梅雨の晴れ間
外出していた貴方を突然の雨が襲う
そらは晴れてるのに雨
いわゆるお天気雨というヤツだろう
少し……雨宿りしていくか
そこに、一人の女の子がやってきて

こんにちわ、おにいさん
ふって来ちゃいましたね
一緒に雨宿りいいですか？
不思議ですよね
晴れてるのに雨なんて
御天気雨って言うんですかね
あっ……そうでした
「狐の嫁入り」っとも言うんですよね
そうです、おにいさん
雨宿りの間にちょっとした昔話をきいてください
昔、あるところに一匹の狐がいました
狐は毎日人里近くまでお散歩に来てたんです
そんなある日のことです
狐が誤って人間の猟師の仕掛けた罠にかかってしまいました
足に縄が絡まって狐はもがく事しかできませんでした
しかも、もがけばもがくほど縄は絡まっていってしまい
もう、狐自身ではどうする事もできなくなってしまいました
狐が諦めかけていると一人の人間の男の子がやってきました
男の子は罠にかかった狐を見るやいなやその場から走り去りました
あぁ、これは猟師を呼びにいったんだ
っと、狐はついに完全にあきらめてしまいました
しばらくすると男の子が帰ってきました
男の子は一人でした
猟師に呼びに言ったと思っていた男の子はハサミを手にして帰ってきたのです
その後、男の子は狐に足にからまった縄を丁寧に解いてあげると、狐を山に返してあげました
そのとき、狐は何が何でも男の子に恩返しをしようと心に決めたのです
はい、めでたしめでたしです
んっ？
なにか心当たりでもありますか？
不思議そうな顔をしてますが
あっ
あとおにいさん
狐の嫁入りって
単に晴れてるのに雨が降ってるだけじゃないんですよ
本当に狐が結婚式をしてるんですよ
そうです
今日もなんですよ
まぁ、今日はこれからなんですけどね
そろそろ気がつきましたか？
そうです
あの時おにいさんに助けられた狐は、私なんです
あっ
その顔は信じてませんね
ほら、見てください
耳も……尻尾もきちんとあるんですよ
……今日はですね
元々おにいさんを招待するために来たんです
命の恩人のおにいさんに……私のことをもらってほしいんです
あっ
逃げちゃダメですよ
おにいさんは私と長い時間目をあわせてましたからね
私には逆らえないと思いますよ
狐の妖術です
だ・か・ら……おにいさんに拒否権はないんです
大丈夫です
私、おにいさんのためなら何でもしますから
絶対に後悔なんてさせませんから
だから私の旦那様になってください
……いや……ですか？
そうですか
でも……おにいさんに拒否権はないですから
諦めてくださいね
本当はこんなことしたくなかったんですけど
少し……寝ててください
おやすみなさい、おにいさん
（おにいさんがねむってしまう）

（少し間を空ける）
あっ
おはようございます、おにいさん
よく眠れましたか？
そろそろ式が始まるので準備しちゃってくださいね
なんのって……
結婚式ですよ、結婚式
私とおにいさんの結婚式です
それじゃ、早く着替えてくださいね
外で待ってますから
あっ！
着替えといっても、おにいさんは何もしないでいいですからね
里の子狐達がやってくれますから
抵抗しちゃダメですからね
まぁ……私の術にかかってるのでそんな無駄な事は考えられないと思いますけどね
今日からよろしくお願いします
私の……旦那様

・台本（ゆるボイ！）
昔助けた狐が恩返し？にやってきたらしいが……
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
れん