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- 友達
公開日2023年12月04日 02:19
更新日2023年12月04日 02:19
文字数
2684文字(約 8分57秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
2 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
学校 ー 家
あらすじ
登場人物
桜 - Sakura -
大学2年生の23歳 ♀
伊吹 - Ibuki -
桜と同じクラスの20歳 ♀
あらすじ
「ずっと一緒に居る事は出来ないの。」
彼女はそう言って、雪と一緒に私の元から消えてしまった。今でも私は、彼女の事を忘れられずにいる。
桜 - Sakura -
大学2年生の23歳 ♀
伊吹 - Ibuki -
桜と同じクラスの20歳 ♀
あらすじ
「ずっと一緒に居る事は出来ないの。」
彼女はそう言って、雪と一緒に私の元から消えてしまった。今でも私は、彼女の事を忘れられずにいる。
本編
桜 :「伊吹!なーにしてんの?早く帰ろぉよー!この後大雪になるらしいし、やばいよー!!」
伊吹 :「もおーー待ってよ桜!!日誌書いてんのー!!どうせ大雪がふろうがふらなかろうが道路にはもう既に積もってるんだから変わんないでしょ!!」
桜 :「まだ書いてたの?ぷーくすくす!おっそ〜!これは雪が止むまで終わるかわかりませんなあ。」
伊吹 :「今どきぷーくすくす!なんて言うやついる??あんたみたいな生まれ持っての優等生ちゃんと比べたらそりゃ誰だって遅く見えるでしょうね!」
桜 :「やだなぁ〜そんな褒めても、下校中にパピコくらいしか奢れないぞ〜?し、か、も、あげるのは割った内の半分だけ。」
伊吹 :「優しいんだかケチなんだかどっちかにしろ。っていうか早く帰って一緒にアイス食べたいなら邪魔すんな」
桜 :「ちぇ。わかったよ〜カメちゃん。ウサギさんは本でも読んで待ってますよ〜だ。」
伊吹 :「その内せっせと追い抜かすからな。原作通りに。」
桜 :「ねえねえ、これなんて読むかわかる?」
伊吹 :「えぇ…、こう、こう…、こうめい?」
桜 :「ざんねーん。こうみょうでした。」
伊吹 :「なにそれ」
桜 :「明るく輝く光。らしいよ」
伊吹 :「ふーん。……知ってるならなんで聞いたし」
桜 :「んー?自慢。」
伊吹 :「腹が立つなど。」
桜 :「出た。なんとかなど構文。」
伊吹 :「うるさい」
桜 :「ハクサイ」
伊吹 :「はっ倒すよ」
桜 :「辞めてよ。今床に倒れたら寝ちゃう。」
伊吹 :「どんだけ眠いんだよ……」
桜 :「眠過ぎて瞼が3重になりそうなくらい?」
伊吹 :「瞼3重は重過ぎ」
伊吹 : とまあこんな感じで毎日毎日代わり映えのないくだらない会話を繰り返していた。別に不満は無かった。平和が1番だし、心落ち着くし、ちょっとムカつく時もあるけど、なにより楽しいかったから。ずっとこんな風に一緒に居ると思ってた。本気で。だけど、ある日突然、彼女は告げた。
桜 :「私さ、実は、春まで生きられないんだ。」
伊吹 :「…なに。今度はドッキリでも仕掛けるつもり?」
桜 :「あはは、ドッキリだったら良かったなーって私も思う!雪と一緒にバイバイなんて、信じられないよねー。私もまだ、実感、無いや。」
伊吹 :「なにそれ。なに、それ。なに、急に、そんな、は?、信じられるわけ、認められるわけ、無いでしょ」
桜 :「ひっどい顔。いつもの可愛い顔はどこ行ったの?貴女は笑顔が1番可愛いんだから、ほら、いつもみたいに笑い飛ばしてよ。」
伊吹 :「そんなの、聞いて、笑えるわけないでしょ」
桜 :「そう…だよね。あはは…、ごめんね。」
伊吹 : 今思えば、もっと寄り添ってあげれば良かったと後悔している。本当に、深く深く、ドン底まで落ち込んだ。三日三晩泣いた。泣いて泣いて、声が枯れて、ご飯も食べれなくて、クマが出来て、もうどうしていいか、わからなかった。感情のやり場をなくしてしまった。そして訪れた、彼女にとって人生最後の日。私は、お見舞いに行かなかった。…行けなかった。こんな顔を引き下げて、会えないと思った。最後に会えなかった事を後悔するより、彼女の中での私が、最悪な顔で最悪な印象で終わる事の方が怖かった。でもきっと彼女は、そんな私の思いも全部見透かしていたんだと思う。彼女はすごく、頭が良かったから。
電話SE
桜 :「ごめんね夜遅くに。もう寝るところだったよね?」
伊吹 :「…なんで、」
桜 :「あはは、私がね、最後に貴女の声を聞きたかったの。わがままかな?貴女はいつも私にわがままだって怒っていたものね、最後まで怒らせちゃうな、なんて。」
伊吹 :「そんな…いや、えっと…あの、違う…ごめん。何から話していいか、わからないや」
桜 :「馬鹿だなぁ伊吹は。…ねぇ、今外見れる?」
伊吹 :「外…?」
桜 :「どうせ暫く部屋に籠ってたんでしょ。きっと視野が狭くなってるから言葉も出てこないのよ。1回外を見てみなさい、ほら。」
伊吹 :「………すごい、星が、すごく綺麗なのに、すごく綺麗に見えているのに、雪が降ってる…?どういう事、?」
桜 :「さあ、私にも分からない。成績優秀な私でも、ね!テレビで今相当繰り返し報道してるよ?」
伊吹 :「全然…知らなかった。」
桜 :「でしょうね。貴女は、もっと広い世界を知るべきだと思うの。そうね…本なんかとてもいいと思うわ!!本は凄いのよ。なんでも知れる!楽しくて怖くて、時にドキドキして…とてもオススメよ!」
伊吹 :「難しい漢字ばっかりで、桜みたいに読めないよ。」
桜 :「私だって読めない漢字ばっかりだったのよ?その一つ一つをちゃんと調べて、勉強して、覚えて、自分の知識にしただけ。」
伊吹 :「桜、努力家だもんね。そっか…そうだよね。最初からなんでも出来る人間なんて、居ない。」
桜 :「当たり前でしょー?…ねぇ伊吹、この雪が溶けたら、何になると思う?」
伊吹 :「うーん………水溜まり?」
桜 :「ぶっぶー。ざんねん。はずれ!正解は……」
伊吹 :「ちょっと、勿体ぶらないでよ。」
桜 :「春でしたー!」
伊吹 :「…は?」
桜 :「反応薄いなー!!この雪が溶けたら、もう春になるんだよ。はやいよね!」
伊吹 :「ああ…そうか、もうそんな時期なのね…そっか。」
桜 :「視野はいつだって広くしていたら、こうやって嬉しいことにも気付けるの!だから、伊吹は、私が居なくても常に視野を広げる事を意識して過ごしてみたらいいと思うの。」
伊吹 :「はいはい…最後までお節介なお友達さんね。わかりましたーー。視野を広くして過ごします。パピコも、これからは1人で1つ食べます。」
桜 :「あはは!いいね!やっと伊吹らしくなってきた!」
伊吹 :「最後まで迷惑かけてごめん。もううじうじするの辞める。」
桜 :「うん。私の好きな伊吹で居て。」
伊吹 :「当たり前。ちゃんと近くで見といて。」
桜 :「その内悪霊になってとりついちゃうかも。」
伊吹 :「祓う。」
桜 :「薄情!」
……
桜 :「そろそろ、眠くなってきた」
伊吹 :「うん。私も。」
桜 :「もう寝よっか」
伊吹 :「そうしよう。」
桜 :「…また、いつか会おうね」
伊吹 :「来世で待ってて」
桜 :「しょーがないな。」
伊吹 :「早めに行くから」
桜 :「来んな来んな。追い返すわよ?」
伊吹 :「意外と桜は寂しがり屋だからなー」
桜 :「うるさいわねー。ほら寝るよ」
伊吹 :「じゃぁ、“またね”」
桜 :「うん。“またね、伊吹”」
伊吹 :「おやすみ。」
桜 :「おやすみなさい。」
伊吹 : 通話の切れた携帯を握って、私は、やっぱり泣いた。気付いたら寝ていて、起きた頃には、彼女は遠くへ旅立っていた。でも、私の気持ちはすっかり晴れていた。
桜 :「雪が溶けたら、何になると思う?」
伊吹 : ふとそんな言葉を思い出して、外を見てみる。
伊吹 :「春、来たよ。桜。」
伊吹 :「もおーー待ってよ桜!!日誌書いてんのー!!どうせ大雪がふろうがふらなかろうが道路にはもう既に積もってるんだから変わんないでしょ!!」
桜 :「まだ書いてたの?ぷーくすくす!おっそ〜!これは雪が止むまで終わるかわかりませんなあ。」
伊吹 :「今どきぷーくすくす!なんて言うやついる??あんたみたいな生まれ持っての優等生ちゃんと比べたらそりゃ誰だって遅く見えるでしょうね!」
桜 :「やだなぁ〜そんな褒めても、下校中にパピコくらいしか奢れないぞ〜?し、か、も、あげるのは割った内の半分だけ。」
伊吹 :「優しいんだかケチなんだかどっちかにしろ。っていうか早く帰って一緒にアイス食べたいなら邪魔すんな」
桜 :「ちぇ。わかったよ〜カメちゃん。ウサギさんは本でも読んで待ってますよ〜だ。」
伊吹 :「その内せっせと追い抜かすからな。原作通りに。」
桜 :「ねえねえ、これなんて読むかわかる?」
伊吹 :「えぇ…、こう、こう…、こうめい?」
桜 :「ざんねーん。こうみょうでした。」
伊吹 :「なにそれ」
桜 :「明るく輝く光。らしいよ」
伊吹 :「ふーん。……知ってるならなんで聞いたし」
桜 :「んー?自慢。」
伊吹 :「腹が立つなど。」
桜 :「出た。なんとかなど構文。」
伊吹 :「うるさい」
桜 :「ハクサイ」
伊吹 :「はっ倒すよ」
桜 :「辞めてよ。今床に倒れたら寝ちゃう。」
伊吹 :「どんだけ眠いんだよ……」
桜 :「眠過ぎて瞼が3重になりそうなくらい?」
伊吹 :「瞼3重は重過ぎ」
伊吹 : とまあこんな感じで毎日毎日代わり映えのないくだらない会話を繰り返していた。別に不満は無かった。平和が1番だし、心落ち着くし、ちょっとムカつく時もあるけど、なにより楽しいかったから。ずっとこんな風に一緒に居ると思ってた。本気で。だけど、ある日突然、彼女は告げた。
桜 :「私さ、実は、春まで生きられないんだ。」
伊吹 :「…なに。今度はドッキリでも仕掛けるつもり?」
桜 :「あはは、ドッキリだったら良かったなーって私も思う!雪と一緒にバイバイなんて、信じられないよねー。私もまだ、実感、無いや。」
伊吹 :「なにそれ。なに、それ。なに、急に、そんな、は?、信じられるわけ、認められるわけ、無いでしょ」
桜 :「ひっどい顔。いつもの可愛い顔はどこ行ったの?貴女は笑顔が1番可愛いんだから、ほら、いつもみたいに笑い飛ばしてよ。」
伊吹 :「そんなの、聞いて、笑えるわけないでしょ」
桜 :「そう…だよね。あはは…、ごめんね。」
伊吹 : 今思えば、もっと寄り添ってあげれば良かったと後悔している。本当に、深く深く、ドン底まで落ち込んだ。三日三晩泣いた。泣いて泣いて、声が枯れて、ご飯も食べれなくて、クマが出来て、もうどうしていいか、わからなかった。感情のやり場をなくしてしまった。そして訪れた、彼女にとって人生最後の日。私は、お見舞いに行かなかった。…行けなかった。こんな顔を引き下げて、会えないと思った。最後に会えなかった事を後悔するより、彼女の中での私が、最悪な顔で最悪な印象で終わる事の方が怖かった。でもきっと彼女は、そんな私の思いも全部見透かしていたんだと思う。彼女はすごく、頭が良かったから。
電話SE
桜 :「ごめんね夜遅くに。もう寝るところだったよね?」
伊吹 :「…なんで、」
桜 :「あはは、私がね、最後に貴女の声を聞きたかったの。わがままかな?貴女はいつも私にわがままだって怒っていたものね、最後まで怒らせちゃうな、なんて。」
伊吹 :「そんな…いや、えっと…あの、違う…ごめん。何から話していいか、わからないや」
桜 :「馬鹿だなぁ伊吹は。…ねぇ、今外見れる?」
伊吹 :「外…?」
桜 :「どうせ暫く部屋に籠ってたんでしょ。きっと視野が狭くなってるから言葉も出てこないのよ。1回外を見てみなさい、ほら。」
伊吹 :「………すごい、星が、すごく綺麗なのに、すごく綺麗に見えているのに、雪が降ってる…?どういう事、?」
桜 :「さあ、私にも分からない。成績優秀な私でも、ね!テレビで今相当繰り返し報道してるよ?」
伊吹 :「全然…知らなかった。」
桜 :「でしょうね。貴女は、もっと広い世界を知るべきだと思うの。そうね…本なんかとてもいいと思うわ!!本は凄いのよ。なんでも知れる!楽しくて怖くて、時にドキドキして…とてもオススメよ!」
伊吹 :「難しい漢字ばっかりで、桜みたいに読めないよ。」
桜 :「私だって読めない漢字ばっかりだったのよ?その一つ一つをちゃんと調べて、勉強して、覚えて、自分の知識にしただけ。」
伊吹 :「桜、努力家だもんね。そっか…そうだよね。最初からなんでも出来る人間なんて、居ない。」
桜 :「当たり前でしょー?…ねぇ伊吹、この雪が溶けたら、何になると思う?」
伊吹 :「うーん………水溜まり?」
桜 :「ぶっぶー。ざんねん。はずれ!正解は……」
伊吹 :「ちょっと、勿体ぶらないでよ。」
桜 :「春でしたー!」
伊吹 :「…は?」
桜 :「反応薄いなー!!この雪が溶けたら、もう春になるんだよ。はやいよね!」
伊吹 :「ああ…そうか、もうそんな時期なのね…そっか。」
桜 :「視野はいつだって広くしていたら、こうやって嬉しいことにも気付けるの!だから、伊吹は、私が居なくても常に視野を広げる事を意識して過ごしてみたらいいと思うの。」
伊吹 :「はいはい…最後までお節介なお友達さんね。わかりましたーー。視野を広くして過ごします。パピコも、これからは1人で1つ食べます。」
桜 :「あはは!いいね!やっと伊吹らしくなってきた!」
伊吹 :「最後まで迷惑かけてごめん。もううじうじするの辞める。」
桜 :「うん。私の好きな伊吹で居て。」
伊吹 :「当たり前。ちゃんと近くで見といて。」
桜 :「その内悪霊になってとりついちゃうかも。」
伊吹 :「祓う。」
桜 :「薄情!」
……
桜 :「そろそろ、眠くなってきた」
伊吹 :「うん。私も。」
桜 :「もう寝よっか」
伊吹 :「そうしよう。」
桜 :「…また、いつか会おうね」
伊吹 :「来世で待ってて」
桜 :「しょーがないな。」
伊吹 :「早めに行くから」
桜 :「来んな来んな。追い返すわよ?」
伊吹 :「意外と桜は寂しがり屋だからなー」
桜 :「うるさいわねー。ほら寝るよ」
伊吹 :「じゃぁ、“またね”」
桜 :「うん。“またね、伊吹”」
伊吹 :「おやすみ。」
桜 :「おやすみなさい。」
伊吹 : 通話の切れた携帯を握って、私は、やっぱり泣いた。気付いたら寝ていて、起きた頃には、彼女は遠くへ旅立っていた。でも、私の気持ちはすっかり晴れていた。
桜 :「雪が溶けたら、何になると思う?」
伊吹 : ふとそんな言葉を思い出して、外を見てみる。
伊吹 :「春、来たよ。桜。」
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