よくやりました、勇者よ
よく、一人で魔王を討ちましたね
貴方のその功績はこの国だけでなく、魔王に悩まされていた近隣諸国の民をも救ったのです
ところで、勇者よ…
魔王を討ち、人々から英雄と呼ばれるようになりし者よ
貴方はこれから先、どうなさるのです？
貴方にはこれから死ぬまでの間、どれだけ遊んでいても尽きることがないほどの財が待っています
しかしそれを良くは思わぬ輩も出てくるでしょう
特に未婚だと言って貴方に言い寄ってくる雌犬…もとい金の亡者が
なので、ですね
その…私と、結婚しませんか？
急にどうしたんだって…いえ、その…私は、貴方の事を憎からず思っていますし、もし私と結婚すれば、他の女どもに貴方が騙される心配もしなくていいかな、と…
家柄なんか気にしなくても大丈夫ですよ、今の貴方は英雄、むしろ王も…父からも、私を娶らないかって言い出すと思いますよ？
…えっ…
俺を待っている人がいるから、申し訳ないけどお断りさせてもらう…？
そう…ですか…もう、いたんですね、そういう人
…おかしい、私が調べた限りでは勇者様にそういう関係の人物はいなかったはず…
ああいえ、大丈夫、私は大丈夫です、勇者よ
さあ、父が宴の準備をして待ってます、行きましょう



お目覚めですね、勇者よ
ここですか？ここは、私の部屋です
貴方、宴の途中で眠ってしまったんですが…覚えてませんか？
ま、覚えてても覚えてなくてもどっちでもいいのですが
では、勇者よ…
ここで、私と愛を育みましょう
嫌だ、幼馴染が俺を待っているんだ、帰る…？いいえ、貴方に拒否権はありませんし、逃がすつもりもありません
逃げようとしたら…そうですね、今は手枷足枷だけですが、次は首輪をつけてしまいましょうか
それに、貴方を待つ人、というのは嘘でしょう？
だって、貴方の人間関係をいくら調べてもその幼馴染に当たる人物は出てきませんでしたよ？
貴方の故郷…魔族も近くに住んでいたようですが、今は置いておきましょう
貴方の言うその幼馴染とは、一体誰のことです？
貴方は、父に呼ばれるまで故郷から出たことはなかった
にも関わらず、貴方の故郷には貴方とそこまでの仲の異性はいなかった…ああでも、一人だけいましたね、貴方が旅立つしばらく前に亡くなられてるようですが…
…は？俺を待っている幼馴染は、魔王だ…？
…勇者よ、貴方は、貴方の心は、とうに限界を迎えていたのですね…
魔王を、亡くなった幼馴染と錯覚するまでに…
大丈夫、私が癒やしてあげます、どれだけ時間がかかっても、癒やしてあげます
だから、今は安からにお眠りなさい…

・台本（ゆるボイ！）
ヤンデレお姫様は何が何でもあなたを逃さないようです
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
狐のお揚げ