(インターホン)

あ、すみません。最近隣に越してきた者ですが……っ！

あ、あぁ、いえ。なんでもありません。

こちら、つまらないものですが、どうぞ。

あ、はい…

こちらこそ、これからよろしくお願いします。



よぉ、嬢ちゃん。ちょっとお邪魔するぜ。

しーっ。大きな声、出すなよ。近所迷惑だろ？

なんで布団の中にって…

ははっ、見て分かんだろ？

夜這いだよ、夜・這・い。

鍵？開けっ放しだったぞ。嬢ちゃんは不用心だな。

ちゃんと夜は鍵閉めないと…

こんなふうに悪ーい男に襲われんぞ？

嬢ちゃんみたいな可愛い女の子は特にな。

あぁ、初対面だ。

昼間、引っ越しの挨拶したろ？

だったらなんでって…

一目惚れしたからだよ。嬢ちゃんの匂いに。

(匂いを嗅ぐ)

あぁ…すっげーいい匂い…

間近で嗅ぐとすげーいい…

なんかとろけちまいそう…

おいおい…これは夢じゃなくて現実だぞ。

ほい、むぎゅっ…

痛えだろ？夢ならありえねえだろ、こんなん。

ははは…気づいたか？

俺が只者じゃないってことに。

そう。赤い眼に鋭い牙、とんがった耳…

さて、可愛い嬢ちゃんに問題。

お兄さんは何者でしょ〜か？

正解。お兄さんの正体は吸血鬼でした〜ってな。

ここまで言えば、俺が何しにきたか、言わなくても分かるよな？

痛いのは勘弁してください？

はははっ！可愛いかよ…！

それは可愛すぎんだろ、嬢ちゃん…！

なんていい反応してくれんだよ…！そそるじゃねえか…！

はぁぁ…この俺をここまで興奮させるなんてイケナイ子だ。

大丈夫、痛くしねぇよ。

痛いのは最初の、ほんの一瞬だけ。

あとは体が快楽でいっぱいになるから安心しろ。

おいおい…そんな恥ずかしがっちゃってよ…

可愛いじゃねえか。

ほら…襟元、開けてみ？俺が噛みやすいように。

いい子だ。それじゃ、いただきます…

(吸血)

んっ…ふぅぅ…

うめぇ…思った通り、俺好みの味だわ。

ははっ…そんなに息荒らげてよ。

ホント、どこまでも可愛い奴…

あ？なんだ？

もっとはっきり言ってくれないと、聞こえねえなぁ？

おう、よく言ったな。

いい子の嬢ちゃんには、もっとご褒美をあげなくちゃな。

(吸血)

ふはぁ…ふぅ…

これで嬢ちゃんは俺の眷属な。

たっぷり、俺の匂いをつけてやったし。

ん？眷属っていうのはつまり…

嬢ちゃんはこの俺のモノになったってこと。

これからは定期的に血を吸いに来るからよろしくな？

ん、いい返事だ。

今日は朝まで、このまま一緒に寝ようぜ…？

・台本（ゆるボイ！）
隣に越して夜這いしてきたイケメンなお兄さんは、女たらしな吸血鬼だった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎