生まれつき魔物に惹かれやすい体質のお嬢様は、吸血鬼の男に餌として誘拐されてしまう。そんな囚われのお嬢様を助けに来たのは、自らに仕える屋敷の使用人で…？

よぉ…お嬢様、助けに来たぜ。

あ？これでも最速で駆けつけてきたんだぜ？もっと感謝しろよ。

はっ…そんだけ減らず口が叩けんなら、とりあえず大丈夫そうだな。

とりあえず縄解くか…ちょっとじっとしてろ。

あ〜、固って…クソ、全然解けねーじゃねえか。

下手くそ言うな。これでも頑張ってんだぞ。

あ？そりゃそうだけど、今それ言わなくてよくね？

お嬢様を助け出すっつー、最善の結果をもたらすために、今まさに頑張ってんだろーが。

ったくよぉ…毎回毎回、助ける身にもなってほしいぜ、ホントに…

…うし、解けた。んじゃ、行くか。

あ？手出せよ。お嬢様の亀みてーな鈍足じゃ、すぐに敵に追いつかれるから、俺が引っ張ってやろうっつってんだろうが。

あー、この期に及んでつまんねえ意地張るな！いいから行くぞ！

(手を掴んで走り出す)


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はぁはぁ…あ〜、疲れた！ちょっと休憩！

(地面に寝転ぶ)

お嬢様さぁ…どんだけ男にモテるわけ？どっかの国のお姫様かなんかか？

うっせえよ。可愛いのは間違いねえけど、見た目だけだろうが。中身はクソ生意気なガキだろうがよ。

あだっ！蹴るな、アホ！こちとら、疲労困憊だってのに…！

口の利き方？お嬢様にそれ言われてもなぁ…なーんも心に響かねえっつーか………ッッ！

……おい。その辺隠れてろ。敵が追ってきた。

そういや聞いてなかったけど、今度の敵はどんなバケモンだ？

吸血鬼？りょーかい。じゃあ殴ってお終いだな。

バカ、一丁前に人の心配すんな。俺が喧嘩で負けたことあったか？

おい、そこは無いって答えるとこだろうがよ。ノリ悪いな。

とりあえず行ってくる。絶対ここから動くなよ？絶対だぞ？

あ？……バカだな、ホント。帰ってくるに決まってんだろうが。俺はお前の執事だぞ？

未払いの給料、支払ってもらわなきゃだし…こんなとこで死ねるかっての。

んじゃ、ちょっくら喧嘩してくるわ。マジで大人しくしてろよ？


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いって〜…アイツ、人のことボコスカ殴りやがって…

あ？……お嬢様か。わり、ちょっと血ィ流しすぎて目の前が見えねえんだわ。

……もしかして泣いてんの？涙声混じってんぞ。

あ〜、それは…心配かけて悪かったな。

まぁ無事だったからいいじゃん。あの馬鹿吸血鬼にもキッチリお礼参りしてやったし。

…なぁ、もしかしてハンカチで俺の血、拭ってる？

ダメだろ。大事なハンカチを使用人如きの血拭くのに使ったら…

あ、はい。サーセン…

……あ、なんとかお嬢様の顔、視認できるようになったわ。

てか俺の服ボロボロじゃん。返り血までついてるし…また新品用意しないとじゃん。

あ、用意してくれんの？それは助かる。サンキュー。

ん？………謝んなって。バケモンに好かれやすい体質なのは仕方ねえだろ？生まれつきのモンなんだし。

ん〜、あ〜…そんなしおらしくされると、反応に困るんだが…

ま、まぁとにかく俺は大丈夫だ。心配すんな。

俺、普段の業務じゃ、そんな役に立たねえし…こういうときくらい、役に立たねえとな。喧嘩だけが取り柄だし。

だからあんま気にすんな。お前がどこの誰に連れ去られようが、最速で助けに行ってやるよ。

おう。任せとけ。とりあえず屋敷帰るか。よいしょ…あだだ…

(肩を支えてもらう)

あ、おい。肩貸してくれんのはありがたいけど、服に血つくぞ？

あ〜、はいはい…俺が洗濯すんのね。りょーかい。

ん？……なんだ、お礼言えんのか。このまま謝罪だけされて終わりかと思った。

わーった、わーった。余計なこと言ってすみませんでした。

(咳払い)

…どういたしまして、お嬢様。ご無事で何よりです。

あ、あー！なんか似合わねー！クッソ恥ずい…！

何笑ってんだよ…だから嫌だったんだよ…ったく。

…ん。いいから帰るぞ。帰ったらやること、山積みだからな。

・台本（ゆるボイ！）
柄が悪いヤンキー執事はいつもわたしのことを助けに来てくれる
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・台本制作者
松平蒼太郎