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ヤンデレ夢人形による偽りの現実
written by 松平蒼太郎
  • ヤンデレ
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
1206文字(約 4分2秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
本編
旅人さん、こんにちは。……あ、待ってよ!逃げないでってば!

もー、置いてくなんて酷いなぁ。人の顔を見るなり逃げ出すなんて非常識にも程があるよ?

あっ、また!……どれだけ逃げても無駄だってまだ分かってないみたい。


やっほー、旅人さん。こんなところで会うなんて奇遇だね。

もしよかったら一緒にご飯でも……あっ、会計済ませないと、食い逃げになっちゃうよ⁉︎


あ、旅人さん。わざわざわたしの隣に座ってくれるなんて嬉しいな。もしかして一緒に釣りしたくなっちゃった?

うわわっ!びっくりした!近くで急に大声出さないでよ!

あっ、ちょっと!釣り道具くらい持っていきなってば!これ、自分のでしょ⁉︎おーい!


だいぶ息切れしてるみたいだけど大丈夫?

もう、いくらなんでも腰まで抜かさなくてもいいじゃない。さすがに本気で怒るよ?

え、なんでいくら逃げてもすぐ追いつくんだって、ふふ、何でだと思う?

そもそも旅人さん、わたしが誰だかわかってる?

ふふっ、そう。正解。わたしはあのとき旅人さんが買ってくれたお人形。

といっても、もう本体は旅人さんが捨てちゃったんだけどね。捨てられたときはちょっとショックだったなぁ。

ううん、違う違う。恨みがあって現れたわけじゃないって。むしろその逆だよ。

そ。わたし、旅人さんに一目惚れしちゃったんだ♪

あの店で旅人さんと目が合ったときからね。

あのときはわたしのこと、すごく恋しそうな目で見てたよね。懐かしいなぁ。

あ、その理由ももちろん知ってるよ。旅人さんの記憶がわたしの中に流れ込んできたから。

うん、お察しの通り、人形といってもただの人形じゃないんだよね。こうして人の形もとれてるわけだし。

わたしは夢人形っていう特別な人形。夢人形っていうのは、簡単に言うとその人の夢を叶えてあげる人形のこと。

さっき旅人さんの記憶がわたしの中に流れ込んできたって
言ったでしょ?

ふふ、つまりはそういうこと。……そう。わたし、旅人さんの亡くなった恋人そっくりでしょ?

旅人さんは亡くなった恋人にもう一度会いたいと願った。

その願いを受け取って叶えてあげたのが今ここにいるわたし。

俺はそんなこと望んでない?ううん、望んでるよ。ここにわたしがいること自体がその証拠。

だって強い願いをもった人の前じゃないと、夢人形だってただの動かない人形でしかないもの。

大体、旅人さんが旅を始めたのもどこか遠くに行って、恋人が亡くなった辛さを忘れたかったからでしょ?わたしにはわかるよ。

どれだけ口や頭で否定してもほら、身体は正直。わたしのこと、抱きしめてる。

違わないよ。旅人さんは、ううん、俺くんは「あたし」のことが好きで好きでたまらない。

ね、もうあたしの前からいなくならないで。あたしは正真正銘、俺くんの恋人なんだよ?

そうそう、あたしはこうして生きてる。死んでなんかいない。俺くんは悪い夢でも見てたんだよ。

怖かったよね、よしよし……大丈夫、これからはあたしがずっと、ずーっとそばにいてあげるからね…
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ヤンデレ夢人形による偽りの現実
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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