彼女に上京することを伝えた君。
遠距離になるのがイヤだと、彼女は駄々をこねはじめます。

んー？　どしたの？
話？　うん、ちょっと待って。もうすぐこれ終わるから。

…よいしょっ、と。
うん、お待たせ。　話ってなに？

うん、…うん。
えっ。東京、行っちゃうの？
ちょっ、ちょっと待って。　ごめん、頭が追いつかない。

えっ、だってさ、私たち付き合ってるじゃん？
じゃあもうこうやって一緒に居られなくなっちゃう、ってこと？
え、やだ。そんなのやだよ。

別に東京じゃなくて、この辺りでも君のやりたいことってできるじゃん。
なんでわざわざ東京に決めたの？
てかなんで相談してくれなかったの？

えっ、やだよ。　ぜったいやだ。
ちょっと今すぐ考え直して。
まだ家とか決まってないんでしょ？
ならいいじゃん、ここに一緒に住んでさ、
いっしょに朝仕事に出かけて、ってすればいいじゃん。

なにも出てくことないじゃん。
もしかして私のこと嫌いになったの？
私なにか君に悪いことした？

…。
やだ。やだもん。
離れたくないもん。そんなの君の都合じゃん。
いや、勿論君のやりたいことを邪魔したいわけじゃないんだよ？
でも、私の都合だってあるのに…。

えっ、じゃあさ、君が東京行ったら遠距離ってことだよね？
こうやって会える回数も減るんだよね？
でさ、声聴くにも電話するだけになるんだよね？

そんなの私が絶対イヤだって、わかるじゃん。
なんで自分のことだけ考えて決めたの？
てか君はイヤじゃないの？　私と会えなくなるんだよ？

じゃあ別れる？　そういう話今してないじゃん。
別れたくないから、こうやって今怒ってるんだよ？
いや、ホントにやだ。離れるのは絶対やだ。

私耐えらんないもん。
君に会えないとか、辛すぎるもん…。

（以下かなり落ち込んだトーンで）
…ちょっと、考えさせて。
今流石にショックすぎて、まともに言葉出ない。
ごめん、今日はちょっと帰るね。

うん、ばいばい。

-----（数日後、電話がかかってくる）

…もしもし？
うん、この前はごめんね。
あの時ちょっとショックすぎて、しばらくまともに連絡できなかった。
ずっと色々考えてたの。

…うん。
そう、だね。せめて相談はしてほしかったかな。
私もさ、君のこと応援したいって思ってるし。
君と一緒にいて、私も頑張ってこれたから。
相談して、これからのことを一緒に決めたかった。

でも、同時にね。
それって君のためになるのかな、とも思ったの。
この前も言ったけど、君のやりたいことを、私のワガママで潰したいわけじゃない。
君がやりたいことが、めいっぱいできる場所が東京にあるんだったら。
それは仕方ないことなのかなって。

うん、わかってる。
自分が我慢すればいいとは思ってないよ。
だから、…私も東京に行く。
勿論今すぐってわけにはいかないけど、やっぱり私は君と一緒に居たい。
私も落ち着いたら、そっちに行くようにする。

だから、君は自分の夢を追いかけて。

…えへへ。よくできた彼女でしょ？
そりゃ、ホントのことを言えば少しも離れたくないよ？
まだまだ話したいことだっていっぱいあるし、君とやりたいことだっていっぱいあるし。
いちゃいちゃも全っ然し足りないし。ふふっ。

ううん、謝らないで。
私もちゃんと整理できたわけじゃないから。謝られると、気持ちが揺らいじゃう。
うん、せめて君が東京に行くまでは、いーっぱいデートしてね。

-----（君が東京に行く日。彼女とホームに立っている）

あー。ついに行っちゃうのかぁ、東京。
そりゃ寂しいよ。デートはたくさんできたけど、やっぱりしばらくは会えないんだと思うとさ。
こうやって手つないだり、ぎゅーしたり、ちゅーしたりもできないんだなぁ、って。

帰りたくなったら、いつでも帰ってきてね。
私はまだ東京には行けそうにないしさ。辛くなったら帰ってきてもいいから。
うん。君が頑張れる場所は、きっと1つだけじゃない。
たとえ東京で居場所がなくなっても、きっと他にいい場所が見つかるよ。

その時は、ちゃんと私にも相談してね？
私も、君の夢を支えたいから。

新幹線、来ちゃったね。
うん…。頑張ってね。
うん、むこう着いたら連絡ちょうだい。待ってるから。

（キス）

それじゃあ、またねっ。

・台本（ゆるボイ！）
遠距離を嫌がる彼女
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
のみやま