「キミは正直者だものね」
あらあらが口癖のお姉ちゃんは、アナタが好きで大好きで結婚したいそうです。

あらあら…転んじゃったのね。
痛い？　大丈夫？
血は出てなさそうだけど…
あらあら、抱っこがいいの？　わかったわ…。

(近づいて片耳に囁く)
はい、痛いの、痛いの、飛んでいけ～。
どう？　痛くなくなった？　よかった。

ふふ、お姉ちゃんは魔法使いだから。キミの痛いのをぜーんぶ消せるの。
あら…ふふ。それもそうね。嘘はダメよね。ごめんなさい。

お姉ちゃんは魔法使いじゃないわ。
じゃあ…そうね…キミだけのナースさん、で、どうかしら。

それでいい？　ふふ。わかったわ。じゃあお姉ちゃんは、キミだけのナースさんね。

ふ……キミは正直でいい子ね。それに、ちゃんと人を正しい方向に導けるのは素敵だわ。

なでなでしちゃう。いい子。いい子。その気持ち、大切にしてね。

ん……なあに？　ふむふむ。これから出す質問に、本当のことを答えるのね。

あらあら。…そうねえ。キミだったらいいわ。なんでも答えてあげる。

じゃあ質問ちょうだい。

なになに……。お姉ちゃんはキミのことが好きですか、ね。

おませさんね。好きよ。大好き。お姉ちゃんは、世界でいちばんキミのことが好き。
本当よ？　正直者のキミには、嘘をつかないって約束したものね。

好き…大好き…好き、好きよ、本当に好き……ふふ。照れちゃった？　お姉ちゃんも。
それで…キミは？　お姉ちゃんのこと、好き？

……。
あらあら。…あらぁ…そうなの。あ…今顔見ないで…真っ赤になっちゃってるから、恥ずかしいわ。

そっかぁ。お姉ちゃんと結婚したいくらい好き、ね…。
ふふ…嬉しいけど…まだキミは、お姉ちゃんと結婚できないわね。

なんでって、あの…年齢がね、結婚出来る年齢じゃないから…。
ち、違うわ。お、お姉ちゃんは結婚してもいいの！　あのね、法律がダメって、えらい人がダメって決めたの。

あら…わかってくれた。よかった。
お姉ちゃんは、キミのこと、大好きだからね。

うん……うん。わかったわ。キミのプロポーズ、しっかり聞いたわ。
約束ね。
大人になったら、お姉ちゃんとキミは結婚する。
ええ……もちろん。
絶対よ。

少し前

ん……あらあら。すっかり大きくなっちゃって。
しばらく会わないうちに、見違えたわ。
キミ、とっても素敵になったわね。

え？　お姉ちゃんも綺麗？

ふふ、あらあら。そんなにスルッと口説けるようになっちゃったの。おませさんね。
嬉しいわ。でも……嘘は言っちゃいけないわ？　お姉ちゃんは、そんな……

あらあら。ごめんなさいね。わかってるわ。キミが嘘をつくわけないって。
ちょっとした冗談よ。あと…照れ隠しかしらね。

キミに綺麗なんて言われると、ドキドキしちゃうの。

うふふ。そうね、一年ぶりくらいかしら。

どうしても顔を合わせないからね。
キミも忙しいし…。

最近はどう？　元気にしてる？
キミなら、割とちゃっかりしてるし、無理はしてないかな？
小さい頃は本当に真面目で、なんでも真剣にやってたから心配だったけど……。
大人になって、いい手の抜き方を覚えたみたいで、ホッとしたわ。

あら……褒めてるのよ？　ちゃんと大きくなったんだなって。
大人って、全力だけじゃどうにもならないことあるじゃない？
…もちろん、お姉ちゃんもそうよ。

ああ、でもね。キミの、正直で素直なところは変わってないわね。
キミのとっても素敵なところ。
昔から…本当に…変わってないわ。

あら、お姉ちゃんに報告？　なにかしら。
素敵なことよね、きっと。

改めて言われるとドキドキするわ…待ってね、ちょっと深呼吸するから。

(深呼吸)
どうぞ。報告、して？
……ふん、ふんふん。へえ…………。

あら、あらあらぁ………そうなの。
恋人が出来たのね。

うふふ。おめでとう！
キミは素敵だから、周りの子たちが放っておくわけないわね！

え…………はぁ…キミから告白した。
へえ…。
そんなに好きな子だったの？　そう…。

それは……あらあら……すごいわね。
好きって伝えるのって、勇気がいることだもの。告白できてえらいわ。

そっかぁ……ふぅん…。

もうキミも…結婚出来る年齢だものね。
恋人さんとは、結婚のことは考えてるの？

へぇ………そうなの。なるほどね。
まだあんまり考えてないかぁ…。
よかった。

え？　なんでよかったって？
結婚って大切なことだからよ。軽く考えたらダメ。
わかるでしょ？

そうそう。キミがね、結婚について、大切に考えてたから、よかった。ってね。言ったの。

あらあら…心配しないでも、お姉ちゃんはキミのことが大好きよ？
ふふ。キミもそうよね。ありがとう。

…………ねぇ…。
昔の約束、って、覚えてる？

あ……ううん。なんでもないわ。忘れて。

恋人さんとはこれからデート？
そっか、今日は家に帰るのね。お家にはご両親が？
あら、いないの。さみしいわね。

ん～。そういえば…今日カレーを作りたいんだけど…お姉ちゃんひとりじゃ食べきれないのよね。
よかったら食べにこない？

ほら、昔も、お姉ちゃんの家にご飯食べに来てたでしょ。
そうそう。お母さんに預けられて。
あの時はうちのママがご飯を作ってたけど、今はお姉ちゃんが作ってるのよ。

ね？　久しぶりに、ゆっくりお話しながらご飯食べよう。
恋人さんのことも聞いてみたいし…キミが好きになった人についてね。

あらあら、ふふ。やった。
腕によりをかけて作るわね。

じゃあ、行こっか。スーパーに寄って、食材買って帰りましょう。



すぅ……すぅ………んん…ん……？
……ふ…おはよう。

よく眠れたみたいね。
あらあら。昨日の夜のこと…覚えてないの？
キミ、すごかったのよお。ガツガツしちゃって…あんなに男らしいところ、初めて見たわ。
ふふ…お腹いっぱいカレーを食べたから、眠たくなっちゃったのね。
そのまま、お姉ちゃんの家に泊まったの。

起きれる？　よかった、ちょっと待っててね、今朝ごはんの用意するから。

(鎖の音)

え？　鎖？
あらあら、びっくりしちゃったみたいね。
うん、キミが逃げられないようにつけたの。

なんで…って…。

キミを外に出したら、また恋人さんに会いに行っちゃうでしょ。

お姉ちゃん、それは…それは、イヤだなぁって……。

うん……うん。昨日ね、キミに恋人さんのこと聞いたでしょう？
笑顔で答えるキミを見てたらね…恋人さんのこと好きなんだなって…悲しくなった。
胸が…すごく痛くなって…。
こんなのいや……って……。

ねぇ…キミ、お姉ちゃんとの約束、忘れちゃったの？
忘れちゃった？
本当に？
忘れてないよね？
忘れてるわけないよね？

………。

よかったあ～！　キミのこと、信じてたよ？
ちゃんと、約束覚えててくれたんだね。

そうだよ。キミはね、お姉ちゃんと結婚するの！

あらあら。照れちゃってるの？　ふふ、かわいいね。

じゃあやっぱり、恋人さんに告白したのもさ。

お姉ちゃんへのプロポーズの練習だったんだよね。

そうでしょう？
そうだよね？

キミがアイツなんか好きなわけないもんね。
キミが好きなのはお姉ちゃんだもんね。

キミが寝てる間にアイツのこと調べたのよ。キミの同級生で見た目は悪くない子ね。
キミって面食いだものね～。
そういう所でコロッといっちゃうの、キミらしいよ。
あと……結構近くに住んでるのね。歩いて会いに行けそう。

でもキミが好きなのはお姉ちゃんだもんね。

なあに、その顔。
アイツのこと…好きなの？

あらあらぁ…そっかぁ。そうなんだ…。

アイツのせいで、キミは嘘つきになっちゃうんだね。
キミは正直者だったのに…。

アイツのせいで、アイツの…お姉ちゃんだけのキミが狂っちゃった。おかしい、おかしい、おかしいよ。おかしい。

キミはお姉ちゃんと結婚するのに。キミは正直者なのに。
なんで嘘つくの？　アイツを好きだなんて。
おかしい。
嘘、嘘うそ、うそだよね。
嘘。ウソよ。
キミが好きなのはお姉ちゃん。
そう。違う？
キミは正直者なのに嘘つくの？　おかしいよ、おかしい

…お姉ちゃんのこと、好きじゃないの？　好きよね？　ねえ！
大好きよね？
ああ……あはは！
そうよね、キミはお姉ちゃんのこと、だーいすきだもんね。ふふ。

あらあら。ふふふ。簡単なことを忘れてた。そうよ、先に気づけばよかったわ。
キミを元に戻す為には…アイツを殺して、キミにはお姉ちゃんだけだってしっかり教えこめばいいのよね…。

ねえ、そうでしょう？
キミを元の正直者に戻すためには、それしかないものね。
お姉ちゃん頑張るね。

あらあ…どうしたの？　そんなに震えて。
寒いの…？？　ふふ。お姉ちゃんが抱っこしてあげる。

ああ…こうしてると、昔を思い出すね。
あの頃から、お姉ちゃんはなんにも変わってないの。
ずーっと、ずっと、キミのことが大好きなの。キミのことだけ、見てる。
本当よ？　好き…好き…好きだよ………
好き…大好き…誰よりも…好き、好き、好き！
大好きだよ…好き……好き。
すーき。ふふ。
ずーっと好きだよ。
好き……好き、本当に大好き。

(鎖の音)

ふふふ。キミとお姉ちゃんは、死ぬまで二人きりで幸せに過ごしましたとさ。
………おしまい。
そんなおとぎ話があってもいいわよね。

・台本（ゆるボイ！）
【シチュボ台本】あらあらヤンデレお姉ちゃんは、アナタと結婚したいそうです。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
雅王とらい