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お酒が呑めない女の子
written by のみやま
  • 飲み会
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
1096文字(約 3分40秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
本編
…はい、そうなんですよ。お酒はちょっと呑めなくて。
あ、いえ、呑んだことはあるんですけど、少し呑んだだけでも途中で寝ちゃって…。
その時の私、ですか…?
うーん、今よりも陽気になる、って昔大学生の頃に友達に言われたことはあるんですけど、
酔った勢いで具体的に何か行動に移したり、みたいなのは聞いたことがないですね。

元々人と話すのが不得意だったので、
お酒が入ると、少し気が大きくなってしまうのかもしれませんね。

今ですか?
そうですね、今も少し緊張はしますが、人見知りは克服できたかなって思います。
きっかけ…ですか。
あぁ、いえいえ、大したものじゃないですよ。

私、昔は今よりもっと地味だったんです。
自分に自信が持てなくて。
恋人なんて私にできるわけない、なんて思っていて。

でも、あるとき告白されたんです。
「あなたが好きです」って。しかも突然呼び出してすぐに。
私には分からなかったんです。なんでこんな私を好きになってくれるんだろう、って。
成績も中の下で、クラスには私よりかわいい子なんていっぱいいて。
だから聞いたんです。「どうして私なんですか?」って。
そしたら彼は少し考えてから、私に向かってこう言ったんです。

―「罰ゲームで君に告白してこいって言われたから」―

正直頭を殴られたような感覚でした。
私に興味があったわけではない。ましてや私の何かに惹かれていたわけでもない。
そんなことのために、ただ私の心を弄んだのか、と。

今まで地味で周囲に執着もなかった私が、ショックと同時に、初めて他人に対して怒りを覚えたんです。
許せなかった。自分に自信がないとはいえ、私の何をも知らないこんな奴が、私を弄んだことを。
次の瞬間私は彼の頬をひっぱたいていました。
彼は驚いて、それっきり私に関わることはなくなりました。

それからの私は、地味な自分を変えるために必死でした。
髪型を変え、顔にできていたシミやそばかすを消し、化粧をして。
持ち物、服装、口調、仕草、何から何まで全て。

気が付くと、いろんな男性が私に近づいて来るようになっていました。
だけど、私には彼らがあの時の彼と同じ人間のようにしか見えなくなっていたんです。

不思議ですか?どうして私がここまで自分を変えようと思ったのか。
私が一番許せなかったのは、あのとき告白させられた彼じゃないんです。

私が一番許せなかったのは、「罰ゲームを指示していた人間」だったんです。
その人間にいつか復讐するために、私は今まで必死になってたんです。
きっとその人は、あの時の地味な私のことなんて、記憶にも残っていないでしょうけれどね。

…って、あらら、大丈夫ですか?
ついさっきまで赤かった顔が、真っ青になってますよ?ふふっ。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
お酒が呑めない女の子
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
のみやま
ライター情報
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