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山の化け物に閉じ込められて出られない
written by 電子レンジOK
  • 監禁
  • ファンタジー
  • 人外 / モンスター
公開日2024年05月03日 23:35 更新日2024年05月03日 23:35
文字数
1452文字(約 4分51秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
山の化け物
視聴者役柄
山の化け物の生贄
場所
祠の中
あらすじ
山の中には化け物がいる。
三年に一度、生贄が必要になる。
生贄を捧げなければ、田は枯れ疫病が蔓延し、村が滅びるという言い伝えだ。

そんな山の中の化け物の、愛情表現の台詞。
本編
おや

供物が勝手に動いているね

どうしたんだ?
小便でもしたいのか?

ははは
まさか、里へ帰ろうとしていたわけではあるまいね
そんなことをしてはいけないよ、お前はこの私に捧げられたのだから

いや
確かに、本当は人間など食わん
とくに、生贄に捧げられるような奴は、骨ばかりで美味くもない
そもそも贄など捧げずとも、祟ったりはしない
これは人間が勝手に決めたことだ
これまでの奴らも、適当によその村へ逃がしておいたさ

だが
お前は別だ
私はただ、「人間は不味いから食わない」「わざわざ祟りなどしない」と言っているだけで……
お前が私に捧げられた贄だということには変わりはない

捧げられた供物に私が何をしても、問題はなかろう
私は化け物だ、ひとのはかりでは、とうていはかりきれない
もちろん人の掟も、力も及ばなければ、心のつくりさえも違う

私はただ気まぐれに
お前を飼うと決めたんだよ

ほら、戻っておいで
供物が勝手にウロチョロしてはいけないよ
供物らしく、じっとしていなさい

わざわざ祟りはしないが、お前が里へ逃げ延びたとなれば、連れ戻しにくらいは行くかもしれないし
その時に、誰かを傷つけないとも限らない
そもそも私は化け物だ、この山を出たが最後、何が起こるかは私にもわからないよ

ほうら、捕まえた
人間の浅知恵ごときで逃げられるわけないだろう
酔い潰れて討たれた、八岐大蛇……と言ったか。
かような伝承の腑抜けと同じなわけはなかろう

くくく
こんなことで腹を立てたりなどしないさ
ネズミがいうことを聞かないからと言ってわざわざ腹を立てるのか?
とらえてカゴに入れればいい、気に入らなければ潰して仕舞うだけさ

でも、そうさねえ
飼うと決めたんだ、家畜の躾は主たる者のやくめ
どれ、ひとつ罰でも与えてみようか

贄のぶんざいで私から逃げようとした罰
いや、逃げ切れると甘く見たことに対する罰だな

今お前の体に絡みついている物が何かわかるかい?
さてね、人間にとっての手足みたいなものだろう
人間は不便だね、自由に使える足が前足の二本だけときたもんだ
よくそんなひ弱な体で生き延びているよ

少しずつ締め上げられているのが分かるか?
ぎゅうっと、お前の体全体を。
このまま締め潰すこともできる。
それ、その気になればすぐだ。

苦しいか?
呼吸ができないな?
ははは、そうだろう
ああ、ほんの少し力を入れただけで呻いて
まったく、情けない家畜だ

鳥のように卵を産むでもなし
乳を出すわけでも、足になるわけでもなし
頭だってからっぽだ

お前に何ができる?
この私に勝るところが一つでもあるか?
学べ。お前がひとり死んだところで、三年後また贄が捧げられる。
私にとっての三年など、お前にとっての一日にも満たない。
お前の代わりなんていくらでもいるんだ。
ただの気まぐれで、逃がしも殺しもできる。

どれ、もう少し力をこめてやろうか?
体がちぎれてしまうかもしれないな。
後悔しているか?
私の巣から逃れようとしたこと。
ああ、死んでしまいそうだな
苦しくて、怖いだろう

ふふふ

はははは
いじめるのはこのくらいにしておこう

どうだ?
少しは格の違いを理解したか?
これに懲りたら、私から逃げようだなんて考えは改めることだな

どうせ里へ戻っても
お前を生贄として化け物に捧げた奴らしかいない
だったら、私とここで暮らした方が良いだろう?

どうしてもやんちゃがしたくなったらすればいい、その時はまた連れ戻して罰を与えてやろう
まあ、間違えて潰してしまわない保証はないがね。はははは!

さあ、反省したのなら巣に戻りなさい
せっかく寝床を作ってやったんだ

伝承通り
私の遊び相手でもしてもらおうじゃないか
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
山の化け物に閉じ込められて出られない
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
電子レンジOK
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