- ヤンデレ
- アイドル
- メンヘラ
- 年下
- シリアス
- 自殺
- 破滅願望
公開日2021年06月05日 18:00
更新日2021年08月25日 02:41
文字数
3113文字(約 10分23秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
アイドル
視聴者役柄
マネージャー
場所
現代
本編
(ドアを開ける音)
あっ...マネージャーさんっ!
(アイドルがマネージャーに抱き着く)
...楽屋に私を置き去りにして、何処に行ってたんですか!?
私、マネージャーさんに見捨てられたかと思って、ずっと不安で、不安で...。
...関係者への挨拶や打ち合わせ?
だったら、何か一言でも言ってくれればよかったじゃないですか!
これから、五大ドームツアー最後のステージが始まるっていうのに、なんで私の隣からいなくなっちゃうんですか?!
私、マネージャーさんがいないとダメなんですよ...?
マネージャーさん以外に、信じられる人なんか、いないんです...。
...謝っても、遅いです。
罰として、ライブのリハーサルが始まる直前まで、ずっと抱き締めてください。
じゃないと、私、舞台に上がりませんからね?
...こんなところ見られたら、大問題だぞ?
そんなこと、どうでもいいじゃないですか。
困るのは、事務所とか、私が持っている人気やお金に群がる業界人なんですから。
せいぜい気をつけるべきは、マネージャーさんの個人情報を特定しようとする、ファンという名の犯罪者予備軍くらいです。
...いつだって、そうでした。
私は昔から、周囲から強制されて、偶像を演じ続けてきたんです。
私がアイドルを始めたのは、小学生の時からでした。
シングルマザーだった母に勧められ、私はジュニアイドルとして、アイドルの道に足を踏み入れました。
当時は生活が苦しかったこともあり、純粋なアイドルへの憧れに加えて、母のために働きたいという願いもあったからです。
でも、現実は、私が抱いていた理想からかけ離れていました...。
歌って踊るアイドルの理想像と違い、写真集や握手会の仕事ばかりが舞い込んできました。
私は周囲の大人たちにアイドルらしい仕事をしたいと訴えましたが、まるで相手にされませんでした。
それどころか、仕事内容はどんどん過激になっていき、それを見た学校の同級生からは陰口を叩かれる始末でした。
耐えかねた私は、ある日、母にアイドルを辞めたいと本音を明かしました。
しかし、そこで返ってきた言葉に、私は絶句しました。
母は慰めるどころか激怒し、アイドルになれたの誰のおかげだ、それくらい我慢しろと吐き捨てました。
その時、私はようやく知ったんです。
私は、お金を稼がせるために利用されていただけということを...。
...あの日以来、私にとってのアイドルは特別なものではなくなりました。
私が抱いていたアイドルのイメージは偶像であり、年端もいかない少女たちが大人によって演じさせられていたことに気づいたからです。
それでも辞めなかったのは、唯一の肉親である母の存在を、最後まで切り捨てられなかったから...。
周囲が望む偶像を演じることで、私以外が幸せになれる...。
そうやって自分を納得させて、耐える道を選んだんです。
そして、いつしか中学生、高校生となり、ようやくアイドルらしい仕事もこなせるようになりました。
でも、だからといって、理想と現実のギャップが解消されることはありませんでした。
むしろ、今度は私に対する誹謗中傷が増えてきました。
その原因こそ、ジュニアアイドル時代の活動であり、枕で仕事を勝ち取ったなどと、根も葉もない噂を週刊誌やSNSで書き立てられました。
しかも、学校のクラスメイトや同期のアイドルが、嫉妬や仕事の奪い合いに駆られて、噂を広めていたという事実が、一番衝撃的でした。
私が有名になればなるほど、私の周りから、信頼できる人が消えていく...。
同業者も、同年代の女の子も、母でさえも...。
流石の私も、あの時は自殺を考えました。
これ以上の苦しみから逃れる術は、それ以外にないと...。
でも、そんな時に、運命の出会いを果たしたんです。
そう...マネージャーさんです。
マネージャーさんは他の人と違って、私に強制させることはせず、いつも私を最優先にして行動してくれました。
全部が全部思い通りにはなりませんでしたけど、私が仕事しやすい環境を最大限作ってくれました。
仕事で失敗しても私の代わりに謝ってくれたり、終わりの見えない愚痴を夜通し聞いてくれたり...。
なにより、私をアイドルとしてではなく、等身大の女の子として、接してくれたのが何より嬉しかったんです。
マネージャーさんはそれが当たり前のことだと思ってるかもしれませんけど、私にとっては、それが救いになってくれました。
マネージャーさんがいなければ、今の私もいない...それくらい、大切な存在なんですよ。
だからこそ、改めて言わせて欲しいんです。
マネージャーさん...約束通り、このライブが終わったら、私と結婚してください...。
...なんで、目を背けるんですか?
私がこのツアーを引き受ける条件として、マネージャーさんと2人で約束したこと、もう忘れたんですか?
ツアーを完走したら、私と結婚するって...。
まさか、今さら反故にするつもりですか?
...マネージャーとアイドルが結婚するなんて、許されない?
そんなこと、他人が知らない内に勝手に決めたタブーじゃないですか。
誰がなんと言おうと、絶対にマネージャーさんと結婚してみせます。
じゃないと、私は死ぬまで、周囲の求める偶像を演じなければならないんです。
お願いします、マネージャーさん...。
私を、アイドルから、一人の女の子に戻してください...。
...どうしても、ダメなんですね。
...なら、私にも考えがあります...。
話は変わりますけど、今日の特設ステージ、かなり高いらしいですね。
ドームの天井から装置を使って、私がステージに降り立つ演出のためらしいです。
でも、ステージに立つ前に飛び降りたら...どうなるんでしょうねぇ?
フフフ...なんで、そんなに慌ててるんですか?
心配しなくても、大丈夫です。
そもそも、命綱がありますし。
でも、万が一、命綱が切れた状態で飛び降りたら...想像はつきますよね?
観客の歓声は一瞬にして悲鳴に変わり、次の瞬間、地面には死体が横たわっているんです。
頭蓋から脳漿(のうしょう)が溢れだし、腸(はらわた)が飛び散っている様は、観客の皆さんにとって一生忘れられない光景になるでしょうねぇ...。
しかも、ライブはテレビやネットで生中継されるはずですから、私の姿は日本中...いえ、世界中にモザイク無しで配信されるんですよぉ?
アハッ...想像しただけで、ゾクゾクしませんかぁ?
しかも、しかもぉ、事務所や関係者は当然大混乱ですし、私が自殺したせいで人生メチャクチャになっちゃう人も、大勢出てきちゃいますしねぇ。
まぁ、死んだ私にしてみれば、どーーーーーでもいいことですけどね、アハハ!
...どうして、悲しい顔してるんですか、マネージャーさん。
これが、私の本当の姿なんですよ?
こんなつまらない世界をぶち壊したくてしょうがない、アイドルとは正反対の人間なんです...。
そんな私が、マネージャーさんと結婚するなんて、やっぱりダメですよね...。
...え?
今、なんて...。
ほ、本当に、結婚してくれるんですか?
で、でも、こんなに面倒くさいですし、マネージャーさんもバッシングされるのは分かりきってるのに...。
...俺がお前を守る?
...ありがとうございます。
やっぱり私、マネージャーさんしか考えられないです...。
...って、あっ!?
も、もうリハ開始10分前になってる...。
ご、ごめんなさい、マネージャーさん。
私、もういかなきゃ...。
え...マネージャーさん、どうしたんですか?
...絶対に死ぬな?
フフ...当たり前じゃないですか。
だって、約束したじゃないですか。
ライブが終わったら、マネージャーさんと結婚するって...。
そのためには、このライブを最高のクオリティにして、誰も文句が言えなくなるくらいにする必要があるんです。
だから、マネージャーさんも、最後まで私を見守っててくださいね?
それが、私にとって、最高の応援になるんですから...。
じゃ、行ってきます!
(アイドルが勢いよくドアを開け、楽屋から出ていく)
あっ...マネージャーさんっ!
(アイドルがマネージャーに抱き着く)
...楽屋に私を置き去りにして、何処に行ってたんですか!?
私、マネージャーさんに見捨てられたかと思って、ずっと不安で、不安で...。
...関係者への挨拶や打ち合わせ?
だったら、何か一言でも言ってくれればよかったじゃないですか!
これから、五大ドームツアー最後のステージが始まるっていうのに、なんで私の隣からいなくなっちゃうんですか?!
私、マネージャーさんがいないとダメなんですよ...?
マネージャーさん以外に、信じられる人なんか、いないんです...。
...謝っても、遅いです。
罰として、ライブのリハーサルが始まる直前まで、ずっと抱き締めてください。
じゃないと、私、舞台に上がりませんからね?
...こんなところ見られたら、大問題だぞ?
そんなこと、どうでもいいじゃないですか。
困るのは、事務所とか、私が持っている人気やお金に群がる業界人なんですから。
せいぜい気をつけるべきは、マネージャーさんの個人情報を特定しようとする、ファンという名の犯罪者予備軍くらいです。
...いつだって、そうでした。
私は昔から、周囲から強制されて、偶像を演じ続けてきたんです。
私がアイドルを始めたのは、小学生の時からでした。
シングルマザーだった母に勧められ、私はジュニアイドルとして、アイドルの道に足を踏み入れました。
当時は生活が苦しかったこともあり、純粋なアイドルへの憧れに加えて、母のために働きたいという願いもあったからです。
でも、現実は、私が抱いていた理想からかけ離れていました...。
歌って踊るアイドルの理想像と違い、写真集や握手会の仕事ばかりが舞い込んできました。
私は周囲の大人たちにアイドルらしい仕事をしたいと訴えましたが、まるで相手にされませんでした。
それどころか、仕事内容はどんどん過激になっていき、それを見た学校の同級生からは陰口を叩かれる始末でした。
耐えかねた私は、ある日、母にアイドルを辞めたいと本音を明かしました。
しかし、そこで返ってきた言葉に、私は絶句しました。
母は慰めるどころか激怒し、アイドルになれたの誰のおかげだ、それくらい我慢しろと吐き捨てました。
その時、私はようやく知ったんです。
私は、お金を稼がせるために利用されていただけということを...。
...あの日以来、私にとってのアイドルは特別なものではなくなりました。
私が抱いていたアイドルのイメージは偶像であり、年端もいかない少女たちが大人によって演じさせられていたことに気づいたからです。
それでも辞めなかったのは、唯一の肉親である母の存在を、最後まで切り捨てられなかったから...。
周囲が望む偶像を演じることで、私以外が幸せになれる...。
そうやって自分を納得させて、耐える道を選んだんです。
そして、いつしか中学生、高校生となり、ようやくアイドルらしい仕事もこなせるようになりました。
でも、だからといって、理想と現実のギャップが解消されることはありませんでした。
むしろ、今度は私に対する誹謗中傷が増えてきました。
その原因こそ、ジュニアアイドル時代の活動であり、枕で仕事を勝ち取ったなどと、根も葉もない噂を週刊誌やSNSで書き立てられました。
しかも、学校のクラスメイトや同期のアイドルが、嫉妬や仕事の奪い合いに駆られて、噂を広めていたという事実が、一番衝撃的でした。
私が有名になればなるほど、私の周りから、信頼できる人が消えていく...。
同業者も、同年代の女の子も、母でさえも...。
流石の私も、あの時は自殺を考えました。
これ以上の苦しみから逃れる術は、それ以外にないと...。
でも、そんな時に、運命の出会いを果たしたんです。
そう...マネージャーさんです。
マネージャーさんは他の人と違って、私に強制させることはせず、いつも私を最優先にして行動してくれました。
全部が全部思い通りにはなりませんでしたけど、私が仕事しやすい環境を最大限作ってくれました。
仕事で失敗しても私の代わりに謝ってくれたり、終わりの見えない愚痴を夜通し聞いてくれたり...。
なにより、私をアイドルとしてではなく、等身大の女の子として、接してくれたのが何より嬉しかったんです。
マネージャーさんはそれが当たり前のことだと思ってるかもしれませんけど、私にとっては、それが救いになってくれました。
マネージャーさんがいなければ、今の私もいない...それくらい、大切な存在なんですよ。
だからこそ、改めて言わせて欲しいんです。
マネージャーさん...約束通り、このライブが終わったら、私と結婚してください...。
...なんで、目を背けるんですか?
私がこのツアーを引き受ける条件として、マネージャーさんと2人で約束したこと、もう忘れたんですか?
ツアーを完走したら、私と結婚するって...。
まさか、今さら反故にするつもりですか?
...マネージャーとアイドルが結婚するなんて、許されない?
そんなこと、他人が知らない内に勝手に決めたタブーじゃないですか。
誰がなんと言おうと、絶対にマネージャーさんと結婚してみせます。
じゃないと、私は死ぬまで、周囲の求める偶像を演じなければならないんです。
お願いします、マネージャーさん...。
私を、アイドルから、一人の女の子に戻してください...。
...どうしても、ダメなんですね。
...なら、私にも考えがあります...。
話は変わりますけど、今日の特設ステージ、かなり高いらしいですね。
ドームの天井から装置を使って、私がステージに降り立つ演出のためらしいです。
でも、ステージに立つ前に飛び降りたら...どうなるんでしょうねぇ?
フフフ...なんで、そんなに慌ててるんですか?
心配しなくても、大丈夫です。
そもそも、命綱がありますし。
でも、万が一、命綱が切れた状態で飛び降りたら...想像はつきますよね?
観客の歓声は一瞬にして悲鳴に変わり、次の瞬間、地面には死体が横たわっているんです。
頭蓋から脳漿(のうしょう)が溢れだし、腸(はらわた)が飛び散っている様は、観客の皆さんにとって一生忘れられない光景になるでしょうねぇ...。
しかも、ライブはテレビやネットで生中継されるはずですから、私の姿は日本中...いえ、世界中にモザイク無しで配信されるんですよぉ?
アハッ...想像しただけで、ゾクゾクしませんかぁ?
しかも、しかもぉ、事務所や関係者は当然大混乱ですし、私が自殺したせいで人生メチャクチャになっちゃう人も、大勢出てきちゃいますしねぇ。
まぁ、死んだ私にしてみれば、どーーーーーでもいいことですけどね、アハハ!
...どうして、悲しい顔してるんですか、マネージャーさん。
これが、私の本当の姿なんですよ?
こんなつまらない世界をぶち壊したくてしょうがない、アイドルとは正反対の人間なんです...。
そんな私が、マネージャーさんと結婚するなんて、やっぱりダメですよね...。
...え?
今、なんて...。
ほ、本当に、結婚してくれるんですか?
で、でも、こんなに面倒くさいですし、マネージャーさんもバッシングされるのは分かりきってるのに...。
...俺がお前を守る?
...ありがとうございます。
やっぱり私、マネージャーさんしか考えられないです...。
...って、あっ!?
も、もうリハ開始10分前になってる...。
ご、ごめんなさい、マネージャーさん。
私、もういかなきゃ...。
え...マネージャーさん、どうしたんですか?
...絶対に死ぬな?
フフ...当たり前じゃないですか。
だって、約束したじゃないですか。
ライブが終わったら、マネージャーさんと結婚するって...。
そのためには、このライブを最高のクオリティにして、誰も文句が言えなくなるくらいにする必要があるんです。
だから、マネージャーさんも、最後まで私を見守っててくださいね?
それが、私にとって、最高の応援になるんですから...。
じゃ、行ってきます!
(アイドルが勢いよくドアを開け、楽屋から出ていく)
クレジット
ライター情報
初めまして。
平朝臣と申します。
ヤンデレを題材にしたシリアスな作品が多めですが、耳かき系も少数ながらありますので、どうぞお楽しみください。
平朝臣と申します。
ヤンデレを題材にしたシリアスな作品が多めですが、耳かき系も少数ながらありますので、どうぞお楽しみください。
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