喫煙所で偶然元カノと再会し、ただ駄弁って終わるだけのはずだった…なのになぜ、今は彼女の部屋にいて、復縁どころか夫婦になることを持ち掛けられている？全く理解の及ばないこの状況はなんだ…？

よ。久しぶり。いる？タバコ…アタシの奢りだけど。


ん、どーぞ。好きに吸えば？てかここ、喫煙所だし…それ以外やることないっしょ。


(黙って彼とともに一服)


ん？あぁ、そだね…アタシら、別れて何年経ったっけ？4、5年くらい？


そっか～…時が経つのは早いねぇ。あの頃はなんで付き合ってたんだっけ？ノリ？


ん～…それだとなんかしっくりこないなぁ。アタシが君にそんな風に惚れたはずないんだけど。


うん。なんか、らしくない。もうちょい、こう、なんかあったはずだけど…


あ～、うん…思い出せないならいいや。別にそんな大したことじゃなかったろーし。


てかさー、最近どう？アタシはタバコ値上がりして、超絶萎えてんだけど…


へ～…知り合いの紹介で風俗…じゃあ、今は彼女いないんだ。どんまい。


うっさいなー。アタシの男事情はどーでもいいでしょーが。どーせ今はタバコが彼氏ですよーだ。


(タバコの火を消す)


さて…そろそろアタシ帰るわ。タバコ切れちゃったし。


…あー、何？急にどうした？


ふーん…寄り戻したくなったってこと？アタシと…


あはは…冗談きついって。今さら復縁とか無理ゲーっしょ。別れて結構経ってるし、無理無理。


そ。やっぱいったん別れると気持ちがね…なんでこの人のこと好きだったんだろうって心境なるし。


…ま、でもこうして出会ったのもなんかの縁だし、ちょこっとだけ試してみる？


いや…彼氏彼女じゃなくて、なんか別の形で復縁できるかもしれないじゃん？


とりあえずその辺で飯食ってから、うち来なよ。そこでテキトーに駄弁ろ？


うん。ちょーど暇だったし、付き合ってよ。行こ。


(外食を済ませて、彼女の家へ)


ん？どした？急に黙り込んで…あたしん家、お化けでもいる？


え？あぁ、この部屋？君と同棲してた時のまんまだね。それが？


別にいいじゃん。なんやかんや、この家具の配置が一番なんだって。個人的には。


(帰ろうとする彼の手をつかむ)


まぁ、待ちなよ…昔とまったく変わらない部屋見たからって、逃げることないじゃん。人の部屋をお化け屋敷かなんかだと思ってる？


あはは…いくら何でも変わらなすぎって？


まぁ、それはそう。君と別れた日から、アタシの時間なんて止まってるようなもんだし。


さぁ？いつまでも君と同棲してる思い出に浸ってたかったのかもね。


それか、君がいつかひょっこり帰ってくるんじゃないかって、心のどこかで期待してたのかもしんない。


実際どっちかは知らないし、今となってはどっちでもいいやって感じ。


だって…戻ってきたじゃん。アタシたちの部屋に、さ？


ふふっ…ダメだよ？下手に動いちゃ…ライターの火がそこの灯油入ってるバケツに落ちちゃうよ？そうなったら、二人ともお陀仏だね？


あー、そんなこと言ったっけ？復縁くらい、やろうと思えばいくらでもできるでしょ。


うん…元々アタシら、結婚する予定だったじゃん？それがちょっとした喧嘩でパーになって…


おかげでアタシは、毎日タバコ三昧。ホントにタバコが彼氏になるとこだった。


てかさー、元カノとの馴れ初め忘れるって酷くね？アタシはしっかり覚えてんのに…


…風俗。そこで出会ったの、本気で忘れた？


まぁ、あの頃はお客さんと本気の恋愛するとは思ってなかったけどねー。


ちなみにガチ恋したきっかけは、君がキモイおっさんからアタシを引き離してくれたこと。思い出した？


うん、あの時はありがと。今お礼を言うのも、なんか変だけどね。


ねぇ…こんな未練タラタラな女は嫌い？君と別れて変わったのは、タバコの本数くらいだよ？


ん～…そんな風に否定されると傷つくなぁ。次、似たようなこと言ったら、マジで灯油に火つけちゃうかも。


アタシはそれでもいいけどねー…このまま二人仲良く火だるまになるのも、ロマンチックで素敵じゃん？


あ、話戻すけど…さっき、別の形で復縁しよっつったじゃん？あれ、彼氏彼女じゃなくて、夫婦でよくない？事実婚的な感じでいいからさ。


本気だけど？君に拒否られたら、今すぐにでも火ィつける予定だし。


さぁ？それは知らない。自分でもよくわからないうちに、君に執着してた。なんとなく病んでる自覚はあるけど。


タバコで誤魔化してたけど、もう限界かな…すでに君とは再会しちゃったわけだし。


またわがまま言っちゃうようで申し訳ないけど…もっかい、アタシの依存先になって？

・台本（ゆるボイ！）
ヤニカスでヤンデレな元カノの依存先
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎