あらすじとしては「目が覚めると前左右によく分からない液体の入った水槽に囲まれてて･･････」となっております。

　キャライメージとしては「貴方の事が忘れられなくなってしまった、選ばれなかったヒロイン」です。

　【目が覚めて、暗い部屋にて】

　（下水道の反響する音）

　（遠くから近づく足音）

　あ･･････おはようございます。

　っと、ごめんなさい。目が覚めてそんなところに座らされてたら、パニックになりますよね。

　今、説明しますので、どうか落ち着いてください。

　そうだ。一緒に深呼吸しましょうか。

　（深呼吸をしてください）

　どうですか？幾らか落ち着きましたか？

　安心してください。しっかり、私の話を聞いてくれたら、すぐにそこから出してあげますから。

　だって、貴方のそんな不安そうな顔。見たくないですもの。

　では、今の状況を説明しますね？

　今、あなたの前と、左右に、貴方の腕まで漬かるほど深い水槽がありますよね？

　中に、少しとろみのある液体が入ってますよね？

　その中にはですね？硫酸が入っているのです。

　化学工業で使われる、今や私たちの生活に無くてはならないもの。

　でも、人体には有害で、使い方を間違えれば、一瞬で命を奪いかねない、危険な薬品。

　あぁ、もう。そんなに怖がらないでください。その水槽が割れちゃったら危ないですから。

　すぐに体が激痛で動けなくなっちゃいますし。

　もう一度、深呼吸しましょうか。

　（深呼吸をしてください）

　落ち着きましたか？では、続き話しますね。

　で、ですね？次に、後ろを向いてください。

　３つのカギ穴が開いてある鉄の扉が見えますよね？

　そこに鍵穴を指していただけましたら、すぐにそこから出られますよ。

　で、その鍵なのですが･･････。

　（鍵をカチャカチャする音）

　私が持ってます。本当はすぐにでも渡したいのですが･･････。

　私、どうしても貴方の事が諦められなくてですね？

　貴方が、あの人と一緒に居るところをみると、何も手につかなくなって。

　あの頃、何度も何度も、貴方は私を助けてくれたものだから。

　それで、いつか貴方と付き合って、結婚して、一緒のお墓に入って。

　そう思ってたんです。

　でも･･････あの人と一緒にいる時の貴方の顔を見て。

　あぁ、あの人には敵わないなぁって、思って。

　でも、貴方と一緒にいるのも、どうしても諦めたくなくて。

　貴方そっくりの人形を作ってみたり、貴方が好きな服を買ってみたり。ネットで貴方そっくり人を見つけようとも。

　色々してみましたが、全部失敗に終わりました。

　でも、貴方の存在は、日に日に大きくなっていって。気が付いたら私、貴方に･･････。

　あ･･････ごめんなさい。話が長くなりましたね。

　その、つまり･･････ですね？貴方の気持ちを確かめたいのです。

　貴方が、一度でもあの人より私の事が好き、と言ってくれれば･･････すぐに貴方をそこから出します。

　でも、分かってます。貴方ならあの人を選ぶのですよね？

　そういう場合は･･････。
　
　（水面に軽い物を投げる音、３回）

　水槽の中に放りこんだカギを拾って、そこから出てください。

　中は硫酸なので、放っておけば、鍵が溶けて鍵穴に刺さらなくなりますよ？

　あの人の事が好きなら、急いでください。

　あ、でも。もし心変わりしてくれるのなら･･････いつでも私の準備はできてますからね？

　ふふ。ちょっと気が早いかもしれませんが、指輪も買っておいたのです。

　貴方の指にぴったりかはわかりませんが･･････でも、後で直せばいいですよね？

　あっ、それに、貴方の好きなご飯も練習しておいたのです！毎日貴方に、美味しいご飯を用意できますよ！

　それと、貴方がして欲しいってことがありましたら、なんでもしたいと思っています。

　貴方が私を選んでくれるというのなら、もう私の事なんてどうだっていいのです。

　その･･････うふふ。このような言葉を口にするのは恥ずかしいのですが･･････貴方に全てを捧げたいです。

　もし、貴方がどうしても、あの人が好きという気持ちが変わらないというのならば。

　私も、割り切りろうと思いましてですね？

　貴方の心が手に入らないのなら、貴方の体だけでも、と思い立ちまして。

　その床。私の手に持っているリモコンで、開くようにできているのです。

　そこから落ちた先は、バスタブになっていましてですね。

　そこに、落ちていく仕組みとなっております。

　結構高い位置からなので･･････痛みで暫く動けないかもしれません。

　それで、この水槽の硫酸を、貴方が落ちた穴に注いで･･････貴方の体をゆっくり、ゆっくりと･･････。

　あ、安心してください。私もすぐにそこに向かいますから。貴方に寂しい思いはさせません。

　結婚式のために用意しておいた、このウェディングドレスを着て、貴方と一緒に、硫酸の入ったバスタブに浸かって。
　
　あ、どうですか？このレース！可愛いでしょう？本当は結婚式で、貴方に「奇麗だよ」って褒めて貰いたかったのですが･･････。

　でも、そんなことはもう無いのですよね。貴方の心は、あの人のものですもの。

　それで、なみなみと注がれた硫酸のお風呂に二人で手を繋いだりして一緒に浸かって･･････。

　きっと、すごく痛くて、でもすごく暖かくて、幸せで･･････あぁ。想像するだけで、幸福感で目が潤んでしまいます。

　心は手に入らずとも、体は、貴方と溶けあえるんですもの。

　きっと、幸せに決まってます。うふふ。

　それで･･････。

　あの人を選ぶか、私を選んでくれるのか。

　それとも、私と一緒に溶けてくれるのか。

　貴方の選択なら･･････私は、貴方に従います。

　どうしますか？

・台本（ゆるボイ！）
貴方と硫酸で溶け合いたいヤンデレ彼女
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
一ノ清　カズスケ