A.ハデス　B.ペルセポネ


【Bパート】

B.あ、気がついた？よかったぁ…

B.もう、何言ってるの？ここは天国じゃなくて冥界。

B.そう。君は死んでここに来たのよ。

B.あ、そうだ。起きたんなら、ハデスに知らせなきゃ。

B.そう。君に話があるんだって。ちょっと待っててね。



【Aパート】

A.アンタが噂の天界の英雄？

A.とりあえずはじめまして。

A.あたしは冥界を治める神、ハデス。

A.戦乙女(ヴァルキリー)にちゃんと連れてこられたみたいで何よりだわ。

A.は？さっきの美人女神？

A.あれはあたしの嫁のペルセポネ。可愛いでしょ？

A.なによ、その反応…女同士が結婚しちゃいけないわけ？

A.あたしが男かと思ったって…失礼ね。

A.あたしは正真正銘の女よ。見て分かるでしょ？

A.…って、あたしのことはどうでもよくて。

A.早速だけどアンタ、生き返りたいと思わない？

A.そ、再び地上で活動できる肉体を得られるってこと。

A.食い気味ね…そんなに生き返りたいの？

A.あっそ…ならちょうどいいわ。

A.アンタ、十二の試練に挑んでみない？

A.そ。生き返るには十二の試練を全てクリアし、不死の身体を得るしかない。

A.失敗したら？

A.もちろん、アンタは永遠に冥界で一生を過ごすことになるわ。

A.ついでにチャンスも一回きり。

A.挑む覚悟はある？

A.…そ、愚問だったわね。

A.じゃ、この鍵であそこの扉を開けなさい。

A.開けた瞬間に試練はスタートよ。

A.別に。お礼を言われるようなことはしてないわ。

A.せいぜい頑張ってきなさい。



【ABパート】

A.…行ったわね。全く躊躇なく行くとは思わなかったけど。

B.…よかったの？あの扉は過去に戻るための…

A.いいのよ、別に。十二の試練を受けてもらうことに変わりはないんだから。

B.うん…彼なら連れてきてくれるかな？ヘラクレスのこと…

A.じゃないと困るわよ。ヘラクレスはあたしたちの可愛い娘同然なんだから。

B.それはそうだけど…天界に直接交渉してこっちに来てもらうようにしてもよかったんじゃ…

A.バカね。それができなかったから、今ヘラクレスは天界の山に封印されてるんでしょう？

B.そう、だね…早く解放してあげないとだもんね…

A.そういうこと。冥界から天界に直接干渉はできないから、あの男の力を借りようってわけ。

B.でもなんだか利用してるみたいで気が引けるね…

A.いいのよ、別に。向こうも生き返りたいみたいだったし、利害が一致したってことで。

B.うん…大丈夫だよね、きっと…

A.あたしが見込んだ男だもの。多分大丈夫よ。それより…

(ベッドに押し倒してキス)

A.ンッ、ふぅ…最近ずいぶん焦らしてくれたわね。もしかして襲われたかったの？

B.も、もう…強引なんだから……でもハデスのそういうところ、好きだよ。

A.あ、当たり前でしょ…あたしだって、アンタのことが好きよ。じゃなきゃ、天界から駆け落ちなんてしないし。

B.うん…わたしのこと、連れ出してくれて嬉しかったよ。ママもなんだかんだ、わたしたちのこと認めてくれたし。

A.ちょっと喧嘩はしたけどね…ま、それもいい思い出よ。あとは、ヘラクレスが戻ってきてくれれば…

B.うん、また3人で過ごしたいね。彼のこと、信じて待ってよう。

A.連れ戻せなかったら、アイツも一生冥界に縛り付けてやるんだから……って、ちょ！

(キス)

B.ふふっ、隙だらけだよ。ハデスも案外、甘っちょろいところあるんだね。

A.やってくれたわね…！冥界の王の肩書きは伊達じゃないのよ…！

B.あはは……お手柔らかに、ね…？

・台本（ゆるボイ！）
冥界送りにされたが、なんとか生き返るチャンスをもらった〜冥界の夫婦・ハデスとペルセポネ編〜
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎