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天才美食家なボクっ娘彼女を満足させるために上達したいけど彼女は不満もアドバイスも言ってくれなくて…
written by ろべ
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公開日2025年07月01日 13:25 更新日2025年07月01日 13:25
文字数
3720文字(約 12分24秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
僕の彼女は通称"神の舌"をもつ天才美食家。その一言は料理人たちの人生を大きく変える力を持つ。いい意味でも悪い意味でも。そんな彼女のために僕も少しでも美味しいものを作りたいと日々努力をしているが、僕の料理にはいつも"美味しい"としか言ってくれない。僕のレベルで不満がないはずがないのに…いっそ本当に食べられないほどの料理を作ったら、彼女は本音を話してくれるだろうか……

台本の使用と改変についてはご自由にどうぞ
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本編
ただいま。ゴメン少し遅くなった。

今日も料理作ってくれてるんだよね。ちょっと待ってて、すぐ着替えてくる。


(軽く着替えながら会話する)

ん?ああ、今日は知り合いが新しく始めた店に行ってきたんだ。長いこと三つ星店で修行をしてやっと自分の店を持てて、最初のお客様にはぜひボクに来てほしいって。

それで今回はランチだったんだけど張り切って記事を書いてたらこんな時間になっちゃった。



うん大丈夫。ちゃんとお腹は空いてるからキミの料理はもちろん食べるよ。

…もう、いつも言ってるだろ?そんな申し訳なさそうにされても困るって。


心配しなくてもキミの料理を高級料理店のソレと比べたりなんかしないよ。キミの言う"普通の料理"がボクにはありがたいんだ。


普段から高級食材ばかり食べて舌が肥えている美食家のコメントなんて信用できないだろ?

普通の食卓の味を知っている人が感想を伝える、それが一番人の心に響くんだ。まぁキミの料理のレベルは普通の食卓と言うには少し贅沢すぎるとは思うけどね。


さて、早く食べようか。せっかく作ってくれたのに冷めてしまったらもったいない。

ん、いただきます。(礼儀正しく)



ーーーーーーーーーーーーー



ごちそうさまでした。


感想?うん、"いつもどおり"美味しかったよ。いつも作ってくれてありがとう。

結構時間かかったでしょ?ボクのためにここまでしてくれるのは嬉しいけど、そんなに毎回手間をかけなくてもボクは嬉しいよ。



……えっと…こういう感想じゃなかった?

"もっとアドバイスとか不満があったら教えてほしい"…か……


…何度でも言うけど、ボクはキミの料理を食べられるだけで幸せなんだ。


確かにボクは人前では美食家だけど、この家の中ではただのキミの彼女なんだ。
彼氏の料理にケチをつけるなんてそんな恩知らずなことはできないよ。


だからそこまで気を使ってもらわなくても大丈夫。
明日もまたお願いしてもいいかな?

ありがとう。お皿洗いはボクに任せて。頑張って作ってくれたんだし、これくらいはやらせてよ。

疲れてるだろうしキミはもうベッドに行ってて。終わったらボクもすぐ行くから。


うん、おやすみ。またあとでね。



ーーーーーーーーーーーーー



ただいまー。今日も待たせちゃってゴメンね。

今度コンテストに出る知り合いからレシピの開発を手伝ってくれって頼まれちゃって、納得行くまで帰してくれないもんだから困っちゃったよ。

でもその代わりにってペアのディナー招待券もらっちゃってさ!今度二人で一緒にどう……


(様子がおかしいあなたに気付く)


…えっと、、キミ、どうかした…?
なんだか信じられないくらい顔色が悪いけど…

(焦点が合わず怯えている様子)

ねえ大丈夫…?手が震えてる。
体調、悪いなら無理して起きてなくてもいいよ?


ボクのことはいいから、とにかく今は休んだほうがいいよ。ほら、肩貸してあげるから。行こ?


(寝室まで連れて行き横にさせる)


…ひとまずそこで安静にしてて。ボク色々と準備してくるから、何かあったらすぐ呼んでね。いい?


(リビングに戻って)


…熱はなかったけど……なんだか目がうつろだったし、明らかに普通じゃないよね…急にどうしたんだろう…(独り言)


あ…(食卓を見る)


料理…作ってくれてたんだ…ボクのために………


……せっかく頑張って作ってくれたんだし、ちゃんと食べたほうが喜んでくれるよね。



…いただきます。



ーーーーーーーーーーーーー



体調はどう?起きれるかな?
少し落ち着いた?そっか、それなら良かった。


これ、水持ってきたんだけど、飲む?


うん、こぼさないように少しずつ、ゆっくり飲んで。


(口に含んだ瞬間吹き出す)


あーそんなにいきなり飲むからビショビショになっちゃった。ゆっくりって言ったのに。(冷静な様子で)


でもその反応するなら味覚はおかしくなってないみたいだね。良かった。


ゴメンね、これ塩水なの。コップ一杯にスプーン山盛り入れて溶かしたやつ。


はい、こっちがほんとのお水。今度は吹き出さないように気をつけて。

(ものすごい勢いで飲み干す)


…もう大丈夫?わかった。じゃあ話、聞いてくれるかな?


さっきは本当にゴメンね。でもちゃんと理由があるんだ。

さっきキミの料理食べたんだけど、どんな味がしたと思う?


そう、ちょうどさっきキミが飲んだ塩水と同じ味。

いつも栄養バランスも考えて真剣に作ってくれてるキミがそんなミスをするなんてありえない。

だからもしかしたらこれが普通に感じてしまうくらい味覚がおかしくなっちゃったのかと思って試してみたんだ。


結果はさっきのとおり、ちゃんと君の舌は拒否反応を示したからそこは安心した。


けど、それだとどうしてキミがあの味付けにしたのか理由がわからない。


あの料理は"途中までは"確かに心を込めてボクに美味しいものを食べてもらいたいと思って作られていた。


肉も野菜も下処理と火の通りは完璧だったし、塩分以外の旨味もしっかりと感じられた。口に入れた瞬間に広がる香りは実に食欲を掻き立たせるものだった。



…なんでそんなことがわかるのかって?



さっき言ったでしょ、"食べた"って。



残さず全て。さすがに完食には苦労したけど、それでも…"美味しかった"。


ごちそうさま。作ってくれてありがとう。


(何かを言おうとする)

…マズかった(遮るように)って言えば満足だった?



言っとくけどボク、キミの料理が大好きなんだ。

味だけじゃない。ボクに食べてほしい、褒めてもらいたい、認めてほしい、もっと喜んでもらいたい、そんな想いで懸命に作られた料理はとても温かくて。

ボクにとって世界で一番"美味しい"ものなんだ。


だからこそどんな料理だってボクにとっては全てが宝物だし、それらを比べたり、アドバイスすることなんてどうしてもできないし、したくないんだ。



…キミがボクのために上手くなろうとたくさん努力してるのは知ってる。色んな本を隅々まで読んで勉強したり、日々新しいことにチャレンジしてることとかね。


でもここまで思い詰めてたなんてね…
ちゃんと気付いてあげられなくてゴメン。ボクのわがままが、今までキミを傷つけてしまってたんだね。


正直、何度も言おうとしたことはあるんだ。
この味が好きだとか、今日のは一段と綺麗にできてるとか、今日はちょっと難しいのにチャレンジしちゃったねとか。


でも……ボクが発した言葉は人を簡単に傷つけてしまう。

それこそ料理に文字通り命を懸けてきた人たちが、ボクの一言でこれまで何人もその人生を狂わせていった。


褒めても、貶してもね。良くも悪くもボクの料理への評価はどうしようもなく正しすぎる。

その言葉には誰もが納得してしまうし、そのままその料理、その料理人に対するレッテルになって広まっていく。

その重圧に耐えかねて最近は避けられることも多くなってきたよ。ボクの舌と本音で向き合って狂わずにいられる料理人なんてほんの一握りなんだ。

いや、彼らでさえ本当はもう狂ってしまっているのかもしれない。


日がな一日、寝ることも食べることすらも忘れて、ずっと星が取れる料理のことを考え続けるなんて、キミら一般の人からしたら正気じゃないだろう?
同じ料理人同士の夫婦でさえ離婚しちゃったらしいよ。


きっとボクの舌は勝手に周りの人を不幸にしてしまう悪魔なんだ。
"神の舌"だなんて持て囃されてはいるけど実態はそんなものだよ。



……(胸にしがみつく)

キミには……そんなふうになってほしくないんだよ


ただ一生ボクのことを愛し続けるだけでいい。
一生ボクの傍にいてくれるだけでいい。
一生ボクのために普通の料理を作って待っていてくれるだけでいいんだ。

それがボクらにとって最善だってキミもわかってくれるだろ…?



頼むからキミだけは……ボクを一人にしないでくれ…お願いだ


それ以外は何もいらないから………本当に、愛しているんだ…だから…、(縋るように顔を見上げる)


ひぅ……(目が合って胸が締め付けられて声が出ない)




…、キミも…その目をボクに向けるのか(震え声)


駄目だよ…無駄なんだよ……そうやってボクを救おうとしていなくなった人をたくさん知ってる…!


ボクより劣った味覚でボクの口を満足させるなんて一生かかっても出来やしない!
どれだけ上達しても、どれだけ優れた食材を使っても、ボクの口からは永遠にアドバイスという名の呪いの言葉が出続けるんだぞ!

いつか絶対にボクを嫌いになる日が来る!殺したくなるほどボクを憎む未来が確定している!
それでもキミはボクのために作り続けられるというのか?本気で?



だとしたらキミは馬鹿だ…どうしようもなく救えない大馬鹿野郎だよ。
ボク自身ですら諦めたその道をたかがキミ程度の素人が挑むなんて。

………


……約束してよ。限界が来たらやめるって。
その日が来たらキミが狂う前に僕がトドメを刺してあげる。


迷走した挙げ句今日みたいな料理を一度でも作ったなら僕はキミに二度と期待しない。


その代わり料理以外に関してはボクが全部面倒を見てあげる。

お金も時間も愛情も、必ず満足させてみせるし、落ち込んだときはボクが全身全霊をもって慰めてあげる。


これがボクからの条件だ…大好きなキミのための特別な待遇だよ。受けるかい?


……(嘆息)そうか、わかったよ。

いつかキミがボクの想像を超えてくれるその日まで、キミがキミのままでいられることを願ってる。



愛してるよ。だからどうか……(フェードアウト)
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
天才美食家なボクっ娘彼女を満足させるために上達したいけど彼女は不満もアドバイスも言ってくれなくて…
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・台本制作者
ろべ
ライター情報
pixiv,twitterで活動しているフリー台本師です。得意な系統はストーリー性のあるタイプの台本です。よろしくお願いします。
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