タバコを吸い始めた彼女に驚く彼氏を書いてみたかっただけ

(インターホン)

おー、らっしゃい。遠路はるばるご苦労さん。まぁ上がれよ。

うち、出せる飲み物水しかないけどいい？

冗談だよ。お茶もジュースもコーヒーもあるから、ゆっくりしてけー。



…あれ？そういやお前、誕生日いつだっけ？

ふーん…結構先だな。じゃあまだ考えなくていいな。誕プレ。

えー？だって今欲しいモノなんてすぐ変わるだろー？お前のことだから。

まぁ近くなったら、欲しいモン聞くわ。

俺？俺の誕生日なんてとっくの昔に終わってるけど。4月だし。

え、んなこと言われても…別に誕生日なんて興味ないし…忘れられてもいいと思ってた。てか、俺が忘れてた。

や、そんな謝んなって。なんか俺が悪かったわ、うん。

まぁ気にすんな。俺が気にしてないんだからとりあえずオッケーってことで。

…なんかヤニ吸いたくなってきた。ちょっとベランダで吸ってくる。




ん…？え、あれ？お前、どうした？

は？え、え？ちょ、おま、何してんの…？

いや、見たら分かるけど…てか、お前がタバコってなんで？嫌いじゃなかった？

だってさ…「タバコの匂い嫌いだから、やめないと別れる！」って言ってたじゃん。

あれ？そうだっけ？そこまで言ってない？

んー…そうかぁ、お前もとうとうヤニの沼に浸かっちまったかぁ…

俺が吸ってるからって、そんな真似せんでも…

つってもう手遅れか。しゃーない…

ちなみにいつから？タバコ始めたの…

ふーん…まぁまぁ最近じゃん。慣れた？

そっか。じゃあほれ、火ぃつけてやるから…

(着火)

へぇー…意外とサマになってんじゃん。タバコの似合う女って感じ。

いや、意外だし。前まであんだけタバコ苦手って言ってたからさ。今日、人生で一番驚いたかもしれん。

あー、そう？なんか照れるな…

そりゃまぁ、俺はタバコ大好きだし…彼女が同じモン好きになってくれるのは嬉しいよ。

なぁ、ちょっと…キスしていい？

いや、唇同士のやつじゃなくて、タバコ同士くっつけるやつ。

や、なんかな…シガーキスしてみたくなって。せっかく彼女がヤニ吸い出したんだし。

マジ？サンキュー。

じゃ、お前は自由に吸ってていいから。俺がお前に合わせる。いくぞ…

(シガーキス)

おっ、火ぃついた。大成功じゃん。

流石俺ら。まさに阿吽の呼吸ってやつだな。

これで相性バッチリってことが証明されたし、満足だわ。

え、なに、どうした？

…あー、そう？顔、そんな近かった？

ふーん…そりゃどーも。

カッコいい、か……彼氏冥利に尽きる言葉ありがとう。

(しばらくお互い無言)

…ん、吸い終わった？じゃ、はい。灰皿。

よしっ。ヤニ吸って気分一新できたし、適当にその辺散歩するk……

(不意にキスされる)

あっ、あ〜…何すんの、お前…いきなりは恥ずいって…

ん〜…嬉しいけど釈然としないっつーか…

あー、はいはい。わかりましたよー。

負けは認めるから…これ以上は勘弁してくれって…

(不意打ちでキス)

…なんつってな。小娘の分際で俺を出し抜こうなんざ、百年はえーよ、バーカ。

(肩あたりを叩かれる)

いてて、悪かったって。ちょっとした悪戯心だったんだよ。

まぁ、その、何？惚れた弱み的な？

なんか恥ずかしいやら嬉しいやらで、らしくないことしちまった。すまん。

あー、サンキュ…やっぱお前、いい奴だな。

へーへー…仰せのままに。彼女さま。

煮るなり焼くなり、お好きにどーぞ。

あ、うん…今から？まだ夕方だけど？

嫌じゃないし、むしろ大歓迎だけど…

お前の腰がバキバキにいかれないかなーって、心配しただけ。

あっそ…じゃ、適度に運動しますかね。お互いに。

・台本（ゆるボイ！）
ダウナーな遠距離の年上彼氏とベランダでシガーキスをしてみた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎