繁華街で男遊びを繰り返していた貴女は、それ関連のトラブルに巻き込まれていた。人目のつかない倉庫で、いい年こいたおっさんに殴る蹴るなどの暴行を受けていたところ、ヒモニートを名乗る見知らぬ男が現れて…？

おいおい…おっさんよぉ、さっきから黙って見てりゃ、なんだそりゃ。いい年こいて、女の扱い方も知らねえのかよ。


あん？俺？そこら辺にいる一般ヒモニート。よろしくはしねえけど。


いやいや、だからぁ、女の扱いがなってないっつってんの。そんな手荒く扱ったら、ボロボロになっちまうだろーが。


え？浮気？その女が？それなら、殴られてもしゃーねぇか……って、そんな見え透いた嘘通じるか、ボケ。普通にうっぷん晴らしで殴ってただけだろ。会話内容、外に丸聞こえなんだわ。てことで、さっさとお縄につきな？もう警察呼んでっから。


(男に殴りかかられるが、逆に殴り返す)


あっ、ごっめーん☆ 手が滑ったぁ☆ わりぃ、おっさん。まぁでも、女殴ってたんだから、これでおあいこだよな。


(女の方に向き直る)


君、だいじょぶ？へーき？怪我してない？


あ、そうだった。余裕で怪我してるの、見りゃわかるよな。ごめんごめん。


ん？警察？呼んでないけど、なんで？


あぁ～…俺のはったり、見抜いちゃったかぁ。結構頭良いんだ、君。


ん～…まぁ、人助けというか…ちょっとした気まぐれというか、暇つぶし的な？てか、明るい繁華街ん中に、こんな薄暗い倉庫があるなんてな。しかもちょうど角にあるし、こりゃ人目につかねえわ。


え？何？聞いてほしいの？君の恰好的に、男遊び繰り返した挙句のトラブルかなーと思ったんだけど。


あ、図星？そっかー。まぁ、でもこの辺って、そこそこ治安悪いからなー。君みたいな若くて可愛い女の子って標的にされやすいからさー、これからは気を付けたほうがいいよ？


あらら…嫌われちゃった。俺って初対面の女の子受け悪いんだよなー。馴れ馴れしすぎるから、らしいんだけど。


てかそんなことより、うち来る？シャワーもあるし、あったかいご飯もあるぞ～。全部、うちの嫁さんが用意してくれるから、安心してもろて。


え、何？俺が既婚者なことがそんなに不思議？チャラチャラしてるから？


ふ～ん？ただのナンパ男に見えた、と…間違ってはいないから、否定はできないな。


じゃ、今日は俺のナンパに応じてくれるってことで、一名様、我が家へご案内しま～す…ってな。いしし♪


(彼女を家に連れて帰り、嫁に声をかける)


ただいまー。なぁ、ちょっとそこで女の子拾ったんだけど、ちょっと面倒見てやってくんね？


そうそう。痴情のもつれで、変態からボコボコにされててさー。ほら、ここは可哀想な女の子のためにひと肌脱ぐってことで。


いやいや、そこをなんとか頼むよ。なっ？嫁さんだけが頼りなんだって、ガチで。


おっ、さっすが、俺の嫁さん！じゃ、俺、ゲームの続きしてくっから、あとよろしく～。


(女の子の方に向き直る)


あ、一応、嫁さんの言うことはちゃんと聞けよ？俺の百万倍怖いからな～。


あ、嘘嘘。嫁さんに告げ口すんのはやめて？それされると、俺の命が…


ま、まぁ、とにかくそーいうことだから！俺はヒモニートらしく、部屋で引きこもってゲームやってくっから。そいじゃな～。


(しばらくして、女が部屋を訪ねてくる)


ん～？どした～？俺、見ての通り、ゲームで忙しいんだけど～？


あぁ、いい嫁さんだろ？あれ、マジで自慢の嫁。俺のこと養ってくれる、最強の伴侶。俺、一生あの人に逆らえねーわ。


おー…まぁ、そりゃあ、な？世の中は広いからなー。俺みたいな社会不適合者を好いてくれる女もいるってことよ。たまたま出会いに恵まれただけとも言えるが。


……あー、そう。地雷踏んでごめんって。出会いに恵まれなかったから、あんな風にボコボコにされてたんだよな、うん。


(ゲームを一旦やめて、彼女に向き直る)


なぁ…君さ、俺のことタダ働きさせてみる気ない？めっちゃ無給で雇われてもいい気分なんだけど。


んーと、具体的には～…君の護衛？この辺歩くなら、用心棒的なの、一人はつけといた方がいいと思うけどな～？


大丈夫！そこそこ喧嘩慣れ…もとい、盾役くらいはできるからさ。ほら、役に立たなかったら、テキトーにその辺ポイしてくれていいし。


マゾじゃねえ。俺を女に虐められて喜ぶような変態と一緒にすんな。俺を虐めていいのは、嫁さんだけだ。


え～？だって、ヒモニートって基本暇だしさ～。ちょっとした刺激っつーか、そういうのは欲しいんだよ。


あ、だからって、お給料もらって、ガチガチに働くのも嫌なんだよな〜。お金ももらわず、遊び感覚で働けるような職場探してたからさ～、君が俺の職場になってくれね？


あ、手厳しいな。やっぱ社会はヒモニートには甘くないんだな。ハァ…


…え？マジ？雇ってくれんの？


へへっ、サンキュー！恩に着る！じゃあ今日から俺は、君の盾役だ。ほい、これ。俺の携帯番号とメールアドレス。必要な時はいつでも呼び出してくれ。ヒモニートだから、一日中ヒマしてっし。


あ、もう帰んの？じゃあ、俺が家まで送るわ。さっきの変態が、君を探してないとも限らねーし。


(玄関を出る前に、嫁に声をかける)


嫁さーん！ちょっとさっきの子、家まで送るわー！


へーき！送ったら、すぐ帰ってくるから！んじゃ、行ってきまーす！


(玄関を出る)


さーて…出勤一日目。今日も一日頑張りますか～…


ははっ、たしかに。半日どころか、一時間も働かねーわ。こんな楽な仕事もないわな。女の子の送迎だけっていうね。


浮気～？ないないｗ 俺、嫁さんに信頼されてっからｗ 「お前みたいなチャラチャラしたヒモニートが、アタシ以外の女に好かれるわけない」ってｗ マジそれな！って感じｗ


そう。安心と信頼のヒモニート。それが嫁さんにとっての俺だから。


はは～ん？羨ましいか？俺みたいなクズに生涯の伴侶がいることが。


あ、そ……ま、まぁ、大丈夫だろ！君もまだまだ若いし、これからいい男捕まえられるって！世の中、クズばっかじゃねーし！きっと君を理解してくれるいい男が現れるはず！多分！


えぇ～…男探しも手伝わなきゃいけないの？めんどくせー…


あー、はいはい。君を勝手に拾った責任はありますもんねー。喜んで協力させていただきますー。


…え？ここ、君ん家？思ったより近所だ…


おぅ。また変なのに絡まれないようになー。おやすみー。


(彼女からお礼を言われたので、振り返って言葉を返す)


…ん、どーいたしまして。こんなヒモニートでよければ、いつでも頼ってくれ。そいじゃなー。

・台本（ゆるボイ！）
【ナンパ】ヒモニートのチャラ男はあたしに無給で雇われたいらしい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎