新年、一人暮らしのあなたの家へ
遊びに来た年下の幼馴染。
昔、彼女の家でご馳走になったおでんを持ってきてくれて…

（インターホン、ドアを開ける音）

やほー。

あけおめ、ことよろっ。
遊びに来たよ〜。

えへへ、お邪魔します。

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ふぅ〜。
今日一段と寒くない？
来るとき凍えそうだったよ。

そりゃ明日でもよかったけどさ…
早く会いたかったんだもん。

ホントは年越しから一緒に過ごしたかったけど、
お父さんが暗くなってから外出るのダメって言うし。

だから、連絡したの。
「年明けすぐ、遊びに行っていい？」って。

あたし、もう子どもじゃないんだから、
遊びに行くくらい許してくれてもいいのにさー。

えーっ、お父さんの肩持つの？
…そりゃまぁ、心配されてるのもわかるけど…。

って、今は愚痴りたいわけじゃないのっ。

今日ね、これ持ってきたの。
一緒に食べたいな、って思って。

うん、開けてみて。

…ふふっ。 どう？
懐かしくない？

そ、うちでいつも作ってるおでん。
今年はね、あたしが作ることにしたの。

ちゃんと、お母さんからレシピ教わってね。
って言っても、そんなに変わったレシピでもないんだけど。

えへへ、どう？
ちゃんといつものと同じ香りするでしょ？

うん、持ってくる間でちょっと冷めちゃってるから、
あっためた方がいいかも。

ちょっとお鍋借りてもいい？
ん、ありがと。

じゃあ、出来上がるまでちょっと待っててね。

---

ん〜っ、いい香りだぁ…。
我ながらいい出来だよ。 ふふっ。

うん。 冷めないうちにどうぞ。

…

でしょ！
うちで皆にも食べてもらって、好評だったもん。

じゃああたしも、いただきまーす。
ふぅー、ふぅー…はむっ。

…うん、出汁が染みてて美味しいっ。
ねぇねぇ、巾着も食べてみてよ。

ふふっ、そう。
ちゃーんと、もち巾着にしたんだよ？
うちで食べてた時も、これ好きって言ってたよね。

まだおかわりもあるから、いっぱい食べて。

---

ふぅ…ごちそうさま。

いえいえ、どういたしまして。
美味しそうに食べてくれるから、あたしも嬉しかったよ。

…もし、よかったらさ。
これから、ご飯作りに来てもいい？

もちろん、朝ごはんに、お弁当、晩ごはん。
ちゃんと作るから。

その…こうやって一人暮らし始めてから、
自炊、あんまりしてないでしょ？

それに、時々ご飯抜いたりしてる。
ずっと心配だったの。 身体、壊しちゃうんじゃないかって。

わかるよ、それくらい。 幼馴染なんだし…

就職してから、仕事が忙しくて、大変なことも。
あと、そうやって辛い思いしてても、
あたしに打ち明けてくれないことも…。

…

最後のは、余計だったね。 ごめん…

こっち、向いてくれる…？

（キス）

…。

…もうさ、
今までみたいに「お兄ちゃん」って呼ぶの、やめたいんだ。

…やっぱり気づいてなかったんだね。
あたしの気持ち。

そうだよ。
いつ気づいてくれるかな、って待ってた。
ずっと前から。

いつまでもあたしを妹みたいに、
子どもみたいに扱って…。

ホントに鈍感。 …ふふっ。

ううん、謝んないで。
全部わかってて、あたしも黙ってたから。

人一倍頑張り屋で、
一回こうだって決めたら折れなくて。

だから、辛いことがあっても、
弱いところは見せようとしない。

いつか…ホントに折れちゃうよ？

あたしの大好きな人に、
そんな風になってほしくないよ。

…。

だから、謝ってほしいんじゃないんだって。
最後まで、あたしが言わなきゃダメ…？

…ん。

（キス、数回）

…。

…うん、任せて。
これからは、あたしも一緒。

朝は、学校行く前にここに来るから。
これで寝坊もなくなるね。 …ふふっ。

ん？
…ふふ、甘えん坊め。

うん、いいよ。
…ぎゅー。

ちなみに、無理やり言わせちゃったけど
ホントにあたしでいいんだよね？

…ん、なら良し。
ちゃんとあたしのこと、構ってね？
他の子によそ見とか、絶対ダメだから。

うん、こちらこそ。
今年からも、末長くよろしくね。

…そうだ。 後で一緒に初詣行こうよ。
そう、お詣りデート。
神様に、恋愛成就のお礼言わなきゃだし。 えへへ。

・台本（ゆるボイ！）
新年、幼馴染の想い
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
のみやま