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【男性向け】Stockholm Syndrome(後編)【ヤンデレ】
written by 平 朝臣
  • シリアス
  • 監禁
  • 拘束
  • ヤンデレ
  • お嬢様
  • 学生
公開日2021年12月19日 22:34 更新日2021年12月19日 22:53
文字数
3488文字(約 11分38秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
2 人
演者役柄
お嬢様&女性アナウンサー
視聴者役柄
犯人
場所
現代
本編
<4日目>


【10:30 a.m.】


SE:ドアの開閉音

#低いテンションで、自棄になった感じで

...なによ、それ...。

というか、昨日も言ったじゃない...。

食欲がない、って...。

...私には、何も罪はない...?

#深いため息を吐く

ハァ~...そういう意味じゃなくて...。

あんなもの聞かされた後に、食欲なんか湧かないってことよ...。

だって、当然じゃない...。

アンタの娘が自殺した後、遺書や遺品の中に、私のパパが、性的暴行を行っていた証拠が残されてて...。

しかも、アンタが、それを警察やマスコミに訴えようとしたら、黙殺された...なんて...。

挙げ句、心身を病んだ妻にまで、先立たれたんでしょ...?

だとしたら、酷すぎるわよ...。

こんなこと、許されるはずないわ...。

...私を、拉致監禁してることについては、どう考えてるんだ、って...。

#口ごもる

そ、それは、その...。

...確かに、方法論としては、理解できるわ...。

警察もマスコミも動かない上に、職も失ったアンタが、パパに復讐するために選んだ方法...。

それが、アンタの娘を自殺に追い込んだ罪を、あらゆるマスメディアの前で、直に懺悔させることで...。

もし、それが1週間以内に行わなければ、人質の私を殺害する、っていうのは...。

これなら、どちらに転んだとしても、パパに最大級の苦しみを与えることができるし...。

パパの方も、下手にアンタの素性を明かせば、その罪を暴かれると思って、迂闊に行動できない...。

だから、警察も、未だにアンタを特定できず、結果として、パパは二者択一を迫られるってことね...。

人質の私が言うのはなんだけど、よく考えられると思うわ...。

#暗い声で

...でも、手段としての正当性は、皆無よ...。

アンタに、どんな過去があり、そして、パパがいかなる罪人であったとしても...。

アンタが今やってるのは、れっきとした犯罪だわ...。

#声を絞り出すように

けど...私は...っ。

#困惑しながら

...え?

と、とりあえず、飯を食え...?

いや、だから、いらないって...もごっ!?

#咀嚼する

んぐ...もぐ...ごくん...。

#むせる

こほっ...こほっ...。

#怒り気味に

ちょ、ちょっと...!

無理矢理、口に突っ込まないでよ!

喉詰まるかと思ったじゃない!

...って、ハァ?

本当は、お腹空いてたんだろ、って...。

#図星気味に否定する

そ、そんなわけないでしょうが!

私は、別に...!

SE:お腹が鳴る音

#顔を真っ赤にしながら

っ~...!

うぅ...わ、笑わないでよ、も~!


(しばらく間を空ける)


<5日目>


【9:00 p.m.】


#以下の『』内は、落ち着き払った女性アナウンサーの声で


『9時になりました。夜のニュースをお伝えいたします』

『某事業家の長女が、行方不明となっている事件について、警察は今日、被害者が何者かに拉致された可能性が極めて高いことを、明らかにしました』

『警察によりますと、被害者が行方不明になった当日の監視カメラの映像に、被害者と共に歩いていた男性が写っていたとのことであり...』

『警察は、この男性が被害者を拉致したのではないかとみて、捜査を進めています』
 
『また、某事業家は今日、都内のホテルで記者会見を開き、「娘が無事に帰ってくることを、切に願う」と、涙ながらに...』


SE:テレビのリモコンのピッという音と同時に、テレビがブツリと切れる音

#苛立たしげに

なーにが、切に願う、よ...。

だったら、後ろ暗いこともひっくるめて、洗いざらい公表しなさいよって、話なのに...。

#深いため息を吐く

ハァ~...。

...ねぇ、アンタ...。

もし、パパがあのことを謝罪せずに、タイムリミットを迎えとしたら...。

その時は、殺すんでしょ...?

私を...。

(少し間を空ける)

...その沈黙は、肯定と受け取っても、いいのかしらね...。

...でも、正直...。

私は、それも仕方ないって、思ってるの...。

だって、そうでもしないと、アンタは...。

#静かに涙を流しながら

ぐす...ひく...。

違う...私だって、死にたくないわよ...。

けど、何もかも失って、残ったものを全て復讐に賭けて...。

なのに、少しも果たされなかったとしたら...。

ぐす...そんなの...余りにも、報われないじゃない...っ。

#ボロボロと涙を溢す

ぐすっ...えっぐ...。

SE:犯人がお嬢様を抱き締める音

#左耳 or 右耳、至近距離

ぐす...ごめん...。

ちょっと、そのまま、抱き締めてて...。

私の涙が、止まるまで...。


(しばらく間を空ける)


<6日目>


【1:00 p.m.】


#焦ったような感じで

っ...!

まずいわ...家の外を囲まれてる...。

どうやら、警察が、アンタが犯人だってことを、突き止めたみたいね...。

しかも、やたら物々しい装備の警官までいるじゃない...。

あれ、どう考えても、特殊部隊だわ...。

いざという時は、突入させるつもりなのよ...。

#悔しそうに

くっ...やっぱり、パパは、罪を認める気がないみたいね...。

多分、見ず知らずの犯人から、交換条件付きの殺害予告が来たとだけ、警察に伝えたのよ...。

それも、条件の内容を、法外な額の身代金と偽った上で...。

SE:ダンと壁を叩く音

全く...そんなに、お金や地位が惜しいっていうの...!?

娘を、安全に解放させることに比べて...っ!

#訝しげに

...って、どうしたのよ、アンタ...。

さっきから、ずっと考え込んでるみたいだけど...。

...ハ、ハァ?

今日の夕御飯は、何が食べたい、って...。

まさか、私を殺すことを見越して、「最後の晩餐」を洒落込むつもりだったの?

#呆れたようにため息を吐く

ハァ...アンタねぇ...。

今の状況で、そんな悠長なこと、考えられるわけないでしょ...。

そもそも、どのタイミングで、突入作戦が行われるか、分からないのよ?

むしろ、いつ、私を殺すのかを考えた方が、賢明だわ。

#鬱陶しげに

...って、あぁ、もう、しつこいわね...!

じゃあ、今用意できる中で、一番豪勢なやつ!

それで、いい?

#やれやれといった感じで、ため息を吐く

...ハァ、全く...。

一体、何を、考えてるのかしらね...。


(しばらく間を空ける)


【6:30 p.m.】


#唖然とした感じで

う、嘘でしょ...?

これ、高級レストランに出てくる、フルコース料理並みじゃない...。

もしかして、全部、アンタが...?

#ゴクリと唾を飲み込む

...っ。

そ、それじゃ、遠慮なくいただくわね...。

#一口食べる

はむ...。

#驚く

っ...!?

お、美味しい...。

まるで、プロの味だわ...。

す、すごいじゃない、アンタ...!

このクオリティなら、店を出しても、文句は言われないはずよ!

...え?

死んだ娘も、そんなに風に喜んでくれた、って...。

#気まずそうに

あ...いや、その...。

#気まずい空気を変えるように、わざと明るく振る舞いながら

そ、そうだわ...!

アンタも、食べなさいってば!

はい、あーん!

#悪戯っぽそうに笑いながら

クスクス...何、恥ずかしがってんのよ。

ホラホラ、口を開けて。

はい、あーん...。

...どう、美味しい?

クスッ...よかった...。

#一転して、真剣な口調で

...ねぇ。

最後に、もう一つだけ、お願いしてもいいかしら...?

その...私を殺す時は、眠ってる時にしてほしいの...。

なるべく、死の恐怖を感じずにいたいから...。

だから、ね...。

#顔を赤らめながら

わ、私が眠るまで、手を握ってくれない...?

そしたら、安らかに眠れるような気がするから...。

#上目遣いで

ダ、ダメ...?

#目を見開きながら

...え?

本当に、いいの...?

#顔を綻ばせながら

っ...!

そ、そう...なら、よかったわ...。

なら、寝付くまでは、絶体に離さないで...。

出来るだけ、アンタと、一緒にいたいからね...。


(しばらく間を空ける)


<7日目>


【0:00 a.m.】


#以下の()内は、心中の声で


#寝ぼけ眼を擦りながら

(んっ...うぅ...)

(あ、あれ...?)

(私、まだ、生きてるの...?)

(それに、アイツ、銃を、自分の口に突っ込もうとしてるけど...)

#ハッと何かに気づく

(っ...!?)

(枕元に、置き手紙が置いてあるってことは...!)

(ま、まさか、アイツ...!)


...っ!

#叫ぶ

待ちなさいっ!

アンタ...もしかして、自殺するつもりなの...!?

...やっぱり、そうなのね...。

ねぇ...なんでよ...。

どうして、私を...!

#呆気に取られたように

...え?

私が、死んだ娘に...似ている...?

だから、愛おしくなってしまった...って...。

#震え声で

な、なによ、それ...。

そんなの、卑怯よ...。

私だって...アンタのことが、好きなのに...っ!

#決意を秘めた目で睨み付けながら

っ...!

そんなこと、させるくらないなら...っ!

SE:お嬢様が犯人に飛びかかる音

SE:揉みくちゃになる音

くぅっ...いいから、その銃を離しなさい...ってば...っ!

#荒い呼吸で

はぁっ...はぁっ...はぁっ...!

#不気味な笑みを浮かべながら

フ、フフフ...これで、もう自殺は出来なくなったわね...。

...早く、銃を返せ?

#冷たい声で

嫌よ...。

それより、アンタには、やってもらうわないといけないことがあるわ...。

そう...この、拉致監禁生活の延長を、ね...。

そうすれば、いつか、パパも諦めて、罪を告白する時が来るはずよ...。

...クスッ。

そんなに、心配な顔をしないで...。

もちろん、私も、出来る限りの協力はするし...。

何なら、条件を呑まなければ帰らないって、パパに啖呵を切ることだって出来るわ...。

#左耳 or 右耳、至近距離、囁き

だから、アンタは、私の側から離れないで欲しいの...。

そうすれば、たとえ、日本中...いいえ、世界中を敵に回したとしても...。

私が、アンタを、必ず、守ってみせるからね...。

クス...クスクス...。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
【男性向け】Stockholm Syndrome(後編)【ヤンデレ】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
平 朝臣
ライター情報
タイラ トモオミ
 初めまして。
 平朝臣と申します。
 ヤンデレを題材にしたシリアスな作品が多めですが、耳かき系も少数ながらありますので、どうぞお楽しみください。
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