教師であるあなたと禁断の恋に落ちた彼女。
彼女は不幸にも命を落としますが、その理由は…。

だーれだ？
あれ？ わかんない…？

そんなはずないよね？
私の声、もう忘れちゃったの？

（耳元で囁きながら）
ねぇ、先生…？

ふふっ、せいか〜い。
大事な生徒のこと、忘れちゃダメじゃないですかぁ。
私のこと、「愛してる」って言ってくれたのに。

うん、死んじゃったよ？
だからこうして、先生に会いに来れた。

ずーっと、会いたかった。
学校では休み時間に掃除の時間、放課後も。
毎日こっそり2人で会ってたんだもん。

こんなに長い時間離れ離れだったのは初めてだから、
とっても辛かったんだよ？
…先生も、おんなじだよね？ 寂しかったよね？

だって、あんなに泣いてたんだもん…。
私の名前を何度も、何度も呼んで…。

そうだよ、ホントに私。
見た目も、雰囲気も、あの時のままでしょ？
先生のことが大好きで、授業中も先生のことばっかり考えてた…。

変わったのは…。
この頭の輪っかと、ほら。 背中に生えてる翼。
そう、天使になれたんだよ。
どう？ かわいいかな？

…どうして、そんな顔するの？
せっかく会いに来たのに。

…そう、だね。
もう私は生きていないし、学校で先生とこっそり会うこともできない。

でも考えてみて。
私はもう、人間の身体に縛られなくて済むの。
学校に行く必要はないし、隠れて先生に会う必要もない。
これからは、2人でずっと一緒に居られるんだよ？

この身体はね、お願いして作ってもらったの。
天使の姿のままじゃ、先生に気づいてもらえないから。
それにこうやって…先生と触れ合えるように…ね？

あのまま、先生に会えなくなるなんて嫌だもん。
もっと一緒にいたい、先生に触れたい。
先生に触れて欲しいから…。

先生…。

（キス）

…。
うん。 ずっと一緒だよ。
ずっと、ずーっと…。

ねぇ…もう一回、しよ？
ん…

（キス）

あれ…？
どうしたの、先生…？
そんな苦しそうな顔をして。

…ふふっ。 あははははっ。

ごめんね、先生？
私、ただの天使じゃないんだ。
悪魔と契約しちゃった、悪ーい天使なの。

この身体もね、「悪魔」にお願いして作ってもらったんだ。
だから、私の身体に触れちゃった人間には毒なんだよ…。

大丈夫だよ。
今は苦しいかもしれないけど、もうすぐ楽になれるから。
これから先生は人間の身体を捨てて、私と同じになるんだよ。

私と同じになったら、ずーっと一緒に居られる。
先生も学校に行かなくていい。

もう他の女に…誑かされることもない…。

私が死んじゃった理由、知ってる？
…ううん、ただの事故じゃないよ。

最近先生にベタベタしてたあの女…。
私が先生と付き合ってるの気づいてたの。

一回、あの女に呼び出されて脅されたんだ。
「先生はアタシのものだ、近づくな」って。
先生、かっこよくてモテるから、女がゾロゾロと寄って来ちゃうんだよね…。

…そう。 あの女が私を除け者にしたの。
ずっと許せなかった。
先生と付き合ってるのは私なのに。
先生も、私だけを見ていてくれたのに…っ。

でも、もうこれで全部終わる。
先生も私と一緒になる。
先生は今度こそ、私だけを見るの。

あぁ…ごめんね、苦しくてそれどころじゃないよね…。
呼吸もすごく荒くなって…。

頑張って、もう少しだからね…？
ほら、私に身体を預けて。

ちょっとでも楽になるように、背中さすってあげるね。
よしよし…。

これが終わったら、一緒にあの女に復讐しよう？
私と先生を、こんな目に遭わせたんだもん。
相応の罰を受けてもらわなきゃ…でしょ？

苦しい…苦しいね…。
でもだんだん、何かが湧き上がってくる…。
「憎い…こんな苦痛を味わわせたあの女が憎い…」
苦しみは、だんだん憎しみに変わるの…。

私も憎いよ…。
全部あの女が悪い。
先生と過ごした時間も、楽しかった思い出も。
ぜんぶ…全部苦しみで塗り替えられちゃったから。

あっ…。
先生、気絶しちゃったかな…。
心臓も…もう止まっちゃったね。

また、すぐに会おうね…先生？

・台本（ゆるボイ！）
やっとまた会えたね、先生
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
のみやま