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小さな黒猫になって、日の当たる縁側で実は寂しがり屋のお姉さんに耳かきしてもらうお話。
written by くうねる
  • 耳かき
  • 癒し
  • お姉さん
  • 縁側
  • 耳拭き
  • ASMR
公開日2023年04月16日 19:17 更新日2023年04月16日 19:17
文字数
3388文字(約 11分18秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
優しいお姉さん。本当は寂しがり屋。
視聴者役柄
黒毛の仔猫。
場所
日の当たる昼の縁側
あらすじ
あなたは小さな黒猫です。
どこかの家の縁側で丸くなってうとうとしていると、家主のお姉さんに見つかってしまいます。
あなたのお耳が汚れているのが気になった優しいお姉さんが、あなたのお耳掃除をしてくれることになりました。
本編
演技指定→【】()
SE→(SE:)

※耳かき・コットン音が流れている間は自由にセリフの間を調節してください。
※演技指定・SEはあくまで指標ですので、無視して頂いて構いません。

《以下本編》

あら?
君はどこから来た子かな?

首輪はついてないみたいだけど。
あっ、ごめんね。

びっくりしちゃったかな。

よいしょっと。【読み手(お姉さん)が座る】

ふふ。
この縁側、ぽかぽかしてあったかいでしょ。

私も小さい頃は今の君みたいに春のあたたかいおひさまの光を浴びて、うとうとしてたものよ。

(SE:猫の鳴き声)

あら。

そんなに私の体に頭をすりすりしちゃって。
怖がらないんだ。甘えん坊な子ね。

じゃあ、背中撫でちゃおうっと。

よーしよーし。
なでなで、なでなで。

ふふ。【小さく笑う】
かわいい。

毛並みもつやつやできれいね。
おまけにふかふかでさらさらで、いい撫でごこち。

お母さんかな? それとも飼い主さんかな?
君、とっても大事にされてるみたい。

あれ?

君、毛並みはとってもきれいなんだけど、お耳がちょっと汚れてるみたい。
ほら、黒っぽい汚れがこんなに。

君は耳垢が溜まりやすいタイプの子みたいだね。

そうだ! 私、ちょうどお耳掃除の道具持ってるの。
せっかく毛並みがきれいですてきな猫さんなんだから、お耳もきれいにしておかないともったいないわ。
それに、あんまりほうっておいたらお耳の病気にだってなっちゃうのよ。

どう?

【聞き手の反応を待つように、少しだけ間をあける】

おっと。
私のお膝の上に乗っかってくるなんて。
つまり、これはオーケーってことよね。

じゃあ、まずは右のお耳からきれいにしてあげる。
危ないから、私のお膝の上でそのままじっとしててね。

【演技方向指定:右側】《ここから》

ふむふむ【距離近め。顔を近づけて、覗き込んでいるイメージ】

やっぱり目に見える汚れが多いなあ。
じゃあ最初はこの綿棒で、汚れを少しずつとっていくね。

(SE:右耳 耳かき(綿棒)音開始)

というかさ、君って耳かき嫌がらないんだ。
不思議な子だね。

君ぐらいのあんまりお耳掃除に慣れていない仔猫さんは、いやいやって逃げようとしちゃう子が多いものだけど……。
君はきゅっと目を細めて、とっても気持ちよさそう。

こんなに喜ばれると思ってなかったから、なんか嬉しくなっちゃうな。
少しずつきれいになってきてるから、もうちょっとじっとしててね。

ふふ、喉なんか鳴らしちゃって。
いいの? 知らないおうちの人に、こんなに無防備なところを見せちゃって。

それとも、私の耳かきがそんなにいいのかな。
でも、あんまりやりすぎると君の大事なお耳を傷つけちゃうから、ほどほどにしておかないとね。

じゃあ、あともう少しだけ続けるね。


(SE:右耳 耳かき(綿棒)音 終了)

はい、じゃあ右耳の綿棒でのお掃除はこれでおしまい。
じっとしていられてすごかったね。
えらいえらい。

これで大きい汚れは綿棒で取れたから、今度は少し濡れたコットンでちょっとだけ残った汚れをふき取るね。

どうしたの、私のことじっと見つめて。
大丈夫、大丈夫。

ちょっとひんやりするけど、ゆっくりやさしくするから痛くないよ。
さっきみたいに私の膝の上でじっとしていれば大丈夫。

そう、そう。
うん、いい子。
おりこうさんね。

(SE:右耳 コットンで耳を拭く音)

ごしごし、ごしごし……っと。
ね、大丈夫でしょ。

さあ、あともう少しですからね。

(SE:右耳 コットンで耳を拭く音 終了)

はい、おしまい。
ほら、こっちの耳はこんなにきれいになったよ。

って、君には見えないか。【照れるように】

どう? きれいになってうれしい?
でもまだまだ。
右のお耳はきれいになったけど、もう片方は汚れが残ってますからね。

なので、方向転換のお時間です。

お客様、ちょーっと失礼しますね。【冗談めかして】
よいしょっと。【聞き手を持ち上げて、向きを変える】

【演技方向指定:右側】《ここまで》

【演技方向指定:左側】《ここから》

これでよしっと。
さあ、左のお耳も綿棒できれいにしていくから、じっとしててね。

(SE:左側 耳かき(綿棒)音開始)

どうかな。痛くない?
その様子だと、やっぱり気持ちいいみたいね。
よかった。

まだ小さいのに耳掃除されている間こんなに落ち着いているなんて、すごい珍しいなあ。
知らないおうちの縁側なのにあれだけリラックスしてたし、既に大物の風格が漂っているっていうか。

あの子も縁側でうとうとするのが好きだったから、もし君と会えたら友達になれたかも。

あ、そうか。
君は知らなかったよね。

昔ね、このおうちにも猫がいたの。
ちょうど君みたいな、きれいな毛並みの黒毛の子でね。

ほら、さっきあそこで君がごろごろしてたところがあるでしょ。
あの子もね、あそこがお気に入りだったの。

あそこがこのおうちで一番日当たりのいいところなの。
あの子も君も同じ猫だから、いちばん気持ちいい居場所がわかっちゃうのかな。


それでね、あの子、黒毛だったからおひさまの光をたくさん浴びたあとに背中を撫でると、とってもぽかぽかで温かかったわ。

どれどれ。
君の黒くて小さな背中はどうかな?

(SE:背中を撫でる音)

うわあ、やっぱり。とってもぽかぽか。【嬉しそうに】

懐かしいなあ。

でもね、君と違ってあの子は耳かきされるのがとっても苦手だったの。

小さい仔猫の時なんかは私のお父さんやお母さんが耳掃除しようとすると、いつもはおっとりしたマイペースな子なのに嫌がって途端に逃げ出してたっけ。

それで、あの子も私ももう少し大人になってからは、私があの子の耳掃除をするようになったの。

だけど私が猫の耳掃除に慣れてなくて下手だったから、やっぱりいつも逃げられちゃって、なかなか捕まらなかったなあ。

それでもね、何度も何度もあの子の耳掃除をしているうちに、あの子がおじいさん猫になる頃には今の君みたいにじっとおとなしく、私にお耳を預けてくれるようになったの。

私の耳かきがうまくなったのか、あの子が私のへたな耳かきに慣れちゃったのかは結局よくわからなかったんだけど、君みたいな小さな仔猫がこうして気持ちよさそうにしてくれてるんだから、うまくなったってことで……いいよね。

(SE:左側 耳かき(綿棒)音 終了)

さあ、左耳の綿棒もこれでオッケー。
随分きれいになったけど、やっぱりまだ取り切れていない汚れがあるから、仕上げにさっきのコットンできれいにするよ。

(SE:右耳 コットンで耳を拭く音)

ごしごし。
ふわふわ。

ふふ。【小さく笑う】
うんうん、コットン、もう怖くないよね。

よしよし。
いいこいいこ。
もう少しだからね。

(SE:右耳 コットンで耳を拭く音 終了)

はい、おしまい。
両耳ともすっかりきれいになりました。

すっきりしたかな?

これであなたはお耳も毛並みもきれいな、かっこいいすてきな猫さんです。
よかったですねー。【甘やかすように】

【演技方向指定:左側】《ここまで》

ん、どうしたの?
ひっくり返ってお腹なんか見せちゃって。

もしかして、お腹撫でてほしいの?
かっこいい大物猫さんなのかと思ったら、やっぱりまだまだかわいい甘えん坊さんなんだ。

なでなで。

うわあ、とっても柔らかくて、あったかい……。【感動するように】
お腹の毛もふわふわもふもふで、いい気持ち。

ちょっと、ちょっとだけ抱っこしちゃおう。
よいしょっと。【聞き手を抱き上げる】

なんだか懐かしいな。この感じ。はじめて抱っこしたんじゃないみたい。【少しだけ小声で。自分に言い聞かせるように】

ねえ。
君って……本当はどこから来たのかな?

もし……。
もし、ね?
どこかの家の子じゃない、ひとりぼっちの子なら……。

【数秒間を置く】

ねえ。
君さえ良かったら……さ。うちの子にならない?

【数秒間を置く】

……なんてうそうそ。冗談よ、冗談【冗談めかした明るい声色で】

今下ろしますからね。
よいしょっと。【聞き手を床に下ろす】

そうだよね。
君にはきっと、ちゃんと帰る場所があるんだよね。

【数秒間を置く(聞き手が反応している様子をイメージ)】

心配してくれるの?

ふふ。【小さく笑う】
君はかわいくてかっこいいだけじゃなくて、優しい猫さんなんだね。

大丈夫よ。
ちょっとだけ、昔を思い出して寂しくなっちゃっただけ。

でも、君さえよかったら、また私のところに遊びにおいでよ。

広いだけで何もない家だけど、今日みたいにお日様が出てきた温かい日には、この縁側の戸、開けておくから……ね。

うん。
じゃあ、またね!【明るい声色で】
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
小さな黒猫になって、日の当たる縁側で実は寂しがり屋のお姉さんに耳かきしてもらうお話。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
くうねる
ライター情報
サークル「遊帆社中」で脚本などの活動をしているくうねると申します。
必須ではありませんが、フリー台本ご利用の際はTwitter(@Black_Sleeper)、メールもしくはDiscord(くうねる#3251)までご連絡いただけるととても嬉しいです。
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