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【吸血鬼×アガペー2】吸血鬼に捧げる至高の愛は…
written by 葛葉 茉白
  • シリアス
  • ファンタジー
  • 純愛
  • 人外 / モンスター
  • 吸血鬼
  • 俺様
公開日2021年07月24日 00:11 更新日2021年07月21日 01:21
文字数
3794文字(約 12分39秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
男性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
純血の吸血鬼
視聴者役柄
人間の少女
場所
森の奥の吸血鬼の館
あらすじ
吸血鬼(アガペ)今回は長編の為前後半の二部作になります

【あらすじ】後半
血を吸わないというの誓いを守って静かに暮らす吸血鬼。
18年前に拾った赤ん坊は美しい娘に育った。しかしその美しさと血の匂いに惑わされそうになりクリナを手放そうとする吸血鬼。
最後の満月の夜、クリナは苦しむ主の元へ意を決して訪ねる。

今回はシチュエーション台本ではなく、ボイスドラマという形での投稿になります。

☆吸血音がYouTube等ではR指定になり広告等がつかない場合がありますので、ご使用の際にはお気をつけください。

《ご挨拶》
初めまして拙い本を手に取って頂きありがとうございます。

《朗読をしてくださる演者様へ》
文字と読み言葉では違いが出ますので、その辺に関しましては演者様のやり易い方向でお願いいたします。

作中内のSEもあれば付けていただいて、無ければ飛ばして大丈夫です(話の流れで必要な部分のみ表現して頂ければOK)
本編
ト書の種類
【】場所、シーンチェンジ、SE:指示
() 心情、行動 (心の声)呟き
【()】クリナの心情、行動


~~~本編~~~

【SE:ドアの開閉音】

あの夜からもう18年か…

そろそろクリナを外の世界に帰す時が来たのかもしれんな…

次の満月まではひと月…

それまでにクリナの身の振り方を決めてやられねば…

そうだ。
あの家であれば私の頼みを断れまい。

手紙を書くか…


【SE:呼び鈴】

執事を呼んできれくれ、用事をひとつ頼みたい。

すまんがこれを持って街へ行って欲しい。その家に行き、主に渡して来てくれ。

よろしく頼む…

【SE:足音】

(窓辺に立つ)

しかし、クリナは美しい娘に育った。
素直で賢く…純粋で…

あの様に純粋な子が外の世界でやって行けるだろうか?

屋敷の中で人を疑う事も、怪しむ事も知らず、人の悪意など知らずに育ったあの子は外の世界をどんな風に感じるのだろうか…

人の見えない黒い心に耐えられるだろうか…

それでもクリナをここに置いておくわけにはいかないのだから…しかたあるまい。

【SE:ノック音】

ゴイルか?ようやく戻ったのだな…
それでローテンフェルトはどうだった。

(落胆した残念な声)
やはりそうか…
もうディミトリアの血は手入らないのだな…

しかたあるまい…代用血液のディミトリアの血は残りは僅かだが、ロサ・ヴァンピールのバラは毎年咲いている。

(上を見上げて)
しかしバラの聖水だけで満月を乗り越えられるだろうか…

(ふっとクリナの顔が浮かぶ)
ダメだ。私はそんな事はしないと誓ったではないか…こんな時にクリナの顔を思い浮かべるなど…

そんな事はあってはならないのだ。


【シーンチェンジ】

【SE:ドアのノック音】

クリナか?開いてるぞ。

【(聖水を持ってくる)】

そこのテーブルにグラスを置いてくれ。


(鼻に甘い匂いを感じる)
っ?この匂い…クリナお前か匂いの元は…

まさか?

それ以上、近づくな…毎月その時期は屋敷から出ているように言ってあったはず。

【(あの、違います…また先です)】

まだその日ではないというのか?
ならば何故、そのように甘い匂いがする?

(空気の匂いを嗅いで)
ロサ・ヴァンピールの匂いか?

【(小さい袋を見せる)】

聖水を作った後の花弁で匂袋を作って身につけているのか?

確かにバラは魔除になるから身に付けるのは悪くはないが…

(語気を強めて)
だか…その匂いをまとって私に近づくな!

【(戸惑う)】

すまん、怒ったつもりはないのだ。
…ただ、その匂いは私にとってはいい匂いと言うよりも美味しそうな匂いなのだ…

【(びっくりして主を見る)】

そうか、お前は何も知らないのだったな…
ならば知らなくていい。

もう下がりなさい。

そうだ、誕生日の贈り物は何が欲しいか決まったか?

早く決めてくれて、それと誕生日の後はお前は街で暮らす事になる。

その為の準備をしておくように…

【(何故、街で暮らすのですか?)】

何故?それは私が決めたからだ。
この屋敷の全ては私が決める。この屋敷に居ることも、出て行くことも、それに異をとなえることは許さん。

【(私はこの屋敷の外を知りません)】

お前が屋敷以外の世界を知らないのは知っている。その為にお前の世話をしてくれる者も頼んである。

【(私は出て行きたくありません)】

クリナ、お前の気持ちなど聞いてはおらぬ。もう決めた事だ。
この話はこれで終わりだ。
戻りなさい。

クリナ、戻れと言ったのが聞こえなかったのか?

【(項垂れて部屋を出る)】

【SE:ドアの開閉音】

まさかあの様な匂袋を身につけていたとは…

とにかく、あと少しでクリナはこの屋敷から居なくなるのだ…それまでの事だ…


【満月の夜】

(窓の外の月を見上げて)
なんと赤い月…それもこんなに近い…

(苦しげな息遣い)
はぁ、はぁ…っん…はぁ、はぁ…

今夜はなぜこんなにも苦しい。
今までのどんな時よりも血が…血が欲しくて堪らない。

【SE:ノック音】

誰だ!

今夜はここには誰も近づくなと申し付けたはずだ。

【SE:ノック音】

しつこいぞ!

誰もはぁ、はぁ(息遣いがさらに荒くなる)

【SE:ドタの開く音】

この匂いはクリナか…

入ってくるなと、言ったはずだ…

マスタキーを使ったのか?

【(はい、あまりに苦しそうなお声がしたので)】

近づくな!傍に来るな!

外には声は漏れないはず…それなのにクリナには聞こえただと?そんな事など有り得ぬ。

(怒鳴りたいが苦しくて怒鳴りきれない)
とにかく早く部屋から出ていけ!

【(出て行きません、部屋からも屋敷からもそう言って駆け寄るクリナ)】

【SE:駆け寄る足音】

触るな…(クリナを振り払う)

はぁ、はぁ、頼むから…傍に居ないでくれ…

【(嫌です)】

嫌じゃない。これは主の命令だ。

(クリナを見つめて唾を飲み込む)

ダメだ。私はなんということを…
クリナ頼むから出て行ってくれ…

私を、これ以上苦しめるな。

【(どうか私の血を吸ってください)】

(びっくりする)
なぜ、その事を知っている…私が血を求める事を、この屋敷で知っているのはゴイルだけのはず…

【(おじい様が亡くなる直前に全てを話してくれました。ご主人様の事、そして私の事を)】

じぃやが何故…暗示を深くかけていたはず…
死の間際に暗示が解けたということなのか…

【(理由はわかりません。ですが…お願いですご主人様…そのように苦しまないで下さい)】

ならば何故、私が人の血を吸わないのかも知っているのだろう。

【(はい、ですがそれではご主人様が消えてしまいます)】

いいのだ。私の望みはこのまま息絶える事…だから、お前の血など必要ない。

【(嫌です。ご主人様が居なくなるなんで、絶対に嫌です)】

なぜそんなに嫌がる。あぁお前に取って最後の家族が居なくなるからか?
ならば安心しろ、お前の寿命より早くは消えん。

【(だとしても、私を傍に置いてはくれないのでしょう)】

当たり前だお前を傍には置いてはおけぬ。
お前を傍に置いて、この飢えに耐えられるとは到底、思えんのだ。

お前はあまりに甘美な匂いしている。

それははるか昔、愛した人と匂いと同じだ。

【(私では代わりにはなりませんか?)】

馬鹿な事を言うな。
お前が代わりなどと…そんな事は言ってはならぬ。お前はお前ではないか?
代わりになどならん。

【(私の望みはご主人様に血を吸って頂いて長らえて頂くことです)】

何という…そんな馬鹿なことを言うな。

私は贈り物は何か欲しいかと聞いたのだ。
それなのにお前の望みはその身体を私に差し出す事だと言うのか?

確かに一度した約束を違(たが)えることはしない。しかしこの望みだけは叶えてやる訳にはいかん。

【(ブラウスのボタンを外して白い首を主の前に差し出す)】

な、何をしているのだ。洋服を着ろ。

首を私の方に向けるな。

(白い首を見つめて唾を飲み込む)

何故、そうまでして血を差し出したとてお前にはなんの得もないだろう。
あるのは私の眷属として生涯、血を差し出し続ける事のみ…

【(それでいいんです。それこそが私の望みなのですから)】

クリナ…なぜだ…そんな望みなど…
お前の本当の望みはなんなのだ。

【(なぜ?どうしてそんな事を聞くのですか?私の望みは愛しい方がこの先も生きてくれる事だけ…その為に私の血が必要ならばいくらでも差し上げましょう)】

生き続けて欲しいと、この私をお前は愛してると言うのか?
こんな化け物の為に、その身を差し出すとなんの見返りも求めずに…

私は…お前が愛しい…だからこそ傍にはおかず遠くに追いやろうとした。
それが私の愛し方なのだと…自分に言い聞かせて…

(心からの声)
本当は手放したくなどない。この先もずっと傍にいて欲しい、クリナお前を愛しているのだ。

だが、そう思えば思うほどにお前の血を求める自分を嫌悪してしまう。

【(そっと抱き締める)】
な、何をする。
そんな風に優しく抱きしめるな。
母にさえこんな風に抱かれた記憶などないのに…

誰かに抱きしめられるというのは、こんなにも温かくて優しいのだな…

アガペー(無償の愛)…そんなものがあるなどと信じてはいない。

しかしこうして心に流れこんでくるお前の優しい心がそうなのか?

【(…お願いです。生きて下さいそれ以外の望みはないのです)】

馬鹿な娘だ。
それ程までに私に生きて欲しいと願うのか…
それがお前の愛だというのか…

(クリナを抱き寄せる)

私は初めて人の血を吸う。
加減がわからずお前を殺してしまうかもしれぬ、それでも良いか?

わかった…そこまで覚悟できているのだな。
ではお前の血を…命を貰う事にしよう…

クリナ…愛してる…

【吸血シーン】

(吸血シーンの長さはお任せしますが、途中でセリフを苦しげに挟んで下さい。出来るだけ苦悩しながら吸血して下さい)

(リップ音)

っん、痛くはないか?

こ、こんなにも甘くて…甘美な味…

大丈夫か?苦しくはないか?

ならは、もう少しだけ…


【吸血シーン終了】

はぁ、はぁ、なんという事だ…

全身の細胞が活性されていくのがわかる。
全てが新しく生まれ変わる。

(腕の中でぐったりするクリナを抱き締めて優しく声をかける)
クリナ…大丈夫か?

すまない。すこし多く血を吸いすぎてしまった。

【(大丈夫ですそれよりもご主人様は大丈夫ですか?私の様なものの血で本当に消えたりしませんか?)】

あぁ大丈夫だよ。純血の吸血鬼にとって処女の血は特別なものなのだ。

それも何も見返りを求めないアガペー(無償の愛)を持った娘の血は…まるで意味が違うのだよ。

【(良かった。お役にたてたのですね)】

あぁ、そうだ。

クリナよ、もうどこにも行かせはしない。ずっと私の傍にいてくれおくれ。

近いうちに血の契約を交わして私の花嫁になりなさい。

【(私が花嫁なんて…)】

主の私が決めた事に異を唱えることは許さないと言ったはずだよ。
お前は私の花嫁になるのだ。

いいね、わかったら少しその口を閉じなさい。

(リップ音)

ようやく手に入れた私だけの花嫁…

もう誰にも渡さない。

何処にも行かせない。

この命尽きるまで二人で…
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
【吸血鬼×アガペー2】吸血鬼に捧げる至高の愛は…
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
葛葉 茉白
ライター情報
初めまして台本を手に取って下さりありがとうございます。
葛葉 茉白(くずのは ましろ)と申します。

シナリオの書き方を勉強中の為、読みづらい点が多々見受けられると思います。
また語彙や言い回しも同様なのでその点を了承の上読んで頂ければ幸いです。
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