手紙で憧れのクラスメイトを空き教室に呼び出した。でもいざ伝えようとすると何も言えなくなってしまった。そんな僕を彼女は優しく受け入れてくれて…

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(空き教室の戸をノックして開ける)

し、失礼します…


あ…(こちらに気付く)


そっか。君だったんだね、手紙くれたの。


…ううん、大丈夫。特に用事とかはなかったから。気にしないで。


それに…私に伝えたいこと、あるんだよね。

どんなことかな？(促すように)


………


………


………


…うん、ゆっくりでいいよ。いったん収まってからまた言おっか。


深呼吸とか、する？すー、はー、すー、はー…


そうそう、いい感じ。


さっきはちょっと緊張しすぎちゃったね。

でも全然失敗とかじゃないから。焦らないで。

ちゃんと聞くよ。だから落ち着いて、ゆっくりいこ。


……


……


……


……む、無理そうなら…あっ(タイミング悪く声が被ってしまう)


…ごめん。被っちゃった。その…大丈夫？やり直したり…


あ〜…そうだよね…がんばってくれたのに、ほんとごめんね。



でも…せっかく勇気出してくれたんだし、私は嬉しいよ。


うん、実は聞き取れてた。あはは。

私のこと、好きって。すごく嬉しい。


…なんで謝るの？嬉しいのはほんとだよ。

自分のこと好きって言ってくれた人、私は好きだから。


…


…それで、私のことが好きな君は…どうしたいの？(促すように)


………


………


…いいよ、待つよ。君の好きなタイミングで言って。

…

……うん。私のことが好きで？…

……

……………


……そっか、言えなくなっちゃったか。


ううん、全然気にしないで。そうなっちゃうよね。

とっても、勇気が要ることだもんね。難しいよ。



ね、どうしよっか。いったんお水とか飲む？

えと、これ。良かったら。まだ飲んでないからあげる。

(ペットボトルを渡す)


…飲まないの？いいよ、飲んで。

うん、どうぞ。


そう、ゆっくりでいいよ。一口ずつゆっくりね。

……(優しく見守る)



ぁ…

ちょっと待って、えっと…あーちょっと濡れてるけど…裏返せば…


はい、ハンカチ。使っていいよ。

涙、滲んじゃってるから。


大丈夫大丈夫。大丈夫だから。

情けなくなんかないよ。そういうの伝えるのって、多分すごく怖いことなんだよね。


断られるのとか想像すると、しないほうが良いのかもってどうしても考えちゃったり。

前より悪い関係になっちゃうかも、とか。



でも、それでも今日、君は私に伝えようとしてくれた。

それは素敵なことだって私は思ってる。


だから、ありがとう。呼び出してくれて。


………


……さいごに…

最後にもう一回だけ聞くけど、君は…後悔しない…？


ここで終わって、大丈夫…？


…もちろん、君が何を言うつもりだったかなんて私にはわからないけど…きっと一番伝えたかったのは、さっきの「好き」の続きなんだと思う。


だから、それはどうする？ここまでで終わっとく？どっちでも大丈夫だけど…




……わかった。


聞くよ。聞かせてほしいな、君の気持ち。


………


………


………



…付き合ってください…で、合ってるかな？


ごめんね。声、少しちっちゃかったから。確認。


そうだよね、間違いないよね。わかった。


じゃあ…答えるよ。


(深く息を吸い込む)



…ごめんなさい。君とは、お付き合いすることはできません。



気持ちは嬉しいけど…私にも好きな人がいるの。

…君じゃない人。



私は君みたいに勇気がなくて、まだ告白はできてないけど…きっといつか、すると思う…


私は、その人と付き合いたい。だから、君とは付き合えません。


別に君がどこか悪いって話じゃなくて、これはただの私のわがままなの。

ごめんね、頑張ってくれたのに応えられなくて。


私、君が思ってるより意気地なしで、そのくせ諦めが悪くて、そんなに優しくないんだ。


幻滅させちゃったかな。


…そっか。なら良かった。

……

……もう、いいかな？そろそろ


…うん。今日は話してくれてありがとう。

それじゃあまたクラスでね。



ばいばい。

・台本（ゆるボイ！）
臆病な僕が優しい憧れのクラスメイトに告白して全肯定されながらフラれる話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ろべ