【推奨:ゆっくり、間延びした声で】

にーさん、にーさん、そろそろ起きて下さい。

……お、起きましたね。おはよーございます、にーさん。

ここですか？ここは私の研究室です。お家から運んできちゃいました。なんと、この部屋にお呼ばれしたのはにーさんが初めてです。よかったねー、ぱちぱちー。

あー、ちょっと研究がイイ感じで、ちょっと散らかってるけど……でもほら、にーさんのために、べっどめいく？してみたの。ベッドの周りにヌイグルミいっぱい置いてあげたよ、うれしいでしょ。

手足が動かない？うん、パジャマとベッドにね、接着剤つけたの。何でって……それはにーさんの自業自得。にーさんが私にひどいことするからいけないんだよ。

オホン、これから、悪い子のにーさんにお仕置きをします。内容はとっても簡単。今から私が作ったロボットに、にーさんを拷問させます。ので、にーさんは耐えて下さい。それだけです。

ダメです。待ちません。妹ちゃんはとっても怒ってるんです。それではロボットさん、どうぞー。

(ドアが開く)

それじゃ、私はにーさんが反省してる間に夜ごはん食べてくるから。いっぱいボロボロになって、ちゃーんと反省してね、にーさん。



(数秒の間)



ただいまー……おぉ、血まみれですねぇ。はいはい、今から優しい妹ちゃんが、にーさんに手当してあげますからねー。

あー、怒鳴らないで下さいよー。消毒液、染みますよねー。でもコレ使わないと後で大変ですからねー。いい子だから我慢して下さいねー。

違う？じゃあ何でそんなに怒ってるのー？


あのロボット？がどうかした？

あのロボットが、にーさんの彼女さんに似てた？



……何言ってるの、にーさん？あれはただの、にーさんの元クラスメイト。にーさんのお嫁さんは私だよ？忘れちゃったの？

そう、お嫁さん。にーさんにはお嫁さんがいるんだから、彼女なんていないの。私がいる限り、にーさんに彼女なんて出来ないの。

訳わかんないって、何で？10年くらい前に、にーさんが、私に、プロポーズしてから、私たちはずっと夫婦だったでしょ？もちろん覚えてるよね？

でもあのクラスメイトさん、最近いきなりにーさんの彼女を自称してさ、ついこの前もお家に来てたでしょ？それでにーさんにベタベタしてさ……始めはちょっとムカついたよ、でもね、次第に可哀想になってきてさー。

だって、あのクラスメイトさん、心の底から本当に、にーさんのこと好きだって分かっちゃったもん。でも、にーさんは私の旦那さんだから、クラスメイトさんの恋は絶対叶わない訳でしょ？そんなの可哀想でしょ？

だからね、私が頑張って、クラスメイトさんを改造して、家族にしてあげたの！こうすれば、皆幸せでしょ？やっぱり私、頭いいよねー。

彼女を元に戻せ？出来ないよそんなの。だってクラスメイトさんの内臓とか骨とか、もう全部売っちゃったもん。あ、それで稼いだお金でね、かわいいモフモフのお洋服を買ったの！今度一緒にお出かけする時に見せてあげる！どう、楽しみ？

……わわ、にーさん、泣かないで。そんなに怪我、痛かった？よしよし、もう大丈夫だからねー、安心していいんだよー。

ん、旦那さんが辛い思いをしてたら、支えてあげるのがお嫁さんだもん。にーさんが落ち着くまで、そばにいてあげる。気分が良くなるまで、私がにーさんのこと、ぎゅーってしていてあげるから。

……あ、寝ちゃった。うふふ、ヌイグルミに囲まれて寝てるにーさん、かーわいいー！写真に撮っておきたいけど、にーさん起きちゃうかもだからやめておこっかな……。

ふぁ……ううん、私もそろそろ眠いなぁ……。あ、でもでも、今日のうちにあのロボットは廃棄しておかないと……幼なじみさんで作った時は暴走して大変だったし……ちゃんと処分はしなきゃ……。

それが終わったら、にーさんと一緒に寝よ……ヌイグルミとにーさんに囲まれて寝るなんて、すっごいゼータク。きっといい夢見れちゃうよね……！

うふふ、楽しみー！

(ドアが閉まる)
(終了)

・台本（ゆるボイ！）
不思議系で天才でサイコな妹に愛される話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ナガネギマン