こちらは全６話の作品の6話目です。
単品としてもご利用可能ですが、１話目からのご利用を推奨します。

女子総合格闘技U－13部門、通称アンライプ・ファイト。
格闘技未経験ながら恵まれた才能を開花させ決勝戦まで進出を果たした12歳の少女、青山咲久 (あおやまさく) (語り手)。
夏休みを迎えた咲久は、コーチ (聞き手、あなた)とともに、決勝戦に備えます。
ジムでのトレーニング・花火大会・そして決勝本番。
かけがえのない小学生最後の夏を、あなたと咲久は過ごします。

真っすぐで無垢な小学生、咲久 を熱く演じて頂けましたら幸いです。

うわ～、すごい歓声、それに熱気

初めてです、こんな大勢のお客さん

もちろん、ほとんど皆さんの目当ては
このあとの中学生さんや高校生さんの試合だと分かってますけど……

でも、すごいですっ

ほんとに、こんなたくさんの人の前で
試合するんだぁ

なんだか、花火大会の花火になったみたいな気分です

……はい、ちょっと緊張してます

でも、ワクワクのほうが勝ってます

こんな大勢のお客さんの前でチカちゃんと試合できるなんて……

はい、最高の試合にしてみせますっ

コーチが教えてくれた技術も

たくさん味わった悔しい気持ちも

心から勝ちたいと思う気持ちも

チカちゃんと戦える喜びも

ぜんぶ、ぜんぶ出しきって

リングの上に置いてきます

それでもって勝ってみせます

誰がなんと言おうと、わたしは総合格闘技に……

アンライプ・ファイトに……

コーチに……

出会ってよかったと心の底から思います

ここまでわたしを連れてきてくれた全部に
感謝を込めて戦います

コーチのおかげで、ここまでこられました

「そんなことない」？

「俺のほうが教わることばかりだ」？

ほんとですか？

わたしが、コーチに何かできているなんて……

そんなふうに思ってもいませんでした

でも……もし、それがほんとなら……

わたし……

(涙声で)
あ、あれ、どうしたんだろう

試合はまだこれからなのに……

急に震えてきて……

コーチ、ごめんなさい

ちょっとだけ……

ぎゅっとしてもいいですか

（青山咲久、コーチに抱きつく）
もう少しだけ、このまま……

（青山咲久、コーチから離れる）
……すみませんでした

えへへへ、もう大丈夫です

泣くのは早すぎますよね

なんだかいろんなこと思い出しちゃって

ちょっとだけ、頭がぐちゃ～ってなっちゃいました

「俺が余計なこと言ったから」って

コーチのせいじゃありません！　ゼッタイ！

そうじゃなくて……

初めてジムに入って
コーチに会ったときのこととか
いままでの練習のこととか
たくさん思い出しちゃって……

なんだか、夢を見てるような気分です

えへへ、でもそれだけじゃないです

闘志……って言うんでしょうか？

勝つぞ～って気持ちもたくさんあります

応援してくれるお父さんやお母さんやお友だち

ジムのみんな

それに優勝するよって約束した
ここまで戦ってくれたライバルたち

みんな、みんなのためにも……

ゼッタイに負けられません

チカちゃんにもがっかりされたくありません

わたしがほんとはすっごく負けず嫌いなこと

コーチは知ってますよね？

あっ、そろそろ時間……

はい、行きましょう、コーチ

必ず、勝って証明してみませす

小学生は最強だ、ということを！

・台本（ゆるボイ！）
アンライプ・ファイター⑥
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
KULANA