綺麗な夕暮れの学校の渡り廊下。漫画とかなら告白にぴったりなロマンチックなシチュエーション。

ぶっきらぼうだけど情に熱く流されやすい先輩と万能お嬢様が並んでいる

（後輩モノローグ）誰かを置いて行くのはどんな気持ちだろう

　（先輩モノローグ）綺麗な夕暮れの学校の渡り廊下。人通りも少なくツボなどの調度品まで飾ってあった。
隣には学年でも高嶺の花と名高い少女、漫画とかなら告白にぴったりなロマンチックなシチュエーションだ。


後輩「先輩、大切な人を置いて行ってしまうのはどんな気持ちなんでしょうか」

　先輩「どうしたんだ急に」

後輩「いえ、ふと思ってしまって。たまにあるじゃないですか、お話で二人の内一人しか助からい状況で自己犠牲で助けようとするヒロインってありますよね。あれ良く分からなくて」

　先輩「自分より相手の方が大切だからとかじゃないのか。後は相手のいない世界なんて想像したくないとか」

後輩「理屈としては分かるんですけど、心情的に想像できなくて。それと相手の罪を被ってとか、助ける交換条件が政略結婚とかも入るんでしょうか」

　先輩「ああ、なるほど。そう言う事か。俺は分かる気がする。相手を犠牲にして生きて行く罪悪感より、自分が傷ついて行く方がマシだ」

後輩「先輩はカッコイイですね。それじゃあ、後の事はお任せしますね」

　先輩「待て、何処に行く」

後輩「先輩に後の事は任せて、行ってしまおうかと」

　先輩「その前に、お前が木っ端微塵にしたこの高そうな壺どうすんだよ。俺に後ろから飛びついたお前の手が壺にぶつかって落とした所見えてたんだからな」

後輩「先輩なら受け止めてくれると油断してちょっとテンションが上がり過ぎてやり過ぎてしました」

　先輩「おう、シュンとしてもどうにもならないけどな」

後輩「先輩のちょっとイイ所見てみったい♪」

　先輩「見てみたいって俺に罪を被れってか。バカ抜かせ」

後輩「可愛くてプリティキュートで大切な後輩のピンチなんですよ。さっきも言ってたじゃないですか。相手を犠牲にするより、自分が傷ついて行くって、キラッ」

　先輩「それとこれとは話が別だ。誰がいつ大切だなんて言った。それといつものお嬢様モードはどうした化けの皮が剥がれてるぞ」

後輩「猫被りって行って下さい。そっちの方が可愛いので。それと可愛くてプリティキュートは認めてくれるんですね。先輩か～わ～い～い～」

　先輩「ああぁん」

後輩「しょうがないですね。廊下をぼんやり歩いていたら先輩とぶつかってよろめいて私が割ったと正直に言う事にします」

　先輩「正直の意味を辞書で調べてこい。後それだと俺が悪役じゃないか」

後輩「大丈夫です。全力でいたいけな少女を演じきって見せます」

　先輩「待て」

後輩「こうゆう時こそ、日頃の行い、評判、イメージがモノを言います。私の猫かぶり甘く見ないで下さい」

　先輩「演技に下手なんて思ってねーよ、今でも本性が嘘であって欲しいと思うくらい完璧だよ。違う、そうじゃない。それだと俺が悪役になるだろうが」

後輩「まあ、大丈夫ですよ。学校の備品なら保険に入っていますし、たぶん校長の個人が勝手に置いてるだけです。手が当たっただけで倒れるような壊れ物を問題になんかさせませんよ。こんな所で先輩に責任なんて取らせませんよ。責任はまた別の所でとってもらいます」

　先輩「不穏すぎる発言だ。ああ、現実逃避したい。俺なんで巻きまれてるんだろ。」

後輩「狙った獲物は、逃がさない主義なんです」

　先輩「何か言ったか」

後輩「いざとなったら家の力を使ってでも何とかするから大丈夫です」

　先輩「なにそれ、怖い。権力ある家なの」

後輩「ふふふ、秘密です。さ、誰かに見られる前に出頭する事にしましょう。最初の印象が大切です、私を心配する振りをしっかりお願いします」


後輩「先輩、私、置いて行かれるのも、置いて行くのも嫌いなんです。だから、覚悟していてくださいね」

・台本（ゆるボイ！）
万能お嬢さまのからかい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ヨシツナ