死霊使いの男は、ゴーレム使いの少女を自らが扱う死霊の仲間に加え入れるべく、彼女に戦いを挑む。対する少女も男をゴーレムコレクションの仲間入りをさせようと目論んでいた。二人は自らの私欲のために互いを滅ぼし合うが、はたしてその結末は…？

あ、お兄さん。こんにちは。


ここに来たってことは…
僕と契約する気になった？


あ、そうなんだ！嬉しいなぁ！
じゃあさっそく契約の儀式を…


え、お兄さん主導で？


ダメだよ…そんなことしたら
お兄さんが僕の主人になっちゃうじゃん。


僕の望みは、お兄さんを
僕専用のゴーレムにすること。
前にもそう言ったでしょ？


へぇ…お兄さんも僕を人形にしたいんだ。
しかも僕のこと殺して…


そうだね…お兄さん、死霊使い(ネクロマンサー)だもんね。僕を自分だけのお人形にするつもりなんだ。


気持ちは嬉しいよ。でもね…
お人形にしたいのはお互い様。
僕だってお兄さんのことが欲しいよ。


こんな時ゴーレムなら大人しく言うこと
聞いてくれるのに…お兄さんには
自由意志があるから、僕に逆らうんだ。


お兄さんの身体も心も粘土みたいに練り直して
僕の言うことだけ聞くようにしてあげる。
自由意志なんて要らないよね？


あははっ！僕を殺す？
やれるものならやってみなよ！


僕は負けないよ…おいで、僕のお人形さん？


(召喚術発動)


ふふふっ…僕のお人形とお兄さんのお人形、
どっちが本当に強いか勝負だ。いくよ？


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あはっ！あはは！


楽しいね、お兄さん！


お兄さんとこうして
お人形ごっこするのも
悪くないかも！


でも…そろそろ終わりにしよっか？それっ！


(ゴーレムが死体を薙ぎ倒す)


ふふふ…どうかな？お兄さんの手持ちの
お人形は今ので最後？


あはは…逃げても無駄だよ。
拘束術式、発動。


(死霊使いの男を拘束する)


僕の勝ちだね。大人しく
僕に従ってもらおうかな。


えっ…あっ、がっ！ぐぅぅ…！


ぼ、僕の身体に何したの…？


あはっ…そっかぁ。
僕を呪い殺すための術式を、ね…
いつのまに仕込んでたんだか…


あー、そうだったそうだった。
さっきお兄さんのお人形に
触られちゃってた。やられた〜…


でも…もう遅いよ。
お兄さんは僕好みのゴーレムに
改造してあげるから。


さぁね…僕が死ぬのが早いか、
お兄さんがゴーレムになるのが早いか…


どっちに転んでも恨みっこなしね。いくよ…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ねー、お兄さーん…
腕、取れちゃったんだけど。
直してくれる？


ありがとう。お兄さん、手先器用だからね。
僕が自分で直すより上手く繋がるし。


え？ボロボロな所？どこ？


あ〜、ここかぁ。じゃあ今すぐ
直してあげるね…


…これで大丈夫。しばらくは
このままで十分保つよ。


あ、僕の方も繋がった。ありがとう。


うん…継ぎ目もそんなに目立たないし、
これでいいよ。


それにしても…お兄さんと
共依存の関係になるなんて
思いもしなかったなぁ…


うん…僕はお兄さんのかけた呪いから
逃れられない。


そしてお兄さんも僕のゴーレムとして
契約を結んでるから、完全には
自由に動くことができない。


お互いにくびきをかけた状態なわけだからね。
今までのように自由に行動できないんだよ、僕らは。


でも…僕はこれでいいと思ってる。


結果論かもしれないけど、
少し不自由なくらいが生きていく上では
ちょうどいいのかもしれない。


あはは、そうだった。
僕、死んでたんだった。忘れてた。


ま、とにかくそういうことだから。
僕らは切っても切り離せない関係になったんだよ。


文字通り、死んでも離れられなくなったってわけだ。


ずっと一緒なんだからさ…
お互いもっと愛し合っていこうよ。ね？


ふふ…僕は好きだよ、お兄さんのこと。


大体、好きだからお兄さんをゴーレム
コレクションに加えようとしたんじゃないか。


お兄さんもそうだよね？
僕のことが好きだから、僕を殺して
お人形にしようとしたんでしょ？


だよね。だったらキス、シよ？


お互いを好きな者同士がやるって聞いたよ。
だからシてみたい。ダメ？


もぅ…子ども扱いしないでよ。
こう見えても大人なんだから。


そうだよ。童顔で身長低いけど、
お兄さんとそんなに歳変わらないからね？


ほら、はーやーくー…
キス、シよーよー…ンッ…


(キスされる)


これがキス、かぁ…
特に何の味もしないね。


あー、そっか。
死んでるからか。
そりゃ残念。


え？感覚の疑似体験？したいしたい！


ていうか、そんな便利な術あるなら
先に使ってよ！


……術、かかったかな？
じゃあ今度は僕から…


(キス)


これがキスかぁ…
なんだか気持ちいいね。へへっ♪


お兄さん…僕、お兄さんのことが
もっと欲しいよ…


ダメなんて言わないよね？
僕ら、もう一心同体なんだから…


どうせなら極限まで愛して愛して、
愛し合おうよ…


お互いの大好きなお人形に囲まれてさ…
ずっと二人きりでイチャイチャしてよ？


お兄さんは僕の土人形に、僕はお兄さんの
死霊になって、これ以上死ねないし…


ううん…世界が終わらない限り、じゃなくて
世界が終わっても僕らは一緒だよ。


お互いをもっと強く愛し合えば、
世界が終わっても魂は永遠に不滅だよ。きっと。


それは死霊使いのお兄さんが
一番よくわかってるはずだよ。


人との繋がりが、人への想いが
強い魂はこの世に留まり続けるって。


それを切らさないために…
僕と一度身体で繋がろうよ。ね？


僕の初めてはお兄さんに捧げるからさ…


(抱き寄せる)


はい、捕まえた…
お兄さんも僕のことちゃんと抱いて…ね？

・台本（ゆるボイ！）
見た目ロリなボクっ娘ゴーレム使いから一生離れられなくなった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎