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公開日2022年11月14日 05:44
更新日2022年11月14日 05:44
文字数
975文字(約 3分15秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
曇のち雨。
居残りで帰りが遅くなった私は、エントランスで空を見上げる先輩に恋をする。
居残りで帰りが遅くなった私は、エントランスで空を見上げる先輩に恋をする。
本編
あぁ、今日はツイてない。こんな日に先生の手伝いで居残りさせられるなんて……
今日の天気予報は曇のち雨。ううっ、ホームルームが終わったときには降ってなかったのに、もう校庭に水たまりができてるよ……
あれ? エントランスに立ってるあの姿は、艶々の長いストレートの黒髪に少し垂れた大きな目、油断しがちな緩い唇。私と同じ図書委員の先輩だ。
おっとりしてるけど意外と頼りになってすっごく優しい、私のあこがれの人。
そういえば、今日は先輩が当番の日だったっけ。傘、忘れちゃったのかな?
空を見上げて瞳に鉛色を映し、眉尻を下げる困った表情が、すごくきれいだ。
あ、もしかしてこれって、先輩と相合い傘で一緒に帰れるチャンス?
私から声をかけて、迷惑じゃないかなぁ。
持ってる傘も小さいからぴったりくっつかないと肩がはみ出しちゃうし、私なんかと一緒じゃ絶対先輩恥ずかしいよね。
でも、先輩がびしょ濡れで帰って風邪ひいちゃったら悲しいし……
相合傘でぴったりくっついて帰れたら嬉しいし……
よし、これは先輩のためだ! がんばれっ、私っ!
「せっ…… 先輩っ! あのっ……! ええっと……」
やだ、緊張して変な声出ちゃった、先輩びっくりしてるよぉ。
「もし、よかったら、あの…… 一緒に、帰りませんか?」
言い終わるか終わらないかのうちに、曇っていた先輩の表情がパッと晴れ渡り、無邪気に私に微笑みかける。
その表情に、その仕草に、その声に、心臓が早鐘を打ち、体温が一気に上がっていくのを感じる。
私の顔、真っ赤になってないかな……?
「ぜっ、全然っ、迷惑なんかじゃありませんっ! 私の傘、小さいし、子供っぽい柄だし、先輩の方が迷惑じゃないかなって……」
私が差し出した傘を受け取った先輩は、帯をほどいてポンと開き、空にかざして目を細める。
「可愛いだなんて、ただ、子供っぽいだけで…… えっ?」
先輩は卑屈になる私に「そんなことないよ」と言うように、頭をぽんぽんと撫でてくれる。
私を映すその透き通った瞳が眩しくて思わず視線を落とすと、半袖のセーラー服からすらりと伸びる白い腕がしなやかに私の手を捕まえた。
温かくて、柔らかくて、すべすべだ。
その感触を味わううちに、二人の手が六月の湿気とお互いの手の汗でしっとりと一つに溶け合う。
私より少しだけ背の高い先輩は広げた傘を二人の間に差し掛け、手を引いて雨で濡れたコンクリートに一歩踏み出す。
やっぱり、私は先輩のことが――
今日の天気予報は曇のち雨。ううっ、ホームルームが終わったときには降ってなかったのに、もう校庭に水たまりができてるよ……
あれ? エントランスに立ってるあの姿は、艶々の長いストレートの黒髪に少し垂れた大きな目、油断しがちな緩い唇。私と同じ図書委員の先輩だ。
おっとりしてるけど意外と頼りになってすっごく優しい、私のあこがれの人。
そういえば、今日は先輩が当番の日だったっけ。傘、忘れちゃったのかな?
空を見上げて瞳に鉛色を映し、眉尻を下げる困った表情が、すごくきれいだ。
あ、もしかしてこれって、先輩と相合い傘で一緒に帰れるチャンス?
私から声をかけて、迷惑じゃないかなぁ。
持ってる傘も小さいからぴったりくっつかないと肩がはみ出しちゃうし、私なんかと一緒じゃ絶対先輩恥ずかしいよね。
でも、先輩がびしょ濡れで帰って風邪ひいちゃったら悲しいし……
相合傘でぴったりくっついて帰れたら嬉しいし……
よし、これは先輩のためだ! がんばれっ、私っ!
「せっ…… 先輩っ! あのっ……! ええっと……」
やだ、緊張して変な声出ちゃった、先輩びっくりしてるよぉ。
「もし、よかったら、あの…… 一緒に、帰りませんか?」
言い終わるか終わらないかのうちに、曇っていた先輩の表情がパッと晴れ渡り、無邪気に私に微笑みかける。
その表情に、その仕草に、その声に、心臓が早鐘を打ち、体温が一気に上がっていくのを感じる。
私の顔、真っ赤になってないかな……?
「ぜっ、全然っ、迷惑なんかじゃありませんっ! 私の傘、小さいし、子供っぽい柄だし、先輩の方が迷惑じゃないかなって……」
私が差し出した傘を受け取った先輩は、帯をほどいてポンと開き、空にかざして目を細める。
「可愛いだなんて、ただ、子供っぽいだけで…… えっ?」
先輩は卑屈になる私に「そんなことないよ」と言うように、頭をぽんぽんと撫でてくれる。
私を映すその透き通った瞳が眩しくて思わず視線を落とすと、半袖のセーラー服からすらりと伸びる白い腕がしなやかに私の手を捕まえた。
温かくて、柔らかくて、すべすべだ。
その感触を味わううちに、二人の手が六月の湿気とお互いの手の汗でしっとりと一つに溶け合う。
私より少しだけ背の高い先輩は広げた傘を二人の間に差し掛け、手を引いて雨で濡れたコンクリートに一歩踏み出す。
やっぱり、私は先輩のことが――
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