よそから来た敵方の組との抗争に身を投じることになったヤクザの男は、その抗争の中で、妹が自ら博打の対象になったことを知る。彼女は万が一負けた時のために、自身を敵方に引き渡すことで、自分たちの組を守ろうとしていたのだった。男は怒声混じりに、妹も組も必ず守ると宣言して…？

(血相を変えて妹の部屋に駆け込む)


おい、お前…！どげなことちゃ！何でお前が博打の対象になってんだ！説明せんかちゃ！


はぁ⁉︎ 組を守るためって…お前、まさか自分から進んで…！


…くそっ！あの野郎ども、よそからきた分際で、つまらん要求してきやがって…！博打でうちを買収するたぁ、なめ腐ってんな…！


たりめーやろ！お前が博打の対象になった以上、負くるわけにゃいかねー！何が何でも勝つ！


イカサマぁ⁉︎ やれるもんならやってみれ！俺ぁ、イカサマごときに屈せん！この勝負から降りる気はねぇちゃ！本物の九州男児ってやつを、奴らに見せつけてやらぁ！


(一旦、自身を落ち着かせるために息を吐く)


お前も一言くらい相談せんかちゃ…何勝手に自分を売り込んでんだ…たしかにお前は兄の俺から見てん美人やけどちゃ…


アイツら、負けたらお前一人の身柄で済ますって…マジでざけんなちゃ…！俺の大切な妹を何やっち思うてやがる…！


…ッ、馬鹿野郎…！たかがわたし一人が、じゃねぇ！たとえ、組が守れたとしてん、お前のことは手放すことになっちまうじゃねぇか…！


(彼女の両肩を掴み、真正面から向き合う)


いいか？お前は俺にとって唯一無二の、大切な妹や。お前の代わりなんてどこにもいねぇ。失うていいような存在じゃねーんちゃ。それだけは肝によう銘じちょけ。


おぅ…分かりゃあいい。こうなった以上、奴らとの掛け合い(※ヤクザ同士の喧嘩)にゃ、負くるわけにはいかん。


俺は勝つぞ。組もお前も、両方守ってみする。俺の生き様、両目かっぽじって、よーく見ちょけ？今からさっそく、シキ(※博打の会場)に行ってくっからちゃ。


(博打・抗争で勝ち、病院送りになりながらも、見事勝利を納める)


…おぅ。なんや、見舞いに来てくれたんか？組の方はてんやわんやじゃねえか？あれから色々あってみてえだし…


…まぁな。ちいと腹ん中にマメ(※拳銃の弾)ぶち込まれただけちゃ。大したことねえけ、気にすんな。


(舌打ち)


バカ…仮にも極道の妹が、こんくらいのことで泣くんじゃねぇ。自分の兄貴はすげえんだぞって、堂々としちょけや。な？


身体張るのは当然やろ？妹一人守れんで、何が兄貴や。兄貴なら、妹のためならどげなことだって耐え忍ぶもんだ。


おぅ、そげなこった。俺ぁ、これからもお前を守り続ける。本物の極道として、九州男児として…そんでお前のたった一人の兄貴として、な？


おら、いつまでも湿っぽい顔すんな！俺も結果的に無事やったしそれでええじゃねえか！


それより、手土産持ってきてくれてんやろ？さっきから気になって仕方ねえんだ。早う開けてくれちゃ。

・台本（ゆるボイ！）
【極道×北九州弁】極道の兄は妹を守るために命を賭ける
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎