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魔女の小屋で恋の薬を作ってもらう
  • ファンタジー
  • 後輩
公開日2022年10月20日 01:00 更新日2022年10月20日 01:00
文字数
2268文字(約 7分34秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
小屋に住む魔女、後輩
視聴者役柄
指定なし
場所
魔女の小屋→学校の放課後
あらすじ
ふと気が付くと、あなたは魔女の小屋にいました。
そこは悩みや望みを抱いたものが、ある時辿り着いてしまう場所です。
そこには一人の怪しげな魔女がいました。
あなたはそこで「告白したい子がいるが成功するか分からない、何かいい魔法や薬はないか」と魔女に問いかけます。
魔女はあなたに質問をしながら、「魅了の魔法薬」を作り、あなたに渡すのでした。
あなたは無事に愛の告白に成功するのでしょうか。
本編
イーッヒッヒッヒ!

いらっしゃい……

良く来たねぇ、さ、お入りなさい

どうしたんだい?

ああ、皆まで言うな

キミは迷い込んできたと

そういえば今日はあの日だったねえ

この世とあの世の境が曖昧になるっていう

まあいい、ところで

いつまでそんなところにボサッと立っているんだい?

お入りよ

今日は風が冷たい、はやくお入り

(間)

はやくしな!

(扉が閉まる音)

今日みたいな風は老骨には厳しくてなあ

ん? 何を驚いておる

そちらの国にも自動ドアくらいあろう

それとさして変わるものでもあるまいて

さあ座りな

なに、とって食おうってわけじゃあない

とって食うこともあるがね

イーッヒッヒッヒッ!

冗談だよ、冗談

さて、ここに来たということはねえ

キミは悩みを持っている

それこそ、魔法の力でも借りたいと思うような、ね

ここはそういう場所さね

さてさて?

きみはどんな悩みを持ってきたんだい?

ああ、この場所の紹介がまだだったねえ

ようこそ、『にわとりあしの小屋』へ

私は、ここに住む魔女さね

イーッヒッヒッヒ!

じゃ、改めてきこうかねえ

キミの悩みはどんなものなんだい?

ふむふむ

ほほお、それはそれは

面白いじゃあないか

告白したいが

上手くいくか分からない、と

ふむふむ

じゃあ、『声に魅了をのせる魔法薬』を作っていく方針で行こうかね

さて、まずはその気になる相手について、詳しく教えてもらおうかねえ

(指を鳴らす)

さあ、ペンよ起きなさいな、仕事だよ

その子の特徴を教えて欲しい所だねえ

髪はどんな色だい? 長さは?

眼は釣り目かい? 垂れ目かい?

鼻は高い? それとも鼻ぺちゃかい?

……どうしたんだい?

ああ、これはキミが話したことを自動筆記する羽ペンさ

いやいや

今となっては、人の世でもそう珍しいものじゃあないだろう?


音声認識で文字を打ち込む、みたいな機能だったり、アプリというのかねえ?

そういうのがあるだろう?

この羽ペンだって、それみたいなものさ

そんなことよりも、その子の特徴を教えておくれよ

……ああ必要な情報さね

今から作る魔法薬の配合を決めるのには

お相手がどんな姿なのかをしっかりと知る必要がある

黒髪と金髪とでは使う触媒が違ったりするからねえ

さ、そのお相手のこと、詳しく教えておくれ?

髪は……ふむふむ

それで、普段はどんな話をするんだい?

相手はどんな反応なんだい?

ふむふむ

……ん?

キミ、それは……

オホン

いいや、なんでもないよ

イーッヒッヒッヒ!

……そういうことならば

こっちじゃなくて、この配合でやろうかねえ

よいしょっと

さて、こちらにおいで

魔法の大鍋を見せてやろう

こいつがそうだよ

……さて、さっきの話から配合はこれとこれと……よっと

こいつでいいかな

さてさて、湯が沸騰しておるから

ここに、順番に材料を入れていこう

まずは

イーッヒッヒッヒ!

蛇のあし一束ひとたば……

これをコトコトと煮込んで……

そうすると、うっすらと青い色になっていくので

ここで、不死鳥のひれ

ほうら、色が赤に変わっただろう?

そこから、人魚のかかとを加えて

仕上げに、この瓶に入ったもやのようなもの

オリハルコンのため息をひと瓶

ほうら、ふわあっと煙が立ったろう

そうしたら火を止めて

イーッヒッヒッヒ!

これで完成だねえ

無色透明だが、効果に間違いはないぞ?

どれ、ここで飲んでみな

(そそぐ音)

熱いから気を付けて

さあ、ふうふうと息を吹きかけ

そして、少し冷めたら飲むといい

は、口にしたものの声に魔力を宿し

言の葉を受けた相手を魅了して、

愛の告白を必ずや成功させる愛の妙薬みょうやく

……よしよし、良い飲みっぷりだ

さてさて、それじゃあ君は戻る時間だ

お代ならいらないよ

そのうちどこかで

君が支払った何かが巡り巡って私の元に返ってくる

魔女との契約というのはそういうものだからねえ

まあ、それが何かは分からないけれどねえ

お金か物か

もしかしたら、魂や命かもしれないねえ

イーッヒッヒッヒ

それじゃあまた、縁があったらねえ

× × ×

あ、あ、あの……

先輩?

話って、な、な、なんですか?

えと、

わたしみたいな、暗いやつと一緒にいるところ見られたら

あんまり、良い噂とか、立たないかなって

え? えっと、告白って……

そっか、そうだったんだ

そうだったんですね

イーッヒッヒッヒ……

おめでと、告白、成功したねえ、ボウヤ

(間)

先輩……気付いてなかったんですね

まあ、魔法で完璧な変装してるから、無理もありませんが

……ん?

ああ、違いますよ?

魔女に乗っ取られたとか

あの魔女と入れ替わったとかじゃなくて

あの魔女が私で

私があの魔女なの

そ、元々

だから、先輩が私の小屋に

告白を成功させるための何かを求めてきたときは驚きました

正直、追い返してやろうかと思いましたよ

魔女への依頼というのは、

そうとは分からないように、けれど確実に

法外な対価を支払わせるものですからね

けれど、先輩、知っていましたか?

先輩に足りないものは魅了の魔法なんかじゃなくて

告白する勇気だけだったんですよ?

だからね、先輩が飲んだのって実は……

ああいや、でも……そういうことにしましょうか

いいえ、こちらの話

(間)

……ふふふ

私も、ずっと先輩のこと好きだったんです

暗くて近寄りがたい雰囲気の私に、積極的に話しかけてくれるのもそうなんですけれど

私に話しかける勇気はあるのに、告白する勇気まではでない、みたいな可愛い所とか、

魔女に頼んじゃうなんていう、普通じゃ考えられないような

手段を選ばない、そんな小狡こずるいところなんかも、好き……

あ、先輩の告白のお返事、まだでしたね

はい、喜んで

そんなわけで、先輩は私の恋人になって、全てを捧げる、なんていう

対価を支払うのでした

なんちゃって

……大切にしてくださいね、先輩

もし私のことをぞんざいに扱ったら、私魔女だから……わかりますよね

ふふ、不束者ですが、よろしくお願いしますね、先輩

いひひひ……
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
魔女の小屋で恋の薬を作ってもらう
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
剣城・アイスドーラ・凍子
ライター情報
つるぎ あいすどーら とうこ
剣城・アイスドーラ・凍子です。

駆け出しの台本師

Twitter:@Ice_dola

いろんな設定のシチュエーションを書いていきます。
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