文芸部の部会で出会った二人は
自然と惹かれ始める。

よ♪オタクくん。
あんたも文芸部だったんだ。
昨日、部会の時部室で見かけたからさ。
声かけてみよって思って話かけたの。

あ、最近入部したのね。
今度みんなの小説集めて
文芸部の部誌にするから
あんたも一作書きなよ。
短編小説でもいいし、エッセイでもいいよ。

てかさ、
あんたいつもおどおどして、
この前調理実習では何もできなくて、
料理は全部お手伝いさんにやってもらってるとか
言って泣いてさ。
ダメダメな、
いいとこのおぼっちゃんみたいだよねw

でもオタクくんのこと気になってるよ。
調理実習でシチュー作る時、
グループのみんなは真面目にやらないのに
最後まで一生懸命、野菜を切ったり、
シチューを煮込んだりしてたよね。
あんたが一生懸命やってたから
シチュー焦がしそうになってる時に弱火にして
沸騰しすぎないようにして
手伝ったりしてあげたんだよ？

皿洗いもお手伝いさんに
やってもらってるとか言ってて
やり方私に一生懸命聞いてきたよね？
あんたどんな家の子なのw

私こそ学園で一番美人って言われてるし
上品でお嬢様っぽい？？って？

そんなこと、ないないw
私家庭の事情があって
母子家庭で貧乏だし
家柄も良くないよ。

てかオタクくん
今文芸部の部室、誰もいないみたいだしキスしてあげよっか♪

(オタクくんが「な、なんで！？」と言う)

なんで？？って？

だってあんたみたいなオドオドしてて
気弱な男の子で遊ぶの楽しそうなんだもん♡
部室行こ？
私が文芸部の鍵係だから
私しか部室の鍵持ってないの。
だから誰も入ってこられない。


はい、鍵閉めた。
もう誰も入ってこれなくなっちゃった。

オタクくん、ちゅ…

ファーストキス、奪っちゃった♡
ちゅ…ちゅ…

ハグもしてあげる♪

ぎゅー
ぎゅー

恥ずかしがっちゃって
かわいい♪

ちゅ…ちゅ…

こんなことするの初めて？

オタクくん、
悪い女友達できちゃったね。

ちゅ…

ぎゅうー

オタクくんどうだった？w

(オタクくんが恥ずかしいよ！と言う)

恥ずかしかった？

でも私は楽しかったよ♪

(オタクくんが「突然だけど悩みがある」と言う)

突然だけど
悩みがある？？
親の会社継がないといけないのが悩み？

明治時代から
一族経営してる古い会社だから
お見合いで会社に関係する女の人と
結婚しないといけない？？
許嫁(いいなづけ)と
結婚するのが嫌だ？？


そ、そうなんだ
オタクくんの家って…
た、大変なのね…

オタクくん。
あんたいい家の子だったんだ。
私の家庭さ、
片親だし色々家庭の事情もあるし
一緒にいない方がいいと思うの。

は？一緒いたいって？

仕方ないな♪ちゅーしよっか♪

ちゅ…

オタクくん放課後、塾って言ってたよね。

じゃあね♪
楽しかった♪
ばいばーい♪

(真剣な声でお願いします)
………オタクくん、
結婚相手、決まってるんだ。
人の不幸の上に成り立つ
幸せはないって…
そんなこと私でもわかってる…


(突然オタクくんを呼び出す)
(許嫁のいる
家柄のいいオタクくんと
自分は釣り合わないと
気付きオタクくんのことを
嫌いと嘘をつくヒロイン)

……急に呼び出してなにかって？

私あんたのこと嫌いになったの。
(怒る口調でお願いします)
そう。嫌いになったの。

私、もうじき卒業でしょ？
もう大学も決まってるし、
大学で別の男探すの。

もう私に関わらないで！

わかったとか言いなさいよ。
ほら、「わかった」って。

(「わかった…」とオタクくんが言う)

わかったなら消えて
あんたみたいな温室育ちの
おぼっちゃんなんて嫌いなのよ！
二度と私に話しかけてこないで。
消えてよ。
早く私の前から消えてよ(冷酷にお願いします）


………じゃあね…(優しい声でお願いします)


(その後、文芸部の部会で)

部長、部会お疲れー。
部誌の原稿ここに置いとくね。
そうそう短編小説だけど
難解な物語に仕上げたの。

ってなに？オタクくん。

(部会の後、オタクくんが「ねえ！話がある」と話しかける)

ねえ、話がある？？

オタクくん。
二度と話しかけるなって言ったよね？(怒りながら)

あんたみたいな
おどおどした男嫌いなの。
マジで話しかけてこないで。

(「あれから許嫁との縁談は断った！」とオタクくんが言う)

あれから許嫁との縁談は断った？？
は？何言ってんのあんた。

(「父親に殴られたよ」と笑いながら言うオタクくん)」

父親に殴られたよ？？
何笑いながら言ってんの？
あんた本当何やってんのよ…

(「僕と結婚してください」と言うオタクくん)

僕と結婚してください？？

……結婚って…
オタクくん……バカ……

(終)

・台本（ゆるボイ！）
文芸部のオタク男と美少女部員
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ジアゼパ太郎