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蠢く影
written by ちびいに
  • ホラー
  • OL
公開日2023年07月25日 21:08 更新日2023年07月25日 21:08
文字数
1795文字(約 5分59秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
OL
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
最近夢に出てくる蠢く影。子供の頃に見えていたものが大人になってまた見えるように…。蠢く影の近くでは事故や事件が多発していたが…それは自分にしか見えていなかった。だんだんと近づく蠢く影。そこから逃げれるのか。
本編
見てる………

黒い………影が………

私のことを見てる………

近づいては来ない………

けど……

ゆらゆら蠢く……人のような黒い影が……

じっ……と……

遠くから…

私のことを見てる。



───────。

っ!!

はぁっ……はぁっ……はぁっ………

っっはぁ……………


勢い良く起き上がった。


……また…同じ夢………


とてつもなく目覚めの悪い朝。

朝だというのに

すでに疲労困憊だ。



ここ1ヶ月くらい…

同じ夢ばかり……

体調にも限界が来ている。

なにかに呪われてるのか

なにか憑いているのか……。


同僚にも、どんどん痩せていっていると心配されてしまった………。


………

あの影…

あの影には…心当たりがある。

子供の頃に見えていた影……

中学校に上がったくらいから見えなくなったから忘れてたけど……

あの頃に見えていた影とそっくり……

───────。

小学生低学年の頃、とある事故現場を目撃したことがある。

軽自動車とトラックが正面衝突。

そのとき初めて…

あの蠢く黒い影を見た…

影は軽自動車に吸い込まれるように消えていった。

一緒に下校していた友達に

影のことを言ったけど…

なにも見えていないようだった…

もう一度軽自動車の方向を見ると

黒い影は……

こちらを見ていた……

ひっっっ……

一瞬目を瞑ってしまった

友達に大丈夫?と声をかけられ目を開けると

黒い影はもう居なかった。

のちに聞いた話だと、その軽自動車の運転手は…即死だったそうだ。



家に帰って、母親に事故のこと、そして影のことを伝えると

少し青ざめた様子で

そんなの気のせいよ。事故を見てびっくりしちゃったのよ。怖かったわね。大丈夫?

と信じてもらえなかった。



その後も、身近に事件や事故が何度か起き、そのたびに影が事件現場の近くを蠢いていた……


だんだんとその影は範囲を広げ

テレビのニュースにも映るようになった…。

県外…いや国外の事故や事件現場にも現れ…

蠢いていた…


そして全て…

私のことをじっ……と見ていたんだ…

世間はその影についてなにも騒いでいなかったから、見えていたのは私だけだったんだとおもう。

ほとんどだれも信じてくれない中

唯一、近くに住んでいた母方の祖母だけが、私の話を信じてくれた。

そして、このお守りをくれた────

───────。

お守りをもらってから、その影はぱったり姿を見せなくなっていた。

お守りの効果なのか

お守りをもらったことで精神的に安心したからなのかはわからない。

10年以上見えていなかったから

……すっかり忘れていた。


あれは……あの影は……

……

またなにか身近に起こるの…?

怖い…

いや…まだ影は私の夢の中だけ…

実際にはまだ見えてない…っ

…おばあちゃん…

祖母からもらったお守りを握りしめる。

───────。

猛暑日の中、涼しいオフィスで仕事をこなす。

悪い夢も続いているが、会社の中は安心して過ごしていられる。

ガシャァァァンンンン!!!!

っっっ!!!!

なにっ…!?何の音……?

ガラスの割れる大きな音。

そして悲鳴。

唖然としている人

何があったか見に行く人

噂を聞くと

車がオフィスに突っ込んだらしい。

ドクンッ…

と…心臓が鳴る音がした。

脈拍が…早くなるのがわかる…

息が…苦しい…

ただ…

確かめに行かなきゃ…

頭ではダメだとわかっていても

身体が勝手に動いた。



オフィスの1階部分

受付のあるフロアに

乗用車が頭から突っ込んでいた…

運転席はグシャグシャで…

周りに何人か血を流して倒れていた。

必死に救命活動をしている人たち。

その側に…

蠢く影。

だめっ…!!!

影は倒れている人に次々に近づき…

なにかを吸い取っているように見えた…


次はお前だと言わんばかりに…

私のことをじっ…と見ながら…。


倒れちゃだめだ…っ…

気分が悪くなり倒れそうになったが…

あいつが近くに来るかもしれない…

そう直感し、意地でも倒れないように踏ん張っていた…。

───────。

凄惨な事故があり、後処理のため会社は必要最低限の人員を残し、全員帰宅することになった。

…帰りたくない…。

帰ると…あいつが近づいてくるかもしれない。

でもまた…

私の身近に事故が起きるかもしれない…

同僚と一緒にいるわけにもいかない…

そうだ…

近所のお寺…

なにか…助けてもらえるかもしれない…

それまで…助けておばあちゃん…

会社を出て、お寺へ足を進める。

歩いて20分くらいで着くはずだが

その日はどれだけ歩いても着く気がしなかった。

だんだん歩みが早くなる。

お願い…早く着いて…

っ!!!

あいつの気配がする。

遠くに…でも確実にあいつ…

…見られてる…

はぁっ…はぁっ…

必死に走る。

振り返るな…振り返ったら…おわり

次に目があったら

おわってしまう

死んでしまう

そんな気がした。

バチッッッッ!!!!

何の音!!!????

…焦げ臭い

私のポケットから…?

っっ!!

お守りから…煙が…

うそっ……

キィィィィィ!!!!ドォォォォンンンンッッッ!!!!

どう……して……

薄れゆく意識の中……

蠢く影が…

私に近づいてきていた。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
蠢く影
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ちびいに
ライター情報
完全初心者です。
文章の構成など、不勉強で至らないところがあったらすいません。
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