怪盗を生業としている貴女は、マフィアからとある品を盗み出す。しかし、マフィアの親玉の執事であるという老人から追われ、とうとう袋小路まで追い詰められてしまって…？

ここまでですな、お嬢さん…さ、盗んだ品を返してくだされ。返してくださらぬというのであれば、少々手荒なマネをせねばなりませぬが？


…舐められたものでありますなぁ。たしかに、わたしは老いぼれではありますが、これでも坊っちゃんの執事を務めてはおりますよ？マフィアの親玉である坊っちゃんの、ね？


(彼女の肩ギリギリに発砲)


…お分かりいただけたでしょうか？このジジイ、昔は暗殺業を営んでいたこともありまして…今もたまにそういった仕事を請け負うことはあるのですが。


その気になればお嬢さん、貴女の命を奪うことも容易い…この意味がお分かりかな？


それに…これ以上の鬼ごっこも無意味でございましょう。貴女を狙っているのはわたしだけではない…わたしの相方が、貴女の頭部を撃ち抜かんと、どこかでスナイパーライフルを構えておりますからなぁ。はてさて、どこから鉛玉が飛んでくるのやら…


ふふ…お褒めに預かり、光栄です。老い先短しといえど、まだまだ若い者に引けは取らぬ、ということです。いやはや、このような死に体のジジイでも、前線で坊っちゃんのお役に立てるのは嬉しい限りです…


(女怪盗が突如煙幕を使い、行方をくらまそうとする)


む……煙幕を張って、逃げるつもりかな？そうはさせませぬ、ぞっ…！


(女怪盗の逃げ出す気配を感じ取り、拘束に成功)


……捕えましたぞ。これでもう、逃げられませんなぁ？


どうして、と言われましても…お嬢さんの逃げる気配がこちら側に行ったから、としか言えませんが。たしかに足音はしませんでしたが、それだけでこのジジイの鼻は誤魔化せませんぞ？


化け物、とは失敬な…年寄りを敬わぬ若者は、周りから嫌われますぞ？


さ、まずは手を軽く縄で縛って…念の為、足も縛っておきましょうか。大人しくしなされ…


(手足を縄で縛る)


これでよろしいかな？流石のお嬢さんも、手足を縛られては、逃げる術はございますまい？


あぁ、さらに念を押して、目隠しもしておきましょうか。どうか悪く思いなさるな…


(目隠しをする)


ふぅ…やれやれ。やはり、肉体労働は腰にこたえますわい…結局、ジジイはジジイ、ということなのでしょうな…


さ、相方にも連絡を…っと、噂をすれば。


(電話に出る)


おぉ、若いの。見ておったとは思うが、例の怪盗はすでに捕まえた。坊っちゃんへの連絡は……そうか、もうすでにしてあるか。応援も呼んであると…うむ、手を回すのが早くて助かる。


わかった。応援が到着するまで、彼女のことはわしが見張っておく。もし、彼女を助け出そうとする輩がいれば、そちらの対応は頼む。それではな。


(電話を切る)


ふぅ…ようやく、長い夜も明けそうですなぁ…ここまで年寄りを引っ張り回してくれたのは、お嬢さん、貴女が初めてです。


ははは…そうかもしれませぬ。若い頃であれば、もう少し手早く捕えられていたかもしれんが…やれやれ、寄る年の波には逆らえませんなぁ。


さて…念には念を、押しておいた方がよろしいかな？お嬢さんにはどうやら、隙あらば逃げ出そうという魂胆が見え隠れしている…坊っちゃんに余計な手間をかけさせないためにも、ここはこの老体が身体を張るしかございますまい。


なぁに、大したことは致しません…ただ、二度と我々マフィアに逆らう気が起きぬよう、お嬢さんをみっちり調教するだけですから。


あぁ、それもご心配なく。このような老いぼれにエロいお仕置きをされても、ただただ不快なだけでしょうから…痛みと苦しみが多少伴うかもしれませぬが、そこは裏社会に生きる者として、どうかお覚悟を。


願わくば近い将来、お嬢さんが坊っちゃんのお手間を取らせる障害となり得ぬことを……それでは、参ります。

・台本（ゆるボイ！）
【裏社会×老執事】マフィアの暗殺爺は捕縛の達人
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎