが悲鳴を上げたりしたら〜、お兄ちゃん、いったいどうなっちゃうのかなぁ？♡

……まあ、防犯ブザーは冗談だけどぉ。煽り耐性なさすぎじゃない？♡
ふふふ、そんなんだからお兄ちゃんはザコなんだよ♡

そうそう、別に今日はお兄ちゃんに会いたいから来たわけじゃないんだよ。
えと。ママに頼まれてご飯持ってきたの。
ほら、肉じゃがに、ほうれん草のおひたし、カツオのステーキとタコの酢の物、ナスとネギのお味噌汁。

それにしても、一人暮らししてるいい大人が、子供にご飯持ってきてもらうなんてなっさけなぁい♡
いくらママが、心配症だからって甘えすぎじゃないの？

そもそも自分のママに心配かけるなんて、本当にお兄ちゃんってダメだね♡

え？　今からご飯食べるの？　昨日の夜からなにも食べてない？

ふーん。しょーがないな〜、お兄ちゃん今日は死んだ魚の目してめちゃくちゃ反応鈍いから、わたしがトクベツに準備してあげる♡
ちっちゃい子にお世話してもらうクソザコお兄ちゃん♡

（冷蔵庫開ける）

あー、やっぱりお米とかないんだぁ。生活力0過ぎ〜♡ おかずだけで我慢してよね。電子レンジは〜、え？　そのままでいい？　……あっそ、好きにしたら〜？
【※あったかいご飯を食べてほしいので、ちょっと不服】

（間。食事が終了する）

うわー、次の日にはもつように作ったのにぜーんぶ食べちゃうなんて、お兄ちゃんどんだけ飢えてたの〜？♡ くすくす、はしたなーい♡

……えっ？　今日のはママが作った味とちょっと違うし、野菜の切り方とかが変？

だ、だって、ママに教えてもらいながら作ったんだから、ちょっとくらいしょうがないじゃん！！

……あ。

…………。

べ、別に仕事で弱って食事もロクに摂ってないクソザコなお兄ちゃんのために、わざわざ作ったわけじゃないし？

たまたま、えっと、来週、その、調理実習があるから、その練習♡
なーんにもできないお兄ちゃんと違ってわたしみたいな良い子はぁ、ちゃんと事前準備とかも完璧なわけ♡
だからお兄ちゃんはぁ、ただの実験台的な？♡ わざわざ妹が自分のためにご飯作ってくれたと思うとか、そんな勘違い恥ずかしすぎ〜♡

……一応、聴くけど。不味かった？

（聞き手が首を振る）

本当？　じゃあ、じゃあ、美味しかった？

（頷く）

……そ！　まあ、お兄ちゃんにしては一応、上出来な答えなんじゃないの♡　語彙力なさすぎだけど♡
へ？　また食べたい？　へ、へえ〜、ちっちゃな妹にお情けでご飯作ってもらうのが快感になっちゃったわけ〜？♡　なっさけなぁい♡

どーしよっかなー♡
でもでも、わたしみたいな子にご飯作ってもらいたがる変態さんなんて、断ったらなにされるか怖くて、従うしかないかも〜♡

……今度はもっとビックリするようなの作ってあげるかもしれないから、期待しないで待ってなよ♡ お兄ちゃん♡

・台本（ゆるボイ！）
貴重な休日にメスガキな妹に差し入れされる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
小花衣凛