いつも早く帰ってしまう、ずっと話してみたいと思っていた子が、今日だけ放課後の教室に一人でいた。
そんな姿を見て、彼女は勇気を出して声をかける。
「あれー？　もしかして。今一人？」
と、笑顔で、早くなって収まらない心臓の鼓動と純情さをひた隠しにしながら。
一歩だけでも、一秒だけでも、近くにいられる関係になるために。

　≪学校のチャイム　ドアが開く音≫

あれー？　もしかして。今一人？

ふーん。そっかそっか……じゃあ、私がいれば二人っきりになれるって事かぁ。

え？　何の用か、って？　んー私は、単純に君と話がしたかった、っていうか……

前々から興味あったんだよね、君に

なんで、って。いつも難しそうな顔して本読んでたり、誰に話しかけられてもそっけなかっかり、その、私が話しかけてもそっけなかったし……だから、そういうの見てたらちょっと気になっちゃって

あっ、別に嫌味じゃないよ！？　ほんと、ごめんて！　違うから。私は、ただ仲良くなりたくて……って

え？　なんで笑うの？

かわいい？　私の困ってる顔が？

あぁ……うん。そう……そう、なんだ……へへへ……

あぁ、ごめんね。放課後はいつも早く帰っちゃうのに声かけて、今日はもう帰るの？

あーそうなんだ。今日は急いで帰らなくてもいい日なんだ……

じゃあ、さ……その

よければ、一緒に帰らない……？　

え？　私の友達はいいのか、って？　あーうん。別にいいよ

私、あたりさわりのない関係の友達……みたいな人はたくさんいるけどさ、放課後一緒に帰ったり、どこかに一緒に行きたい人って思える様な友達は、いないんだよね

ちょっと！　ギャルの癖になってなによ！　それに、私ギャルじゃないから！　ちょーっと髪色が派手で、ちょっとネイルしてるだけじゃん！

もぉ、君のギャル判定雑過ぎ

ふふ。でも、君とこんな風に話せると思わなかったな……今日、結構幸せな日かも

で……どう、する？　その、私と一緒に帰ってくれる？　今日だけでもいいから。

うん、そっか……ありがと……

じゃあ、その……

ちょっと寄り道もしたいし。

早く、いこ？

・台本（ゆるボイ！）
放課後、君との時間を、少しでも。
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・台本制作者
夜乃月