狂った彼にもうしばらく監禁されている。
だけど、彼の気持ちは揺れている。だったら、まだ前に進めるかもしれない――。

ヤンデレ監禁物ですが、光の見えるラストです。

pixivにも投稿しています。

ただいま、いい子で待ってたか？
よしよし。

新しい手錠はどうだ？

まあ、確かに重いだろうな。
お前が暴れるから、丈夫なものにしたんだ。
自業自得、なんてな。

何、食べたい？
何でも作ってやるよ。

俺は食欲ないからいい。

ってか、俺の心配なんかするか、普通。
自分を閉じ込めてる人間だぜ？

でも、お前のそういう優しいところ、好きだよ。
ありがとう。

それにしてもお前、本当に変わらないよな。
もう少し怯えたりするかと思ってたのに。

いや、そうなってほしいとかじゃなくてさ。

お前のそういう芯の通ったところ、本当に好きだわ。
守りたくなるような、可愛い笑顔するくせにさ。

だから、いらない虫も付くんだろうけど。

あいつ？
さあ、どうしてるだろうな。

もうお前には一生近づかせねぇよ。
お前も絶対近づくなよ。

あ、お前は俺が監禁してるから無理か。
あはは、そうだよな。

別に暴力沙汰にはしてねぇよ。
ただ、ちょっとな。

睨むな、睨むな。
そんなにあいつのことが大事だったのか？
気に入らねぇな。

気が変わった。
夕飯の前に、しようか。

どんなに俺が憎くても、さすがに本能には抗えないもんな。
俺に溺れるお前、本当に可愛い。
見てると幸せになる。

そんなに嫌がんなよ。
ほら。
怖くない。大丈夫。

……。
泣くなよ。

どこでおかしくなったんだろうな。
どうして、俺はお前を泣かせてるんだろうな。

俺、お前の笑顔が一番好きなのに。

馬鹿。
こんなことして戻れるとでも思うのか？
まだ、お前は俺のこと好きだっていうのか？

なんでそんなはっきり頷くんだよ。

馬鹿だろ。
本当に馬鹿。

俺だって戻りたい。

戻りたいよ。

でも、もうお前を放したくないんだ。

誰にも会ってほしくない。
誰にも笑顔を見せてほしくない。
お前の全部が欲しい。

お前を縛り付けたいんだよ。
俺だけを見ていてほしい。

できないだろ？
だったら――。

やめろ、そんなこと言うな。
やめてくれ。
やめてくれ！

悪い。

夕飯作るな。
ちょっと待っとけ。

俺？

そうだな。
でも、最近腹減らないんだ。

俺、もともとあんまメシに興味ないし。
そう、お前がうまそうに食ってんの見て、それから。
それからなんだ。
メシがうまいって感じるようになったのは。

だから、泣きそうな顔してメシ食ってるお前なんか見ても……。

はは、馬鹿だよな。
お前をそうしたのは俺なのに。

ああ、あの店いいな。
お前、あそこのオムライス大好きだよな。

また行きたい、か。
俺も……俺もだ。

ごめん、ごめんな。
俺が弱いから、俺が駄目な奴だから。

許すなんて簡単に言うなよ！
どれだけひどいことをしてると思ってんだよ！

そばに来いって？
なんで？

頭撫でるなよ、馬鹿。

お前、本当に馬鹿。
ばーかばーか。

くそっ。
泣いてねぇし。

もう無理だよ。
もし、戻れたとしても俺は狂ったままだ。
嫉妬も欲望も抑えられない。
お前にもっとひどいことをしてしまうかもしれない。

無理だ、無理だって。

何が大丈夫なんだ。
教えてくれ。

根拠なしかよ。
お前ってやつは。

どうした？
あー、手錠が重すぎるんだな。
痛むか？

少し冷やそう。

……。
手錠、取るな。
足枷も。

ごめん。
やっぱり、まだお前を外に出す気にはなれない。
だけど、だけど、このままじゃ駄目だよな。

手錠と足枷はもう付けない。
でも、部屋からは出ないでほしい。
買い物とかは俺が行く。

戻れるかな？
俺たち、あの頃みたいに。

だよな。
あの頃みたいには、無理だよな。

は？
何が違うんだよ。

進む？

戻って駄目なら、その先に進む……。
お前らしいな。

……。
できるかな？

その大丈夫、また根拠はないんだろ？
知ってる。

本当に少しずつしか進めないと思う。
それでも、一緒に歩いてくれるか？

ありがとう。

大好きだ。
愛してる。

こんな俺だけど、これからもよろしくな。

・台本（ゆるボイ！）
狂ったあなたと、これからも。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
シノト