【タイトル】悪魔使い～悪魔と契約してみない？～

【ジャンル】男性向けシチュエーションボイス（女声一人読み/全年齢）

【時間】10分（2000字）

【あらすじ】ある出来事がきっかけで悪夢にうなされるあなた（聴き手）。 そこに悪魔使い（演者）を名乗る女がやってきて、悪魔との契約を持ちかける…。
言葉遣いは丁寧（おしとやか）なのに率直に意見する攻撃的な女性をイメージ。

【特記事項】
・悪魔を題材にしたダークな話（胸キュン要素なし）。 演者は悪魔使いの設定。

【その他作者から】
・ハロウィン創作企画 「かぼちゃ祭」参加台本です。
・悪魔の番号はソロモン72柱（ななじゅうにふたはしら）を参考にした。 ソロモン王が使役したという72体の悪魔のこと。

■悪魔使い～悪魔と契約してみない？～
詳しい設定や台本に関する情報は概要欄（キャプション）をご覧ください。
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【台本】

（眠りから覚めたのを確認し、話しかける。 ）
こんばんは。 お兄さん。
お目覚めかしら？
ごきげんよう。

このまま闇の世界に引きずり込むところだったのに…残念。

ふふふ…（含み笑い）
私は闇の女王。 悪魔を従(したが)える悪魔使い。
呪縛(じゅばく)を解(と)いて、目を覚ますなんて…！
こんな素敵な人、見たことないわ。

おめでとう。 あなたは私に選ばれたのよ。 闇の力をあげる。
あなたは今、悪魔の力が欲しいのね？

あなたのような素敵な男性を放っておけないわ。
ねぇ、困ってるんでしょ？ 悩んでいることがあるんでしょ？
私があなたを助けてあげる…！

…返事ができないの？
少しだけ金縛(かなしば)りを解いてあげる。

パチン（指パッチンか拍手）

しーっ！
魂を守りたかったら良い子にしていてね。
あなたが私の言うことをちゃんと聞ければ悪いことしないから。

もう１度聞くね？
…あなたは悪魔の力が欲しいのね？

嘘つくの下手ね。
私知ってるの。あなたの現在、過去、全部。
毎晩 悪夢を見ていることも。
そう、これが悪夢の正体。 ナイトメア。
あなたに悪魔が取り憑(つ)いた。 それだけじゃないの。
あなたが悪魔を呼び寄せたのよ。
こんなに深い闇を感じるのは久しぶり。 ワクワクするわ。
ねぇ、もっとあなたの闇に触れさせて。 私の大好物なの。

（気を取り直して脱線させた話を元に戻す）
ふふふ…。（含み笑い）
本題に戻すわね。
悪魔に取り憑かれるのと、悪魔を使うの…どちらが良い？

あなたに良い方法があるの。
悪魔と契約して、復讐(ふくしゅう)を果たすこと。

私がさっき言ったこと、覚えてる？
あなたのことは全て知っている…って。

あなた、大好きだった恋人を奪われちゃったんでしょ。
親友に寝取られちゃったんだって？
悲しくないの？ お友達だった男が憎いんでしょ？

「待って」
「大好きなのに」
「どうして」
「行かないで」
「いい加減にしろ」
「ふざけるな」

心の声が聞こえるわ。

ナイトメアはね、悲しみと憎しみが大好きなの。 だから毎晩あなたに取り憑いて、あなたを喰い物にしてるのよ。
このままだとあなたが壊れちゃう。
それでいいの？

悲しんでばかりいないで…、前を向かなきゃ。
憎いあの男に復讐するのよ？
私が直々(じきじき)に手を貸してあげる。
悪魔と契約すれば、全てあなたの思い通りになる。
この書類に血のサインをするだけで力が手に入るのよ。 簡単でしょ？

復讐にとっておきの悪魔がいるわ。
25番の悪魔。 これは相手を必ず死に追いやる。 一番オススメよ。

他には49番、57番の悪魔。 この子達は相手の心をボロボロに崩壊させる。 やり方はそれぞれ違うんだけど、好きな方を選べばいいわ。
あいつが苦しみながら壊れていく姿、見たくない？

んー、少し過激だったかな。 しょうがないわね。
それなら今の障害を壊して復縁に働く2番目の悪魔。

あとは…相手を意のままに操る9番目の悪魔なんてどう？
あの子の心を取り戻して、あなただけを愛してくれるお人形みたいにできるわ。

迷っちゃうね。

ふふふ。（含み笑い）
時間はたっぷりあるわ。 どうするか…じっくり考えて答えを出してね。
大丈夫。 私たちは逃げたりしないから。
あなたの心が深い闇にある限り、いつだって悪魔と契約できるのよ。

あ、…そうだった。
もちろん知ってるわよね？ 悪魔との契約はタダじゃないこと。
お金じゃないの。 お金よりもっと価値があるもの。
例えば…健康な体とか、心、それ以外だったら記憶、時間、時には命を頂くわ。

ふふふ。（含み笑い）
悪魔は安くないの。 強い欲望を満たしたい時は大きな[代償(だいしょう)を払わなきゃ。
どういうことかわかってるよね？

決まった？ どの悪魔にする？

まだ迷ってるの？
ここまで私が親切にしてあげたのに…辞めちゃうなんてこと、…ないよね？

このままは苦しいでしょ？
悲しくて、悔しくて、ムカついて毎日暮らしていくなんて…。 あぁ可哀想。
悪魔の力ならきっと、全ての邪魔者を排除して、全部あなたの望み通りになるのに。
私はあなたを助けたいの。 困っているあなたを見捨てるなんてできないわ。
力になって復讐を果たしてあげたいの。

そうよ。 ここにサインするの。

…。
…しないの？
…はぁ。（ため息）

あなたは馬鹿が付くほど良い人なのね。 私、大っ嫌い。
あーあ、つまんない。

もうあなたに用ないから。
他にも私を待っている人は沢山いるの。 急がなくちゃ。

じゃあね！
また悪夢にうなされて苦しめば？

…なによ！？ さっさと帰らせてよ。

そうよ！（相槌）
嫌な事を忘れないと、毎晩 悪夢を見ることになるのよ。
これはあなたの問題。 自分でどうにかすれば？

…忘れたい？

ふーん。
悲しみや辛いことを忘れるのは簡単じゃないのよ。
それを悪魔にお願いするなんて…どういうことか分かってる？

恋人を奪われた辛い記憶だけじゃないの。 代償として幸せな記憶も全て消えてしまうのよ。
彼女を愛していたこと、彼女との思い出、彼女の存在も、あなたは全部忘れちゃう。
それでもいいの？

ふっ。 （含み笑い）
わかったわ。 ここにサインして。

これで契約完了ね。

何もかも忘れて…今夜はゆっくりおやすみなさい。
…良い夢見てね。


【おわり】

・台本（ゆるボイ！）
【男性向け/全年齢】悪魔使い～悪魔と契約してみない？～
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
さわな