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公開日2025年03月05日 19:20
更新日2025年03月05日 19:20
文字数
3615文字(約 12分3秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
ある日森で出会ったドライアド。その美しい髪に一目惚れしてしまったあの日から、僕らは会うたびに髪を梳きながら時間を過ごすようになった。お互いに、そうするべきではないと自覚しながら…
台本の使用と改変についてはご自由にどうぞ
ご使用の際はお手数おかけしますがご一報(DMや@robe_3333をつけてツイートなど)をお願いします
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本編
(足音)
…!
やあ、今日も僕の髪を梳きに来てくれたのかい?
何をそんな遠慮なんて、むしろ断る理由がないよ。
それにまた新しく花の種から油を取ったんだ。早く試したくて君が来るのをずっと待ってたんだよ。
ほら、早くその櫛を通してみて。きっと艶が出てもっともっと綺麗になると思うんだ。
(梳きはじめる)
ん〜これこれ…この感じ…君は手先が器用だから櫛を通してくれるだけでもすごく気持ちいいんだ〜
人里で店でも開いたら絶対繁盛するよ。僕が保証する。
僕たちドライアドの間でもちょっとした話題になってるんだ。どうしてそんなに髪が綺麗なの?って。
男たちもよく髪が美しいって言い寄ってくるよ。
ふふ、まさか人間に櫛を通してもらってる、なんて彼らは想像すらしないだろうね。
普通は人間なんて、自分の欲望のために森の恵みを奪いにくるただの侵入者でしかないんだから。
もちろん君は別だよ?こうして僕の髪を優しく梳いてくれるこの手が証拠。
これを見れば君の心の美しさなんて疑いようもないさ。
でも他のドライアドは人間に恨みを持ってる者も少なくないんだ。
だから君のことはちゃんと秘密にしてる。この心地よさをみんなに自慢できないのは少し残念だけどね。
さて、そろそろ終わりかな。ありがとう。
待ってて、今お土産の果実を持って…
(神妙な面持ちをしている男と目が合う)
え?もう少し?
あー…………、いいよ、もちろん。長くしてもらえる分には大歓迎さ。君がそう言ってくれるなら甘えさせてもらおうかな。
………
最近君の方はどうだい?何か変わったことでもあった?
ううん、なんとなく。なんだか前より来てくれるペースが早くなったように感じて。
別に何もないなら良いんだ。僕の思い過ごしだったってだけ。
でも、何か困ったことがあるならちゃんと話しておくれよ。君と僕との仲じゃないか。
隠しごとなんて今さら必要ないだろう?
……
…大丈夫……僕は何を聞いても君を傷つけたりはしないよ。
僕にできることならなんだってしてあげる、だから話してくれないかな。僕たちは友達なんだから。
……
妹さん…もう長くないんでしょ。
その反応、やっぱりね。そしてそれを僕に言えない理由も察しはつく。
君が最初にこの森に来て僕に会ったとき、こう言ったよね。
病の妹のために栄養のあるものを食べさせたい。って。
だから僕は君に森の果実を分けてあげて、君は代わりに僕の髪を梳く、そんな取引をしたね。
でもわかってたんだ。君の目的は最初から僕の髪だった。
ドライアドの毛髪を煎じて飲めばあらゆる病が治る、そんな噂を聞いて藁にもすがる思いでこの森に足を踏み入れた。
その腰のナイフでドライアドを殺して髪を切り落とすだけで薬が手に入る。
もし薬が効かなくても髪を売れば相当な金になる、そうすれば妹に精のつくものを食べさせられるってね。
どうして殺さなかったの?
いつだって殺せたはずだよ。こうして髪を梳いてもらってる間なんて完全に無防備だ。
櫛に絡まった抜け毛なんかを集めたところで大した量にもならないってのに、何回も、何回も、何回も何回も何回も。こうして髪を梳いてくれたよね。
……
……、やっぱり僕のこと好きになっちゃったから?
そっか、ありがとう。僕も好きだよ、僕みたいな魔物にも向けてくれるその優しさがね。
いつだって殺せたのは僕も一緒だ。
人間と関わりを持つなんてあってはならないこと。
それなのに僕は君の優しさに甘えてしまっていた。
………うん、決めた。そのナイフ貸して。
…ごめん、拒否しても無理やり貰うね。(蔦が絡まって動けなくなる)
……すぅ……ふぅ……(深く息をする)
ッ…!(髪をバッサリと切り落とす)
ほら、持っていけばいい。こんなとこで時間を無駄にしてないで、せめて最期くらい一緒にいてあげてよ。
そうだな、余った分は金にして店でも開いて…そして……
(声のトーンが落ちる)
もう二度とこの森に近寄らないこと。それが守られなければ今度こそ僕は君をこのナイフで殺す。
人間とドライアドが関わるべきではないんだ。
だから僕のことは忘れて…君はそうして生きるべきなんだ。
……
(声が優しくなる)
いいんだ。僕のほうこそ、もっと早くこうしていれば妹さんは助かったかもしれない。
君との時間が愛おしくて、この幸せがずっと続いてほしいと思ってしまった。
こうしていつか終わることなんて最初からわかっていたはずなのに。
…さあ、誰かに見られたらまずい。早く行って。
振り返らずに、まっすぐ森を抜けるんだ。
僕のことは気にしなくていい。"たかが"髪を短くしたくらい、いくらでも言い訳できるさ。
いいから早く。行くんだ。妹さんのところへ。
手遅れになってしまったらそれこそ大変だろ?
うん、じゃあね。まt………さよなら。
(背中を見送る)
…そうだ、それでいい。これで良かったんだ…
ーーーーーーーーーーーーーー
(足音)
……二度と森に入るな、と言ったはずだけど?
そうか、なら次は君を殺すと言ったことも覚えているよね。どうしてまたここに来た。
まさか妹が死んでその後を追うためなんて言わないよね。そんな自分勝手なこと僕が許すとでも?
ああそう、なら尚更だよ。死にたくないくせにここに来る意味がわからない。
出ていけよ。今ならまだ見逃してやるから。それ以上近づくと本当に殺すぞ。
…っ(近づこうとする様子にたじろぐ)
おい…やめろ…なんでお前…そんなに僕に…
"僕が嘘をついてたから"…?
たかが髪を短くしただけって……
……聞いたのか、ドライアドの髪のこと……
そうだよ。ドライアドの女は決して髪を切らない。
男とつがいになって子を産むために生命力を髪に貯めるからね。
大人になるまでの長い年月をかけて少しずつ髪を伸ばしてやっと数匹分の命になる。
だからこそその髪は万能の薬になるし、一度その大半を失えばもう子を産める短い期間には間に合わなくなる。
あれから僕は誰からも相手にされなくなった。
誰もが羨んだあの美しい自慢の髪。きっと誰よりも良い母体になると期待されていた。
それなのに、ある日いきなりそれを失ったんだ。
狡賢い悪辣な人間に騙されたかわいそうな娘。
そんな噂が森中に広がるのもそう時間はかからなかった。
子が産めない女に価値なんかない。少なくとも僕らの中ではね。
みんな僕のことを憐れみはすれど、関わろうとはしない、腫れ物扱いだ。
…そうだよ君のせいだ。全部、全部、全部全部全部!
………君が僕に優しくしたから…
僕が君を助けたいと…髪をあげてもいいと思ってしまったから……
それでも……君がどこかで幸せに生きていると思えば後悔はなかった。
……なかったんだよ。今、君がここに来るまでは…
(声が感情的になる)
答えろよ。何をしに来た。
僕のことを憐れみに来たのか?それとも笑いに来たのか?お前の髪は妹の命も救えない出来損ないだったぞってわざわざ教えにきてくれたってのか!?
ふざけるな!返せよ!僕の髪!
こんな思いをするためにお前に渡したんじゃない!
返してよ……他のものならなんだってくれてやるから……頼むよ……
頼むから…僕にこれ以上失わせないでくれ…
髪をあげてもいいと思えた大切な友達を…あの時間を…思い出を…君はまた僕から何もかも奪おうって言うのか…
もういいよ…もう疲れた。
こんな…君を殺すことになるくらいなら、あのとき髪だけじゃなくて僕の命も捨てるべきだった。
(ナイフを首にあてがう)
…ははっ…ざまあみろ…
目の前で好きだった女に死なれて、君はこれから一生背負っていくんだ…
あの楽しかった二人の時間も全部全部無駄だったってね!
(ナイフを握る手に力を入れる)
っ!?(男がナイフを手で止める)
おまっ…!なにしてるんだ!刃を掴むなんて…!
(ナイフが地面に落ちる)
なんて馬鹿なことを!おい見せろ!
ああクソっ!傷が深すぎる。
血がとまらない…このままじゃ…
っ…あああもう!君って奴は何回僕に髪を使わせれば気が済むんだ!
(ナイフを拾い短い髪をさらに切る)
我が髪に宿りし小さき生命よ、その聖なる輝きで彼の者の傷を癒せ(詠唱)
(魔法のように傷が塞がっていく)
はぁ…はぁ……良かった…流石は僕の髪…あんな短さでもちゃんと塞がった…
君…自分が今何したかわかってるか…?
僕が死ぬのを止めて、逆に自分が死にかけたんだぞ?
どうして君はそこまで……
"もう大切な人を死なせたくないから"……
……そっか…それはそうだ。納得した。
僕だって今君が死ぬのが怖かった。自分が死ぬのより何倍も…
ああ…やっぱり僕は…どうしても君のことが好きなんだ。
どれだけ恨もうとしても、嫌いになろうとしても、あの優しかった櫛の感触が…いつまでも忘れられないんだ…
(櫛を懐かしむ手が空を掻く)
あーあ、ちょっとだけ、爪の先くらいは伸びてたのにまた短くなっちゃった。
これじゃまた櫛を通すようになるまでどのくらいかかるか。
だから…それまで一緒に待っててくれるかい…?
いつかまた、君とあの時間を過ごしたいんだ。
その頃にはもう枯れてしなしなになっちゃってるかもしれないけどね(微笑む)
…もう、相変わらず変なとこで君は鈍いな……
プロポーズだよ…僕なりの…
もうお母さんにはなれないけど、お嫁さんくらいにはなっていいだろ?
はぁ…君は優しいのにいろんなとこが抜けてるからこれから大変そうだ。
せいぜい僕のこと後悔させないように頑張ってよね。
…!
やあ、今日も僕の髪を梳きに来てくれたのかい?
何をそんな遠慮なんて、むしろ断る理由がないよ。
それにまた新しく花の種から油を取ったんだ。早く試したくて君が来るのをずっと待ってたんだよ。
ほら、早くその櫛を通してみて。きっと艶が出てもっともっと綺麗になると思うんだ。
(梳きはじめる)
ん〜これこれ…この感じ…君は手先が器用だから櫛を通してくれるだけでもすごく気持ちいいんだ〜
人里で店でも開いたら絶対繁盛するよ。僕が保証する。
僕たちドライアドの間でもちょっとした話題になってるんだ。どうしてそんなに髪が綺麗なの?って。
男たちもよく髪が美しいって言い寄ってくるよ。
ふふ、まさか人間に櫛を通してもらってる、なんて彼らは想像すらしないだろうね。
普通は人間なんて、自分の欲望のために森の恵みを奪いにくるただの侵入者でしかないんだから。
もちろん君は別だよ?こうして僕の髪を優しく梳いてくれるこの手が証拠。
これを見れば君の心の美しさなんて疑いようもないさ。
でも他のドライアドは人間に恨みを持ってる者も少なくないんだ。
だから君のことはちゃんと秘密にしてる。この心地よさをみんなに自慢できないのは少し残念だけどね。
さて、そろそろ終わりかな。ありがとう。
待ってて、今お土産の果実を持って…
(神妙な面持ちをしている男と目が合う)
え?もう少し?
あー…………、いいよ、もちろん。長くしてもらえる分には大歓迎さ。君がそう言ってくれるなら甘えさせてもらおうかな。
………
最近君の方はどうだい?何か変わったことでもあった?
ううん、なんとなく。なんだか前より来てくれるペースが早くなったように感じて。
別に何もないなら良いんだ。僕の思い過ごしだったってだけ。
でも、何か困ったことがあるならちゃんと話しておくれよ。君と僕との仲じゃないか。
隠しごとなんて今さら必要ないだろう?
……
…大丈夫……僕は何を聞いても君を傷つけたりはしないよ。
僕にできることならなんだってしてあげる、だから話してくれないかな。僕たちは友達なんだから。
……
妹さん…もう長くないんでしょ。
その反応、やっぱりね。そしてそれを僕に言えない理由も察しはつく。
君が最初にこの森に来て僕に会ったとき、こう言ったよね。
病の妹のために栄養のあるものを食べさせたい。って。
だから僕は君に森の果実を分けてあげて、君は代わりに僕の髪を梳く、そんな取引をしたね。
でもわかってたんだ。君の目的は最初から僕の髪だった。
ドライアドの毛髪を煎じて飲めばあらゆる病が治る、そんな噂を聞いて藁にもすがる思いでこの森に足を踏み入れた。
その腰のナイフでドライアドを殺して髪を切り落とすだけで薬が手に入る。
もし薬が効かなくても髪を売れば相当な金になる、そうすれば妹に精のつくものを食べさせられるってね。
どうして殺さなかったの?
いつだって殺せたはずだよ。こうして髪を梳いてもらってる間なんて完全に無防備だ。
櫛に絡まった抜け毛なんかを集めたところで大した量にもならないってのに、何回も、何回も、何回も何回も何回も。こうして髪を梳いてくれたよね。
……
……、やっぱり僕のこと好きになっちゃったから?
そっか、ありがとう。僕も好きだよ、僕みたいな魔物にも向けてくれるその優しさがね。
いつだって殺せたのは僕も一緒だ。
人間と関わりを持つなんてあってはならないこと。
それなのに僕は君の優しさに甘えてしまっていた。
………うん、決めた。そのナイフ貸して。
…ごめん、拒否しても無理やり貰うね。(蔦が絡まって動けなくなる)
……すぅ……ふぅ……(深く息をする)
ッ…!(髪をバッサリと切り落とす)
ほら、持っていけばいい。こんなとこで時間を無駄にしてないで、せめて最期くらい一緒にいてあげてよ。
そうだな、余った分は金にして店でも開いて…そして……
(声のトーンが落ちる)
もう二度とこの森に近寄らないこと。それが守られなければ今度こそ僕は君をこのナイフで殺す。
人間とドライアドが関わるべきではないんだ。
だから僕のことは忘れて…君はそうして生きるべきなんだ。
……
(声が優しくなる)
いいんだ。僕のほうこそ、もっと早くこうしていれば妹さんは助かったかもしれない。
君との時間が愛おしくて、この幸せがずっと続いてほしいと思ってしまった。
こうしていつか終わることなんて最初からわかっていたはずなのに。
…さあ、誰かに見られたらまずい。早く行って。
振り返らずに、まっすぐ森を抜けるんだ。
僕のことは気にしなくていい。"たかが"髪を短くしたくらい、いくらでも言い訳できるさ。
いいから早く。行くんだ。妹さんのところへ。
手遅れになってしまったらそれこそ大変だろ?
うん、じゃあね。まt………さよなら。
(背中を見送る)
…そうだ、それでいい。これで良かったんだ…
ーーーーーーーーーーーーーー
(足音)
……二度と森に入るな、と言ったはずだけど?
そうか、なら次は君を殺すと言ったことも覚えているよね。どうしてまたここに来た。
まさか妹が死んでその後を追うためなんて言わないよね。そんな自分勝手なこと僕が許すとでも?
ああそう、なら尚更だよ。死にたくないくせにここに来る意味がわからない。
出ていけよ。今ならまだ見逃してやるから。それ以上近づくと本当に殺すぞ。
…っ(近づこうとする様子にたじろぐ)
おい…やめろ…なんでお前…そんなに僕に…
"僕が嘘をついてたから"…?
たかが髪を短くしただけって……
……聞いたのか、ドライアドの髪のこと……
そうだよ。ドライアドの女は決して髪を切らない。
男とつがいになって子を産むために生命力を髪に貯めるからね。
大人になるまでの長い年月をかけて少しずつ髪を伸ばしてやっと数匹分の命になる。
だからこそその髪は万能の薬になるし、一度その大半を失えばもう子を産める短い期間には間に合わなくなる。
あれから僕は誰からも相手にされなくなった。
誰もが羨んだあの美しい自慢の髪。きっと誰よりも良い母体になると期待されていた。
それなのに、ある日いきなりそれを失ったんだ。
狡賢い悪辣な人間に騙されたかわいそうな娘。
そんな噂が森中に広がるのもそう時間はかからなかった。
子が産めない女に価値なんかない。少なくとも僕らの中ではね。
みんな僕のことを憐れみはすれど、関わろうとはしない、腫れ物扱いだ。
…そうだよ君のせいだ。全部、全部、全部全部全部!
………君が僕に優しくしたから…
僕が君を助けたいと…髪をあげてもいいと思ってしまったから……
それでも……君がどこかで幸せに生きていると思えば後悔はなかった。
……なかったんだよ。今、君がここに来るまでは…
(声が感情的になる)
答えろよ。何をしに来た。
僕のことを憐れみに来たのか?それとも笑いに来たのか?お前の髪は妹の命も救えない出来損ないだったぞってわざわざ教えにきてくれたってのか!?
ふざけるな!返せよ!僕の髪!
こんな思いをするためにお前に渡したんじゃない!
返してよ……他のものならなんだってくれてやるから……頼むよ……
頼むから…僕にこれ以上失わせないでくれ…
髪をあげてもいいと思えた大切な友達を…あの時間を…思い出を…君はまた僕から何もかも奪おうって言うのか…
もういいよ…もう疲れた。
こんな…君を殺すことになるくらいなら、あのとき髪だけじゃなくて僕の命も捨てるべきだった。
(ナイフを首にあてがう)
…ははっ…ざまあみろ…
目の前で好きだった女に死なれて、君はこれから一生背負っていくんだ…
あの楽しかった二人の時間も全部全部無駄だったってね!
(ナイフを握る手に力を入れる)
っ!?(男がナイフを手で止める)
おまっ…!なにしてるんだ!刃を掴むなんて…!
(ナイフが地面に落ちる)
なんて馬鹿なことを!おい見せろ!
ああクソっ!傷が深すぎる。
血がとまらない…このままじゃ…
っ…あああもう!君って奴は何回僕に髪を使わせれば気が済むんだ!
(ナイフを拾い短い髪をさらに切る)
我が髪に宿りし小さき生命よ、その聖なる輝きで彼の者の傷を癒せ(詠唱)
(魔法のように傷が塞がっていく)
はぁ…はぁ……良かった…流石は僕の髪…あんな短さでもちゃんと塞がった…
君…自分が今何したかわかってるか…?
僕が死ぬのを止めて、逆に自分が死にかけたんだぞ?
どうして君はそこまで……
"もう大切な人を死なせたくないから"……
……そっか…それはそうだ。納得した。
僕だって今君が死ぬのが怖かった。自分が死ぬのより何倍も…
ああ…やっぱり僕は…どうしても君のことが好きなんだ。
どれだけ恨もうとしても、嫌いになろうとしても、あの優しかった櫛の感触が…いつまでも忘れられないんだ…
(櫛を懐かしむ手が空を掻く)
あーあ、ちょっとだけ、爪の先くらいは伸びてたのにまた短くなっちゃった。
これじゃまた櫛を通すようになるまでどのくらいかかるか。
だから…それまで一緒に待っててくれるかい…?
いつかまた、君とあの時間を過ごしたいんだ。
その頃にはもう枯れてしなしなになっちゃってるかもしれないけどね(微笑む)
…もう、相変わらず変なとこで君は鈍いな……
プロポーズだよ…僕なりの…
もうお母さんにはなれないけど、お嫁さんくらいにはなっていいだろ?
はぁ…君は優しいのにいろんなとこが抜けてるからこれから大変そうだ。
せいぜい僕のこと後悔させないように頑張ってよね。
クレジット
ライター情報
pixiv,twitterで活動しているフリー台本師です。得意な系統はストーリー性のあるタイプの台本です。よろしくお願いします。
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